【推移】
25日(月):
週末のNY株式市場は急落。主要3指数の下落率は1月3日以来の大きさとなった。3月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は52.5。2017年6月以来約2年ぶりの水準に落ち込んだ。
これを受けて3カ月物TB利回りは2.4527%、10年債利回り2.4373%。2007年以来約12年ぶりに長短利回りが逆転したことを嫌気したとの解釈。
「長短金利の逆転は景気後退入りの兆候」という見方だ。実際はFOMC通過後の不透明感が漂ったところにイギリスのEU離脱への警戒が加わったというところだろう。
3月のドイツの製造業PMI速報値は44.7。判断の分かれ目となる50を3カ月連続で割り込、12年8月以来の低水準。これを受けた欧州株安も響いたようだ。上昇下落の材料を毎日探さなければならないから解釈はしばしば間違うものでもある。
日経平均株価は650円安の20977円と3日ぶりに大幅反落。下落幅は今年最大。終値が21000円を下回ったのは2月15日以来約1カ月半ぶり。東証1部銘柄の94%が下落する全面安の展開。週末の欧米株の下落と為替の円高トレンドを嫌気した動き。値上がり104銘柄、値下がり銘柄数は2014銘柄。三菱倉、ニトリが上昇。エーザイ、安川電が下落。
26日(火):
週明けのNYダウは一時130ドル安まで下げる場面があったものの終値は小反発。週末に下げが目立った航空機のボーイングやスポーツ用品のナイキなどが上昇。「週末の大幅安の反動で押し目買い」との解釈だ。
トランプ米大統領を巡るロシア疑惑で捜査報告書では大統領の罪を認定せずの展開。「政治リスクが後退し米中交渉やインフラ投資などが進みやすくなる」という思惑も見えた格好。一方でアップルやアルファベットは下落しNASDAQは続落。基本的には逆イールド論争が継続し上値は重い展開。
日経平均株価は451円高の21428円と大幅反発。上昇幅は2月12日の531円高以来の大きさ。東証一部の売買代金は3兆2338億円と昨年12月21日以来の高水準。値上がり2001銘柄、値下がり116銘柄。ダイキン、京セラが上昇。あおぞら、ソフトバンクグループが下落。
27日(水):
NY株式市場は上昇。前日1年3ヶ月ぶりの水準に低下した国債利回りが安定。5日続落していた金融セクターが持ち直した。原油高を受けたエネルギーセクターの上昇も牽引役。アップルの上昇も寄与した格好となった。
ただ3市場の売買高は65.5億株と低調(過去20日平均は76.6億株)。「久々にリスク資産に安定化の兆しが見受けられる。過去数日続いた慎重ムードがやや和らいだようだ」という声が聞こえる。
3月22日時点の信用買残は209億円減の2兆3907億円。同売り残は1329億円増の1兆636億円。期末の配当権利取りのための現物買い信用売の影響もあろう。マーケット的にはニュートラルの動きとも言える。
日経平均株価は49円安の21378円と小幅に反落。権利落ちを考慮すれば実質はプラス。中外薬、花王が上昇。トヨタ、商事が下落。
28日(木):
水曜のNY株式市場は主要3指数揃って反落。10年国債利回りが2.3%台と1年3ヶ月ぶりに低下したことを嫌気した格好。「長短金利の逆転が投資家の不安を招いた売り。景気後退に陥るかは実際のところ誰にも分からない。ただ市場が小休止をとる動きにつながる」という見方だ。メイ英首相は「EU離脱協定案可決後に辞任」と与党に表明。
QUICK調査の3月22日時点の信用評価損率は▲13.00%。2週連続の改善。3月22日時点の裁定買い残は120億円増の1兆3670億円。4週連続の増加。同裁定売り残は643億円減の9341億円。こちらは4週連続の減少。
29日(金):
NY株式市場は反発。国債利回りの上昇や米中通商協議を巡る楽観的な見方が買い材料との解釈。2018年第4四半期の実質GDP確報値(季節調整済み)は年率換算で前期比2.2%増。2月公表値の2.6%増から下方修正となった。「四半期の成長トレンドは明らかに弱まっている。労働市場は、少なくとも年内のリセッションを先送りするのに十分な強さを持っているが、利幅は縮小。マイナス成長になるのにさほど時間はかからないだろう」という解釈だ。
18年通期のGDPは2.9%増だった。週末・月末・年度末の日経平均株価は172円高の21205円81銭と3日ぶりに反発。上昇幅は200円を超えた場面もあったが特に材料がある訳ではなく上値は重い展開。2月末の水準を上回ることはできず今年初の月足陰線。
前年度末の日経平均が2万1454円。ほぼ同水準での着地となったことも事実だ。大引けに商いは膨らみ東証1部の売買代金は2兆390億円。第一三共、ソフトバンクGが上昇。ファナック、武田薬が下落。
(2) 欧米動向
