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12月05日 個別銘柄情報[3902]メディカル・データ・ビジョン

[12月05日更新]

メディカル・データ・ビジョンは自律調整一巡して上値試す、ビッグデータ関連で中期成長期待

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開している。11月24日付で東証マザーズから東証1部に市場変更した。大規模診療データベースが16年11末現在患者数1687万人と日本国民8人に1人に相当する規模に達し、16年12月期増収増益予想である。株価は9月の上場来高値から反落したが、ビッグデータ関連で中期成長期待が強く、自律調整一巡して上値を試す展開だろう。16年12月期末から導入する株主優待も注目点だ。

■医療情報のネットワーク化を推進

 医療情報のネットワーク化を推進する企業である。医療機関向けに医療情報システムを開発・販売するデータネットワークサービス、および製薬会社向けに各種データ分析ツールを販売するデータ利活用サービスを展開している。

 データネットワークサービスで医療機関向けに医療情報システムを販売するとともに、2次利用許諾を得た患者の医療・健康関連情報を集積する。そして集積した各種情報をビッグデータとして活用するためのデータ分析ツール・サービスを、データ利活用サービスとして製薬会社向けに販売するビジネスモデルだ。

 医療機関からのシステム利用料・メンテナンス費用、および製薬会社からのサービス対価(システム利用料含む)が収益源である。15年12月期の事業別売上構成比はデータネットワークサービス60.1%、データ利活用サービス39.9%だった。

 なお医療関連企業との資本業務提携により、富士フイルムが第1位株主、メディパルホールディングスが第2位株主、シミックホールディングスが第4位株主となっている。

■医療機関向けデータネットワークスサービス

 医療機関向けのデータネットワークサービスでは、DPC制度導入対象病院向けのDPC分析ベンチマークシステム「EVE」「EVE-ASP」および病院経営支援システム「Medical Code」を主力としている。DPC制度は急性期病院における入院医療を対象とした診療報酬の包括評価制度である。医療費の適正化、診療データ(DPCデータ)開示による透明性の向上、医療の質向上などを目的として厚生労働省が03年に導入した。

 DPC分析システム「EVE」は自院の診療内容や状況を他院と比較しながら分析できるベンチマークシステムである。15年12月期末の導入病院数は768病院で、DPC病院(1578病院)における「EVE」導入病院の割合45%超という圧倒的シェアを獲得している。DPC詳細分析ベンチマークシステム「EVE-ASP」は実名を公開した自院と他院を比較できるシステムだ。病院向け経営支援システム「Medical Code」は原価管理など病院経営全般に関わる事項を分析できるシステムで、15年12月期末導入病院数は176病院となった。

■医療機関向け新サービスで「エースビジョン」が本格化

 医療機関向け新サービスでは、14年5月に診療所向け電子カルテソリューション「カルテビジョン」をリリースした。2次利用の許諾を得た個人データをさらに集積するため、治験会社などとのアライアンスも積極活用して拡販を強化する。

 15年5月には、患者が自分自身の診療情報の一部を保管・閲覧することを目的とした、病院向けデジタル健康ソリューション「エースビジョン」の本格導入を開始した。診察記録モジュール、医療情報統合IDカード「CADA」および診療情報保管・閲覧サービス「カルテコ」を付帯したトータルソリューションで、25年を目途に2次医療圏(医療法に基づき厚生労働省が決定している医療の地域圏)344医療圏に各1病院の導入を目指している。

■製薬会社向けデータ利活用サービス

 製薬会社向けデータ利活用サービスは、データネットワークサービスで集積した医療情報などの各種データをビッグデータとして活用し、処方数分析、処方診療科分析、併用薬分析、副作用発生リスク分析などの分析ツール・サービスを提供する。

 医療機関における処方実態が把握可能な診療データ分析ツール「MDV analyzer」を主力として、製薬会社個別ニーズに対するサービス「アドホック調査サービス」も提供している。15年3月には薬剤安全性分析をはじめとした疫学調査支援を目的とした分析システム「MDV analyzer for Academia」を、15年4月には薬剤処方実態に関する基礎分析が簡便に行えるWEB分析ツール「MDV analyzer Light」をリリースした。

 先発薬向けが主力だが、15年2月にはOTC(一般用医薬品)およびH&BC(ヘルス&ビューティケア)分野を対象とした調査分析サービスも開始した。15年4月にはクロス・マーケティンググループ<3675>と共同で、OTC・H&BCメーカー向けに診療統計データと定性データをリンクさせたワンストップ分析サービス「ヘルスオプティマイザー」の提供を開始した。

