【推移】
17日(月):
週末のNY株式市場は大幅安。NYダウは一時500ドル超の下落。NASDAQも2%の下落で2700ポイントを割れ込んだ。取ってつけたような材料は中国の11月の小売売上高が15年ぶりの低い伸び。鉱工業生産も約3年ぶりの低い伸びにとどまったこと。
また12月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)は4年ぶりの水準に低下したことも悪材料視。「世界経済の減速懸念が再燃した」との解釈だ。今後2年以内に米国が景気後退に陥る確率は40%と1カ月前の35%から上昇。
予想確率がここまで上昇したのはリーマンショック8カ月前の2008年1月以来のこと。
日経平均株価は132円高の21506円と反発。「前週末に先駆けて下げていたことからの自律反発狙い」との解釈だ。
もっともディフェンシブ関連の上昇がメインで「リスク回避の雰囲気は強い」という声も聞こえる。「FOMC待ち」という見方だ。
5日移動平均線21489円は上回ったが25日線(21796円)はまだ抜けない。騰落レシオは79%台。11月7日以来約1ヶ月ぶりの70%台となった。ソフトバンク、トヨタが上昇。第一三共、リクルートが下落。日経ジ ャスダック平均、東証マザーズ指数は続落。
18日(火):
週明けのNY株式は大幅続落。NYダウは500ドル超の下落。「世界景気の先行き不透明感からNYダウは前週末に最高値からの下落率が10%を超え調整局面入り。週明けも押し目買いを入れる材料に乏しく、持ち高を手じまい目的の売りが続いた」との見方だ。3月23日の安値23533ドルに接近。悪材料視された材料は多い。
まずはトランプ大統領のツイート。「信じられないほどのドル高でインフレの兆候がない。パリは燃え、中国は減速しているのに、Fedはさらなる利上げを検討している」。
NY連銀製造業景気指数は前月比12.4ポイント低下の10.9ポイント。市場予想(20.1)を大幅に下回った。新債券王のジェフリー・ガンドラックCEOがCNBCでコメント。「弱気相場を確信している。S&P500は2018年初めにつけた安値を下回るだろう」。
日経平均株価は391円安の21115円と反落。3月29日以来、約9ヶ月ぶりの安値となった。中国の周国家主席の演説が空振りに終わったことも売りを誘った。日東電工、アドテストが上昇。武田、リクルートが下落。
19日(水):
NYダウは330ドル高と80ドル安が同居し終値は82ドル高。NYダウとNASDAQはボーイングや「FAANG」銘柄が上昇し小幅反発。S&P500は一時1.1%上昇した場面もあったが横ばい。
共和党のマコネル上院院内総務が「共和党の歳出法案を民主党が拒否した」とコメント。これが嫌気された。法案が可決されなければ、一部の政府機関が閉鎖される可能性があるという見方だ。原油先物は供給過剰を巡る懸念から7%超の急落。
12月14日時点の裁定買い残は3817億円減の7277億円。16年11月以来の1兆円割れとなった。同裁定売り残は984億円減の6362億円。「メジャーSQを挟んで減少した」という解釈と「金利低下が裁定機会を失わせた」という解釈が可能だ。
日経平均株価は127円安の20987円と続落。ソフトバンクの初値の軟調が嫌気された。テルモ、スズキが上昇。国際帝石、東エレが、下落。
20日(木):
NY株式は大幅に続落。NYダウは383ドル上昇し512ドル下落し結局351ドル安。あいかわらずの引け際の下落で昨年11月以来の水準となった。3市場の売買高も108億株と増加。ダウ輸送株指数は3.2%安。9月14日の最高値からほぼ21%下落し調整相場入りとの解釈。
S&P500は9月20日の終値ベースでの最高値から14.5%下落。下落の背景はFOMC通過。FF金利の誘導目標を2.25~2.50%に引き上げることを決定。