NYではダウデュポンがNYダウ除外、子会社のダウが採用。
4月2日の算出分から入れ替えられるという。
子会社のダウが指数に及ぼす影響もダウデュポンに近いものになるという。
今回の銘柄入替は2018年以来。
その時はゼネラル・エレクトリック(GE)が除外。
ドラッグストア大手のウォールグリーン・ブーツ・アライアンスが採用された。
ダウデュポンは4月に素材化学部門、6月1日に農業事業を分社して事業構成が大きく変わる予定。
いっそアマゾンやアルファベットなどの主力ハイテク企業が採用されるのでは無いかとの期待感もあった。
しかしダウ工業株30種平均の名前通りかどうかは不明ながらソフトウェアやネット関連企業の採用はまたしても見送り。
週間ベースではNYダウは1.7%高、NASDAQは1.1%高、S&P500は1.2%高。
それぞれ2週ぶりの反発。
月間ベースではNYダウは0.0%%高、2カ月ぶり反発。
NASDAQは2.6%高、3カ月続伸(累計16.5%%上昇)。
S&P500は1.8%高、3カ月続伸(同13.1%上昇)。
1~3月期はNYダウが11.2%高と2013年以来の大幅上昇。
NASDAQは16.5%%高と2012年以来の大幅高。
S&P500は13.1%高。
2009年第3四半期以来の大幅な上昇率となった。
(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち12指数が上昇。
上位1位メキシコ週間騰落率2.34%、2位ブラジル1.79%、3位スイス1.70%、
4位米国1.67%、5位フランス1.53%。
下位25位トルコ▲6.06%、24位韓国▲2.12%、23位日本▲1.95%、
22位マレーシア▲1.38%、21位ロシア▲1.26%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
1日(月):日銀短観、新元号発表、米小売売上高、ISM製造業景況感
2日(火):マネタリーベース、米耐久財受注
3日(水):米ADP雇用レポート、ISM非製造業景況指数
4日(木):台湾休場
5日(金):家計調査、景気動向指数、米雇用統計、消費者信用残高、中国・香港休場
【4月】(8勝6敗で6位、陽線確率57.1%)
1日(月)エープリールフール、政府が新元号発表、働き方改革関連法施行、改正出入国法施行、日銀短観、米小売売上高、ISM製造業景況感、ハノーバー・メッセ(~5日)、新日鉄住金が「日本製鉄」社名変更、上げの特異日
2日(火)マネタリーベース、米耐久財受注、大幅高の日
3日(水)米ISM非製造業景況感、ADP雇用レポート、インドネシア休場、変化日
4日(木)良品計画が銀座にホテル開業、台湾休場
5日(金)景気動向指数、家計調査、米雇用統計、消費者信用残高、G7外相会議(仏・ディナール)、新月、鬼宿日、清明節
6日(土)株安の日
7日(日)統一地方選
9日(火)イスラエル選挙、下げの日
10日(水)ECB理事会、
11日(木)G20財務省・中央銀行総裁会議、ゴルフマスターズ開幕、木星逆行、天赦日、株安の日、変化日
12日(金)SQ、IMF・世銀春季総会(ワシントン~14日)
16日(火)上海国際自動車ショー(~25日)
17日(水)インドネシア大統領選、下げの特異日
18日(木)上げの日
19日(金)NY休場(グッド・フライデー)、変化日、満月、変化日
21日(日)衆院沖縄3区補選、統一地方選
22日(月)ロンドン休場(イースター・マンデー)
23日(火)株高の日
24日(水)日銀金融政策決定会合(~25日)
25日(木)変化日、株安の日
26日(金)経済同友会通常総会、米GDP速報値発表
27日(土)10連休開始
29日(月)昭和の日で休場
30日(火)天皇陛下が退位、休場 米FOMC(~1日)、ユーロ圏GDP速報値発表、土星逆行
予算が参議院を通過したということは10月の消費増税路線が固まったということ。
幼児教育の無償化、プレミア商品券、キャッシュレスでのポイント還元。
そして「すまい給付金」。
反対給付が決まったことで消費増税は既定路線となる。
「このまま増税すれば大変なことになる」と諫言を呈する人もいる。
しかし安倍首相の声は「増税延期はリスク」。
エール大学の浜田教授でさえも「日本経済は需要が供給を上回る。
増税延期を繰り返さなくて良い」との指摘。
これでは増税反対は孤軍奮闘となってしまう。
「増税延期で衆参同日選挙」というレアシナリオなど飛んでいってしまいそうだ。
そう考えると来年に期待を持てないなら、今年のバラマキに期待するしかない。
「その先」を見据えるならば悪くない。
しかし来年より今年の方が相場は良いという決め打ちも必要かも知れない。
期末特有の広告だらけの日経朝刊でもそれくらいは読み取れよう。