 15年6月には診療統計データ分析レポート「Medical Trend Report for 食品・機能性食品」の提供を開始した。15年4月から機能性表示食品制度がスタートしたことに対応して、機能性表示食品群において未整備のカテゴリー体系を当社が独自に26カテゴリー・83セグメントに定義構築し、食品・機能性食品向けの疾病市場分析などを提供する。

 15年9月には診療統計データ分析レポート「Medical Trend Report for シニアマーケット」の提供を開始した。60~80歳における疾病マーケットをEBM(根拠に基づいた医療)の観点で捉え、シニアマーケットの動向を現状分析のみならず、高齢化による人口動態や疾病構造の変動も考慮し、10年後の将来予測も踏まえてレポートしている。

 16年11月には業界初となる実臨床現場における医療材料に関するメーカー別・製品別シェア分析調査サービスの提供を開始した。

■日本国民8人に1人、民間最大規模の診療データベースに成長

 12月2日発表の診療データベース概況によると、当社が保有する大規模診療データベース(病院から2次利用の許諾を得て、匿名化処理がなされた入院患者ごとの診断名、治療方法、薬剤処方が分かる実臨床データ)について、16年11月末現在の実患者数は1687万人(15年12月末比332422万人増加)で、日本国民8人に1人に相当する規模に達している。

 全保険種類を網羅した民間では最大規模を誇るデータベースで、規模と質において製薬会社・研究機関から高い評価を受けている。副作用の発生リスクや薬剤の効果検証などに活用されているほか、16年からはインシュアランス(保険)分野での活用も広がっている。

■中期成長に向けて事業領域拡大推進

 中期成長に向けてDPCデータを含めた個人データをさらに集積し、カルテ情報を永続的に取得できるように、電子カルテ・オーダリングシステム・レセプトコンピュータなど基幹システム分野への進出も計画している。病院・診療所への事業展開加速、永続的に取得するインフラおよびデータベース作りを通じて、事業基盤安定化とともに中期成長を目指す方針だ。

 15年6月には医師専門転職サイト「メディリア」をオープンした。厚生労働省が04年に「新臨床研修医制度」を導入して以来、大学医局へ入局するのではなく、自ら情報を集めて勤務先病院を選択する医師が増加していることに対応し、勤務地・病床数・報酬といった基本情報だけでなく、当社が独自に保有している大規模診療データベースなどを活用して患者特性や診療実績などの情報も提供する。医療情報統合IDカード「CADA」の発行・管理・運用受託などを行うことを目的に15年4月設立した子会社CADAは、病院での決済事業を実験的にスタートした。

 16年8月にはCEホールディングス<4320>で電子カルテシステム開発・販売を行うシーエスアイ(CSI)と業務提携した。15年6月サービス開始した患者向けWEBサービス「カルテコ」と、患者が支払日を決められる医療費後払いサービス「CADA決済」などを融合した病院向けデジタル健康ソリューション「CADA-BOX」を、既存の電子カルテシステムと連携させるスキームの第一弾として、CSIの電子カルテシステム「MI・RA・Isシリーズ」に「CADA-BOX」を連携させる。

 16年10月、医療費専門決済事業に進出して医療費後払いサービス「CADA決済」の提供を開始、診療情報の共有機能と医療費後払いサービスなどを融合した病院向けデジタル健康ソリューション「CADA-BOX」の提供を開始した。

■第4四半期の構成比が高い収益構造

 四半期別の業績推移を見ると、15年12月期(非連結)は売上高が第1四半期4億77百万円、第2四半期4億76百万円、第3四半期7億32百万円、第4四半期7億26百万円で、事業別にはデータネットワークサービスが2億97百万円、2億89百万円、4億74百万円、3億88百万円、データ利活用サービスが1億80百万円、1億86百万円、2億57百万円、3億38百万円だった。営業利益は21百万円、50百万円の赤字、1億29百万円、1億82百万円だった。データ利活用サービスに占める外資系製薬会社の割合が高いため、外資系製薬会社の決算期に当たる第4四半期の構成比が高い収益構造である。

 15年12月期(非連結)は14年12月期比増収増益だった。新規事業立ち上げ、積極的な人材採用、営業活動強化などで売上原価と販管費が増加したが、増収効果で吸収した。売上総利益は21.2%増加し、売上総利益率は78.6%で1.7ポイント低下した。販管費は23.7%増加し、販管費比率は66.9%で横ばいだった。ROEは6.9%で1.1ポイント低下、自己資本比率は85.3%で0.1ポイント低下した。