今年4回目になる。2019年の利上げ回数の見通しは2回。9月に示した前回見通しの3回から引き下げた。
パウエル議長が「バランスシートを自動操縦で縮小させる現在の方針の変更は想定していない」と発言。「成長が減速する中で利上げによるマイナスの影響は懸念」との見方となった。「市場が期待したほどハト派的ではない」との解釈。
日経平均はNY株安を受けて寄り付き208円安。終値595円安(一時704円安)。中国株の下落と円高トレンドを背景に「売りが売りを呼んだ」格好。日経平均、TOPIX、ジャスダック平均は終値ベースの年初来安値を更新。
日経平均は3月安値を切って17年9月以来の安値水準。新安値銘柄は1045。(2011年3月15日1048銘柄、2016年2月12日1023銘柄。武田薬、リソー教育が上昇。郵船、コマツが下落。
21日(金):
NYダウは464ドル安。NASDAQは108ポイント安。S&P500は39ポイント安。それぞれ2%弱の下落。世界的景気減速懸念が相変わらず継続。「売られ過ぎ」という声も聞こえ始めた。10年国債利回りは2.79%台。原油先物は45ドル台。ドル円は111円台前半。VIX(恐怖)指数は28.84。
日経平均株価は226円安の20166円と続落し連日の年初来安値更新。2017年9月15日以来ほぼ1年3カ月ぶりの安値水準に沈んだ。NY株安と為替の円高傾向が影を落とした格好。4日間で1300円あまり下落したが2万はかろうじて割れなかった。
「マティス国防長官の退任が明らかになり、米国の対外強硬路線への警戒感が再燃」という声も聞こえる。3連休前の手控えも下落に拍車をかけた。
TOPIXは4日続落し年初来安値を更新。2017年4月20日以来の安値水準だ。東証1部の売買代金は3兆5573億円と増加。値上がり225銘柄、値下がり1886銘柄。ソフトバンク、ファナックが上昇 。任天堂。ソニーが下落。
(2) 欧米動向
「恐慌博士ルービニ教授」のコメント。
「仮想通貨は全てのバブルの究極」などの批判が多い。
目についたのは「20年には経済危機」というコメント。
逆説的に「待ってたぜ」のコメントだ。
↓
米国が大きな財政赤字を容認し、中国が緩い財政・金融政策を追求。
欧州が回復基調を続けていることを考えれば、現在の世界的景気拡大は来年も続くだろう。
しかし2020年までには金融危機の土壌が出来上がり、その後世界的な景気後退がやってくるだろう。
「昨年までは経済危機は予想されないと話していたから、久しぶりに終末博士の面目躍如だ」。
そして・・・。
政府が自由落下を防ぐ政策ツールを有していた2008年と異なる点。
次の景気後退に立ち向かう政策決定者は両手を縛られている。
一方で、全体の債務レベルは前回の危機よりも高い。
それがやってくれば、次の危機と景気後退は前回より過酷で長く続くものになるかも知れない。
(3)アジア・新興国動向
中国を安倍首相は10月末に訪問した。
中国の巨大経済圏構想「一帯一路」への協力姿勢について安倍首相はこう話しているという。
「実際に中国に何かサービスをしているわけではない。
こっちの利益になることは一緒にやってもいいというだけだ」。
そもそも「一帯一路」に加担している訳ではないということ。
これはアメリカとの絡みで微妙なところだ。
しかし一方ではプーチン氏と日露会談も行っている。
「ロシアにとってアジア太平洋地域へむけたゲートウェイになっている」と指摘。
「これによってロシアはヨーロッパであるとともにアジアの国でもある。
ロシアとの関係を強化することによって日本もヨーロッパへ近づくことができる」。
船便と比較すると同じ料金で半分の日数で可能。
表現は悪いが、実は中国とロシアを手球に取った格好。
打って返しにならなければ結構強い立場。
おとなしい「ミニトランプ」みたいに見える。
