<兜町カタリスト>
「温度差」
米国株式市場は小幅に上昇。
ハイテク株が買われ、NASDAQは日中最高値を更新した。
新築住宅販売8年9カ月ぶりの高水準を好感。
決算シーズンを通過し市場の焦点は利上げの有無と時期。
9月に米金融政策当局が利上げする確率は28%。
12月で50%以上となっている。
「景気が十分な力強さを備えて金利の上昇を支えるならば、理想的なシナリオだ」と言う声が聞かれる。
ただ「イエレンFRB議長が26日にワイオミング州ジャクソンホールで行う講演は利上げのタイミングを探る手掛かり」という指摘には聞き飽きた。
アップル、シスコシステムズが堅調展開。
好決算を背景にベストバイ、買収観測を手掛かりにモンサントが上昇。
指数連動系ETFへの資金流入も指摘されている。
「モメンタム銘柄への流れは株価トレンドが上向くとの投資家の確信を裏付けている。
市場の不安はかき消されつつある。
これまで様子見していた投資家はここにきて確信を深めて市場への参加を決断している」という楽観論も台頭し始めた。
ある意味NY株式市場はユーフォリアとなってきた。
大統領選でクリントン候補がトランプ候補に12ポイントの差を付けたことも好感されているようだ。
昨日の日経平均株価は反落。
「期待と失望感の一日」という解釈になった。
「前場の安値水準(0.53%下落、TOPIX0.93%下落)だったら日銀のETF買いがあったかも」。
そんな怨嗟の声まで聞かれる。
後場寄り後に一時プラスになったのが余計な動きだった。
「9月の波乱相場に備え日銀は資金を温存している」という見方もある。
その後は為替の円高トレンドを嫌気して意気消沈の動き。
もっとも16500円は割り込んだものの26週線(16436円)は下回らなかった。
「週末のイエレンFRB議長講演は肩透かしに終わる可能性も高い。
過度に警戒が強まるようなら押し目は買いで臨みたい」という声も聞かれる。
大証夜間取引終値は16550円と16500円台復活。
まずは25日線16583円への挑戦となろうか。
カラ売り比率は44%台で過去最高水準。
これ以上は上昇しないと見れば反発タイミングでもある。
来週30日に白くねじれている一目均衡の雲への期待だろうか。
勝手雲の下限16430円を下回らないことが反発の条件となろう。
16624円を上回れば視界良好となる。
昨日日経では「ソニー・東電、IoT連携」の見出し。
そして「家電週修理、スマホで受け付け、パナソニック、全商品にQRコード」。
今朝は1面で「中国スマホ決済、日本でも」としてQRコードでの決済増加の記事。
リオ五輪の入場券がバーコードだったからかも知れないが、QRコードが目立ち始めた。
理由はたぶんIoTの進展なのだろう。
だとしたら、読み取り装置ももっと進化するに違いない。
経済産業省は「IT・サービスも減税を」と要望し始めたから本気かもしれない。
AIとIoTの後押しということになろうか。
加えれば交通や健康などの規制改革工程表を作り始めたという。
2030年末までの法改正などを盛り込むという。
担うのは経産相の諮問機関である産業構造審議会。
第4次産業革命官民会議とも連携するという。
目指すのは以下の4点。
(1)自動走行・ドローンなどの「交通」
(2)介護ロボット普及などの「健康」
(3)ITとロボットを駆使する「ものづくり」
(4)家電の稼働状況に応じた発電などの「暮らし」
2013年の規制改革は中小型個別銘柄の株価成長につながった記憶がある。
夕刊紙に「規制改革銘柄」というのを半年連載した。
今回も相場の夢の起爆剤になってくれるだろうか。
個別ではPCI(3918)が9月12日に東証1部か2部指定の予定。
昨年8月にマザースに上昇して1年1か月だった。
同社は自動車、家電などの組み込みソフト開発が主力。
IoT開発も手掛けているからまさに主流。
しかも増資が30万株程度で最大7億円。
1株当たり利益の希薄化という声もあるが、むしろ株がなければ相場にはならないというのが市場の鉄則。
本社移転費用と研究開発等に資金が必要というのは成長のプロセスだろう。
今期の1株当たり配当普通配40円と合わせて50円。
配当性向は40%超となる見通し。
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アイケイ(2722)・・・動兆
アイケイに注目する。
同社はカタログ通販会社で生協向けが強み。
テレビ通販プライムダイレクトも傘下。
テレビ通販やネット通販が拡大基調。
生協組合員向け軸の雑貨や食品類のカタログ通販も堅調。
業績の回復感は顕著になってきた。
(兜町カタリスト櫻井)