<兜町カタリスト>
「機が熟せば」
NY株式市場は小幅反発。
一時下落局面もあったが上昇材料は午後に公表された7月のFOMC議事要旨。
利上げの是非をめぐり意見が分かれていたことから早期利上げ観測が後退。
「市場はFOMCが利上げのタイミングを誤るのではないかと危惧している」という声も聞こえる。
しかし大統領選を前に利上げを行うほどFOMCも愚かではなかろう。
しかし常識論に立てば早くて12月。
利上げをめぐってああだこうだと床屋政談を繰り返すのは洋の東西を問わない。
結論のない不毛の議論を高等遊民のように反復するのが市場の特性でもある。
足元ではS&P500採用銘柄の9割が決算を通過。
78%で利益が予想を上回り、56%で売上高が予想を上回った。
利益は予想を上回って推移しているがアナリスト予想はなお2.5%減益見通し。
7~9月期については0.8%の減益予想。
「もしそうなればリーマンショック以降最長の6四半期連続減益」という指摘。
減益は続いても指数は市場最高値というパラドックの背景は、景気回復期待なのだろう。
3日ぶりに反発したのが昨日の東京株式市場。
99円台→101円の為替動向が好感されたとの解釈だった。
基調としては「買い戻しのリバウンド」だった印象。
興味深かったのは昨日朝方の非公式外資系動向。
売り1050万株/買い750万株。
金額ベースは48億円の売り越しで9日ぶりの売り越しだった。
しかし指数は反発しての動き。
もともとアテにならない数字とわかっていながら毎朝見る習慣は抜けないものである。
指数寄与度の高い銘柄の上昇も目立った。
一方東証1部の低位中小型銘柄や東証2部銘柄が乱舞しているところもあった。
日経レバの売買代金が低下してきた一方で個別銘柄の値幅取りの動きがでてきているのだろう。
先週末のSQ値16926円を終値で抜けない時間が4日連続。
8月がSQ高値で終わるかどうかの正念場となろうか。
もっとも昨日の動きを見ても25日線(16546円)が下値をサポートしているのが現実。
8月12日に75日線を上抜けゴールデンクロスした余力は残っている。
一目均衡の雲は30日に白くねじれているから月末期待となる可能性もある。
8月第2週の裁定買い残は1718億円減少しわずか4734億円。
7年5ヶ月ぶりの低水準となった。
東日本大新震災の時よりも少なくほぼリーマンショック直後の水準。
明らかに解消売りはもう出ない域だ。
それでも売りが増加するなら、マイナス金利の悪弊とでも言えるだろう。
225先物大証夜間取引終値は16670円。
小幅安の展開となりそうな気配。
となると後場の日銀ETF買いへの期待もまた出てこようか。
7月の訪日観光客は229万人で過去最多。
中国からは27%増、韓国からは30%増、
いずれも過去最高でこのままなら11月に2000万人を越えるとの見通し。
あとは海外マネーが市場に来てくれればいい。
そして「猛暑が潤す。飲料、めんつゆ、制汗剤販売好調」の見出し。
消費の不透明の中でも必要なものは売れている。
「夏は暑く冬が寒く」が相場の常識。
これは明治以降変わっていない筈。
月末金曜の早帰りイベントよりも効果は大きい。
そして特別会計の借入金利はゼロ%まで下げる方針。
財投の金利も引き下げ予定。
昨日、富士ゴルフコースで首相は麻生財務相と財務次官とプレイ。
財務省も味方につける動きをしている印象。
どんなに好材料があっても、どんなに好業績であっても機が熟さなければ株は上がらない。
要はタイミングということだろう。
「潮目をみる大切さ」とでもいうのだろう。
あるいはどんなにボロ株で悪材料ばかりでも、これも機が熟せば反発上昇する。
巧みな市場関係者の得意技はこの「機を見るに敏」な動き。
動き始めた列車に飛び乗る技術を会得することは必要だろう。
どんなに良い株も孤高で唱えては犬の遠吠え。
しかし遠吠えだっていつか集まれば歓声に変わる筈。
NYダウは21ドル高の18573ドルと反発。
NASDAQは1ポイント高の5228ポイント。
S&P500は4ポイント高の2182ポイント。
ダウ輸送株指数は31ポイント高の7882ポイント。
3市場の売買高は約64億株とやや増加。
CME円建ては大証比90円安の16660円。
ドル建ては大証比70ポイント安の16680ポイント。
大証夜間取引終値は16670円。
ドル円は100.24円。
10年国債利回りは1.549%。
非公式外資系動向は売り700万株/買い760万株。
金額ベースは28億円の売り越し(2日連続)。
売りは薬品・通信・陸運・精密セクターなど。
買いは非鉄・食品・サービス・機械・鉱業セクターなど。
売買交錯は銀行・不動産・電機セクターなど。
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(兜町カタリスト櫻井)