「ペリーの黒船来航の翌年にロシア艦隊が長崎に入っている。
乗員らは紳士的で幕臣の一部から『日露で反米同盟を』の声も出たという。
実はこの時のロシアはクリミア戦争で不利な立場にあり国境策定も日本に譲った。
状況を見極めての駆け引きは、今も昔も外交の妙」。
これは火曜日経朝刊「春秋」の記載だ。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
24日(月):振替休日で休場、米シカゴ連銀全米活動指数
25日(火):企業向けサービス価格指数、クリスマス
26日(水):日銀金融政策決定会合議事要旨、ケーシシラー住宅価格指数、ボクシングデー
27日(木):米新築住宅販売、CB諸費者信頼感
28日(金):大納会、失業率、鉱工業生産、米シカゴ購買部景気指数、中古住宅仮契約
【12月】
23日(日)満月、東京タワー開業60周年
24日(月)天皇誕生日の振替休日で休場
25日(火)クリスマスでNYロンドン休場、年内受け渡し最終日、変化日
26日(水)ボクシングデーでロンドン休場、上げの特異日
27日(木)株高の日
28日(金)失業率、大納会
30日(日)「TPP11」が発効
31日(月)ニューイヤーズイブでロンドン市場短縮取引
月内:税制大綱とりまとめ、19年度予算案策定
【1月】(6勝8敗で11位。月足陽線確率30%)
1日(火)休眠預金を社会事業に活用開始、ECB銀行監督委員長にエンリア氏が就任、NY・LD休場
3日(木)米国議会開始
4日(金)大発会、米雇用統計、ISM製造業景況感、
6日(日)新月、部分日食、
7日(月)国際観光旅客税がスタート、天皇陛下即位30周年、天王星順行
8日(火)米ジョージア州決戦、下げの日
9日(水)ECB理事会
11日(金)SQ、米消費者物価、変化日、
14日(月)成人の日で休場
16日(水)機械受注、米小売売上高
17日(木)米ベージュブック、変化日
21日(月)NY市場休場(キング牧師生誕記念日)トランプ大統領就任から2年、満月
22日(火)日銀金融政策決定会合(~23日)変化日
23日(水)ダボス会議(~25日)
24日(木)米製造業PMI
25日(金)米耐久財受注
29日(火)変化日
30日(水)米GDP速報値
31日(木)鉱工業生産
10月は米金利上昇で株下落。
11月は米金利下落で株下落。
金利が上がっても下がっても株下落の構図は変わらないというのは異常な世界に移る。
金利上昇株下落というのが古典的学問チックには正しい減少。
しかし市場では金利上昇で株上昇がしばしば起こるからややこしい。
日経朝刊の「市場展望」。
見出しは「TOPIXが12月安値。翌年は株安?」。
1990年から2017年までの28年間。
TOPIXが12月年初来安値を更新したのは6回。
そのうち5回は翌年のTOPIXはマイナス。
解説は「今年のTOPIXは1月に1911と高値をつけた後は右肩下がり。
昨日今年の最低1556まで下落した。
銀行や自動車の景況が大きいからだ」。
日経平均では1949年以降、12月に安値を付けたのは07年など11回。
そのうち翌年に日経平均が下落したのは「07年→08年、00年→01年」など7回。
90年以降は5回のうち4回が下落。
「96年→97年。07年→08年」などだ。
「師走安はその後の波乱のシグナル」は避けたいところだ。
発表されたトヨタの心意気。
2019年の世界販売台数を1076万台とする計画を発表した。
18年実績見込を2%上回り3年連続で過去最高を目指すという。
1000万台超は6年連続、
国内販売台数は4%減。
しかし2ケタ増の中国。
ハイブリッドが好調な欧州、中南米がターゲット。
中国は7月に輸入車の関税を引き下げており「19年も好調に推移」との見方。
米中貿易摩擦に対するアンチテーゼあるいは漁夫の利の代表と映ってならない。