
【大引け概況】
29日の日経平均株価は反発し、前日比92円43銭高の1万6569円27銭で終えた。
取引時間中に判明する日銀の金融政策決定会合の結果を目前に控え、寄り前から為替が急速に円高に振れるなど朝方から波乱を予想させる雰囲気でスタートした。
後場寄り早々に追加緩和の決定が伝わり、日経平均はいったん200円高まで上昇したが、その後は緩和が小幅にとどまったことを嫌気するかたちで売りを浴び、一時300円強の下げをみせ1万6100円台まで水準を切り下げる場面があった。
株価指数連動型上場投資信託(ETF)の年間買い入れ額を増やすと同時にマイナス金利は現状を維持すると決めた。
先行きの株式需給の引き締まりが意識され、金利据え置きで銀行の業績悪化懸念が後退したことで買いが優勢になった。値がさのソフトバンクが買われ一銘柄で日経平均を40円近く押し上げた。
円相場の上昇が輸出関連株の一角に売りを誘う一方、三菱UFJが8%近い急伸となるなど銀行株高が全体をけん引した。長期金利の上昇を受けて運用環境が改善するとの見方から、第一生命など保険株も買われた。
朝方発表の6月の全国消費者物価指数(CPI)は生鮮食品を除く総合が前年同月比0.5%下落と、日銀が量的・質的金融緩和を導入する直前の2013年3月以来の下落幅となった。6月の家計調査による実質消費支出なども市場予想を下回った。
脱デフレが遠のいたとの見方から、政府の財政出動とあわせて日銀も大規模な追加金融緩和に踏み切るとの思惑が強まった。日銀の会合結果判明を控えて、円相場が急伸するなど不安定な外部環境を背景に株式相場の方向感は乏しかった。
JPX日経インデックス400も反発し、前日比126.59ポイント高の1万1879.95で終えた。東証株価指数(TOPIX)も反発した。
業種別TOPIXは全33業種中25業種が上昇した。「銀行業」や「証券商品先物」「保険業」の上げが目立った。半面、「不動産業」や「鉄鋼業」「卸売業」などは下落した。
東証1部の売買代金は3兆2967億円で、英国が欧州連合(EU)からの離脱を国民投票で決めた6月24日以来、ほぼ1カ月ぶりの水準に膨らんだ。
売買高は31億8874万株だった。値上がり銘柄は1241、値下がりは604、変わらずは126だった。

個別では、ソフトバンクグループが商いを膨らませ大幅高、三井住友FG、みずほFGのメガバンクがそろって大幅高となり、前日に2016年4~6月期決算や自社株買いを発表した野村も急伸した。トヨタや富士重など自動車株の一角が上げ、前日に電池事業の売却を発表したソニーも買われた。日電産やデンソー、アステラスも高い。きょうも売買代金首位の任天堂は3日ぶりに反発した。
半面、ヤマハ発が安く、ファナックや日産自、KDDIが下げた。金利引き下げの見送りを受け三井不や菱地所、住友不など不動産株に売りが膨らんだ。村田製、花王、伊藤忠も安い。
Hameeが急落、東邦チタニウム、IHIなどの下げが目立った。
東証2部株価指数も反発した。大引けの2部指数は、前日比48.06ポイント高の4259.21となった。
個別銘柄では、安川情報、NVC、DITがストップ高。 ダイトケミクス、朝日インテク、ジー・スリー、ベネ・ワン、那須鉄、くろがね工作所が上げた。半面、田岡化学工業、ウインテスト、ゼニス羽田ホールディングス、ラオックス、ローツェが下げた。
【市況】日経ジャスダック平均反発、追加緩和で内需株物色

日経ジャスダック平均株価は反発した。
終値は前日比9円76銭高い2468円98銭だった。日銀が金融政策決定会合で決めた追加金融緩和策が大胆な緩和を想定していた市場の期待に届かなかったことで、「場合によっては今後円高が想定されるため、為替相場の影響を受けにくい内需株を物色する流れが浮上した」という。
ジャスダック市場の売買代金は概算で308億円、売買高は8743万株だった。
個別銘柄ではIRジャパンHDがストップ高。ルーデン、北川精機、ダルトン、マクドナルドやインタライフ、セリアが上昇した。
半面、アスコットが一時ストップ安。EAJ、ニューフレア、日本アイエスケイ、ユタカ技研プロパスト、平田機工は下落した。
【市況】東証マザーズ指数は反発、時価総額大きい銘柄に買い

東証マザーズ指数は反発した。
終値は前日比9.41ポイント高い920.40だった。個別銘柄ではフリークアウト、エスティックがストップ高。ウェルスマネは一時ストップ高と値を飛ばし、AMBIT、UNITED、そーせい、ミクシィ、JIGSAWが上昇した。一方でエナリスがストップ安。リファインVやサイバダイン、グリンペプ、INSPEC、GMOテック、リファインバースは下落した。