 事業別売上高はデータネットワークサービスが19.5%増の14億49百万円(初期導入費のパッケージが31.1%増の7億30百万円、月額保守費のメンテナンスが9.6%増の7億19百万円)、データ利活用サービスが30.8%増の9億63百万円(アドホック調査サービスが31.6%増の6億86百万円、「MDV analyzer」が11.7%増の2億40百万円、新規が36百万円)だった。

 なお15年12月期末の「EVE」導入病院数は63病院増加の768病院、DPC病院(1578病院)における「EVE」導入病院の割合は45%超、「Medical Code」導入病院数は45病院増加の176病院、診察データの実患者数は400万人増加の1265万人だった。

■16年12月期第3四半期累計は計画水準で実質増収増益

 今期(16年12月期)第3四半期累計(1~9月)の連結業績(子会社CADAの重要性が増したため連結決算に移行)は売上高が17億32百万円、営業利益が1億23百万円、経常利益が1億22百万円、純利益が75百万円だった。売上高、利益ともほぼ計画どおり順調に進捗した。

 前年同期の非連結業績(売上高が16億86百万円、営業利益が1億円、経常利益が98百万円、純利益が56百万円)との比較で2.7%増収、23.0%営業増益、24.5%経常増益、33.9%最終増益だった。高単価・低収益の電子カルテシステムの積極的な販売を見合わせ、16年10月提供開始の病院向けデジタル健康ソリューション「CADA-BOX」の営業に注力した。売上総利益率は82.0%で4.7ポイント上昇、販管費比率は74.8%で3.4ポイント上昇した。

 16年9月末時点における「EVE」累計導入病院数は15年12月期末比11病院増加の779病院、「Medical Code」累計導入病院数は同32病院増加の208病院、大規模診察データベース実患者数は同332万人増加の1597万人、データ利活用サービスの診療データ分析ツール「MDV analyzer」利用社数は同2社増加の13社となった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期5億19百万円、第2四半期5億17百万円、第3四半期6億96百万円、営業利益は11百万円、18百万円の赤字、1億30百万円だった。

■16年12月期通期は増収増益基調

 今期(16年12月期)通期の連結業績予想(連結決算移行に伴って8月8日公表)は、売上高30億01百万円、営業利益3億03百万円、経常利益3億円、純利益1億74百万円としている。前期(15年12月期)の非連結業績(売上高24億13百万円、営業利益2億82百万円、経常利益2億80百万円、純利益1億64百万円)との比較で24.4%増収、7.3%営業増益、7.3%経常増益、6.5%最終増益となる。配当予想は無配継続としている。

 システム開発、データ蓄積セキュリティ強化、電子カルテソリューション拡販、積極採用に伴う人件費の増加などで営業利益は小幅増益だが、主力製品・サービスが好調に推移し、新サービス投入も寄与して大幅増収見通しである。通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が57.7%、営業利益が40.6%、経常利益が40.7%、純利益が43.1%で低水準の形だが、第4四半期の構成比が高い収益構造のためネガティブ要因とはならない。通期ベースでは増収増益基調が期待される。

■17年12月期から成長の第4フェーズで投資回収期

 中期成長イメージでは、15年12月期および16年12月期を成長の第3フェーズの投資継続期として、目標値として売上高は毎年30%前後の増加、売上高経常利益率は10%前後の維持としている。電子カルテソリューションを介して個人から同意を得た診療データを蓄積し、個人が診療情報を管理できる仕組みを構築する。さらに蓄積された多様なデータを活用して、利活用サービス領域の成長を加速させる。

 そして17年12月期からは成長の第4フェーズで投資回収期としている。蓄積データを活用して利活用サービスのビジネス領域が拡大し、売上高の拡大とともに投資回収を開始する方針だ。中期的に収益拡大基調が期待される。

■株主優待制度を16年12月期末から導入

 株主優待制度は16年12月期から導入する。毎年12月31日現在の100株(1単元)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価の動き(16年7月1日付で株式2分割、16年11月24日付で東証1部へ市場変更)を見ると、9月の上場来高値3300円円から利益確定売りで反落したが、地合い悪化も影響した11月9日の直近安値2155円から切り返しの動きを強めている。

 12月2日の終値2547円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS18円44銭で算出)は138倍近辺、前期実績PBR(前期実績の非連結ベースBPS527円50銭で算出)は4.8倍近辺である。なお時価総額は約242億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返してサポートラインを確認した形だ。ビッグデータ関連で中期成長期待が強く、自律調整が一巡して上値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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櫻井英明

Author:櫻井英明
日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの公式スマホサイトにて、毎日、株式情報を配信中。

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