<兜町カタリスト>
「23日には白いかも」
NY株式相場は前日の最高値から反落の展開。
ニューヨーク連銀のダドリー総裁が「来月にもFRBが利上げに踏み切る可能性がある」と発言。
加えてアトランタ地区連銀のロックハート総裁。
「米経済は年内に最低1回、場合によっては2回の利上げができるほど強そうだ」と発言。
早期利上げへの警戒感が拡大し売り物優勢の展開だった。
もっとも・・・。
市場では「ほとんどの市場参加者はFRBが本当に9月に利上げするとは想定していない」という声。
相場に動きが欲しい為替市場関係者の思惑に乗らされたような印象はぬぐえない。
さして大きな材料がないから地区連銀総裁の発言に一喜一憂といったところだろうか。
株価は最高値圏にあり、ささいな悪材料を誇大に想定する傾向があるのだろう。
売買エネルギーはあいかわらず低調で3市場の売買高は約59億株。
NYは今週のSQを控えてやや荒れやすい局面でもある。
ブルームバーグで紹介されているのはロング・ショート戦略のヘッジファンド。
純株式保有が過去3カ月の増加。
買い持ちは売り持ちを22.7ポイント上回っている。
市場全体の空売り指標は4年ぶりの大幅な縮小。
「空売りが目立つ銘柄が買い戻され、前日にS&P500は7月上旬以降10度目の最高値更新となった。
ファンドは強気相場入りして以降毎年、リターンがS&P500全体を下回る産業の買い支えに走っている。
ウォール街のストラテジストが下落を予想し、個人投資家が株式ファンドから資金を引き揚げる中で、株価が底堅さを保っている理由にこれらファンドの買いが挙げられる」と指摘されている。
NY株高を好感して反発からスタートした昨日の東京株式市場。
薄商いの中の為替の円高と相まって結局は反落の展開。
日銀によるETF買いは12億円だけだった。
前場が小幅マイナスだったが707億円の出動はなかったことが失望感につながったとの解釈。
「日銀も夏休みなのか」という声まで聞かれる。
昨日日経1面の「企業業績、減速感強く」も効いたのだろう。
売買代金の2兆円割れは2日連続となった。
日経朝刊では「足元では商いも低調」の見出し。
「日経平均17000円の壁」という指摘が見られる。
今年の累積売買代金が多いレンジだから跳ね返されるという見方。
時間軸を換えれば可変の領域だからあまりあてにはならない。
しかし証券マスコミが好んで使う指標でもある。
むしろ25日線からの4%かい離への警戒感があったとした方がシックリしよう。
その25日線は16505円。
75日線は16346円。
25日線がサポートしてくれるかどうかが今日の課題。
シカゴ225先物終値は16560円。
大証夜間取引終値は16580円だから朝方の戻り基調に期待してみたい。
勝手雲は19日に黒くねじれ23日に白くねじれている。
8月22日大幅高のアノマリーが成立すると仮定すればまさに「押し目」形成の局面。
米地方連銀総裁のコメントに付和雷同して一喜一憂するよりも
日銀のETF買い動向を再度かみしめることが必要になってこよう。
為替市場にとっては円高も円安もどちらでも良いのだろう。
要は上げても下げても動きさえすれば良いということ。
実業の輸出産業や輸入産業に与える歓喜や苦悩など全く関係なし。
市場関係者の思惑どおりの動きさえすれば良い。
ここが株の世界とは少し違うところだろうか。
株の世界は前提が成長期待にある。
株価の上昇が企業にあたえる影響はそれほどないが、株価の上昇は新株発行などをやりやすくする。
為替の世界に「国民金融資産の健全な成長と長期安定資本の調達」なんて規定はなかろう。
この縛りの中にあるのが株式市場。
だから右肩上がりでなければならないというのが前提となる。
名言は「インフレでは買い方、デフレでは売り方が相場をつくる」。
この20年以上否応なしのデフレという政策で売り方に立場を与えてきたのが政策。
買い方に立ち位置をいただけるのならば、インフレという政策に向かわざるを得ないだろう。
金利が上げれば株が暴落という説はあるし、多くの市場関係者が信奉している。
だからマイナス金利幅の拡大を唱える向きも多い。
しかし20年以上効かなかった政策を転換してみることも必要ではなかろうか。
デフレからインフレに降って日本経済をまた痛めつけようなんて思考は今のところないような気がする。
戦後の動乱期のハイパーインフレの呪縛から一度解放することも戦後71年目の役割ではなかろうか。
株価下がる、円高になる。
これは市場の嫌うところ。
しかしソコソコの値があるから売られるもの。
所詮限界線まで行けば復活するのが市場でもある。
中途半端な値段でいるから「上がらなければ売ってみな」となる必定。
売り叩いて極致までいけばもう下げ相場はない筈。
それくらいの覚悟ができればいいのだが、なかなか。
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