<兜町カタリスト>
「猫じゃらし」
NYダウは続落、NASDAQは反発、S&P500は小動きと指数はマチマチの動き。
FOMCを待つ小動きだった。
新築一戸建て住宅販売は前月比で増加し、過去8年余りで最高水準。
予想よりも早く9月利上げになるかどうかが課題視され始めている。
5年国債入札の応札倍率は2.27倍で、2009年7月以来7年ぶりの低水準。
いずれにしても明朝午前3日のFOMC結果発表通過待ちの姿勢だ。
決算には敏感な展開で予想より好調だったキャタピラーとテキサス・インスツルメンツは5%以上上昇。
逆にマクドナルドは米国の既存店売上高伸び率が予想を下回ったことから4.5%下落。
もうひとつ待たれていたのはアップルの4~6月決算発表。
3四半期連続の減収見通しながらアイフォンの販売台数が4040万台と市場予想を上回った。
売上高も市場予想を上回ったことから時間外取引で株価は5%超の上昇。
またツイッターの第2四半期決算は、売上高が前年同期比約20%増の6.02億ドルで着地。
こちらは市場予想を下回ったことから株価は時間外で約10%の急落。
政府がまとめる経済対策への警戒感を背景としてアノマリー通りに下落した7月26日。
金融緩和についても8割が期待感を持っている。
しかし「現状維持」に対する警戒感から金融・不動産セクターが軟調な展開。
「円高の進行や日銀金融政策会合前に売り込みづらい銘柄群が弱かったことは警戒を強める材料」。
こういう声も聞かれる。
もっとも日経朝刊では「日銀に追加緩和論、政府との連携を重視」の見出し。
「市場は追加緩和を織り込んでおり、緩和見送りなら円高・株安が一気に進む可能性」と脅迫状のような書き方。
また「見落とされているかもしれない政策手段の一つはフォワードガイダンス」と指摘をする市場関係者もいる。
4月の外資系ベンダーの見通しよりもさらに突っ込んだコメントが増えてきた印象。
企業業績という点では米アップルの動向が焦点だった。
決算発表後の同社株は5%超上昇しており電子部品セクターの悪材料出尽くし感につながろうか。
キャタピラーの好決算も機械セクターの下支えになろう。
シカゴ225先物終値は16385円。
225先物大証夜間終値は日中比90円高の16430円。
騰落レシオは115%台まで低下。
松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス7.592%。
買い方マイナス13.724%と差が拡大したが結構反転の水準でもある。
カラ売り比率の40%台が気にかかるが、先物手口をみるとソジェン・メリルが大幅買い越し。
日経平均採用銘柄のPERは13.67倍でEPSは1198円。
第1四半期決算通過でこれが昨年12月の1270円に近付くかどうかが課題だろう。
東証1部の時価総額は昨日500兆円を割り込んできた。
基本は日銀待ちなのだろうが「売りこまれ過ぎ」との声も聞かれる。
16500円台への戻りに期待。
市場を支配する雰囲気あるいは市場心理というのは猫の目のようにコロコロ変わるもの。
昨日は日銀の「現状維持」を警戒した心理が支配的だった。
しかしたぶん今日は追加緩和期待の復活。
日経の見出しに結構左右される面は否めない。
昨日は「財政支出6兆円に」が主食で「ただ今回の対策は2017年度予算を含めた総額。
直後の2次補正案は1.3兆円程度の公共事業を中心とした2兆円程度の規模」。
これに幻滅感を表してより多くを催促した下落だったとも考えられる。
(1)1億総活躍の関連施策
(2)21世紀のインフラ投資
(3)英国のEU離脱対策
(4)復興・防災対策
などには見向きもしなかった印象だ。
そして今日は「最低賃金24円上げ」の横に「日銀内に追加金融緩和論」の見出し。
ほぼ3%の賃上げを実現する方向で有言実行の世界。
それでも、市場は「追加緩和」に猫じゃらしのようにまとわりつくのだろう。
「正副総裁らが検討作業にはいった」というのが妙に現実感を伴っている。
(1)年マイナス0.1%のマイナス金利の引き下げ
(2)年80兆円の国債購入額の増額
(3)ETFなどの資産購入枠拡大
「複数の委員が反対に回る可能性もある」と逃げの記載もある。
しかし「見送りで円高・株安は一気に進む可能性」と迫ったむすび。
市場の無制限の催促の代弁者という気がする。
確かに・・・。
市場は森羅万象を織り込んだ世界。
だから市場は神聖という見方は存在する。
しかし、この「一気に進む」は市場至上主義どころか市場独裁主義の様相だ。
活字や映像が国家を脅迫する構図に見えなくもない。
市場関係者として、確かに緩和も政策も過大な要求にいくらでも応えてほしいとは願う。
しかし、どうも違うような気がする。
マイナス金利で本当に社会や国家が良くなるのかどうか。
ETFを中央銀行が買うことで齟齬はきたさないのか。
無尽蔵な中央銀行の国債購入が財政規律の問題はいいとして将来の円安超インフレへの導線にならないのか。
節度と自制のある要求なのかどうか。
目先の小手先にこだわり過ぎて未来への禍根はないのかどうか。
ここは結構重要だろう。
猫じゃらしで遊んでいずれマタタビで寝てしまうのでは元も子もない。
かつて国家の品格というべストセラーがあった。
市場の品格というものは問われないのだろうか。
市場は欲望の戦いの世界と言われればそれまでだが・・・。
気になるのは昨夜の安部首相。
外神田の鳥料理「鳥つね自然洞」で19時12分から秘書官。
私邸到着は22時。
他に誰がいたのだろうか。
興味深いのは「金融庁、フィンテック拡大に法整備」の見出し。
金融機関でない事業会社が参入しやすくする法整備に乗り出すという。
利用者と銀行の間に立つサービス手がけるIT企業などを当局が法的に監視する枠組み。
利用者が安心して使えるようにするのが狙いだという。
フィンテックの拡大を制度面から後押しする。
「同床異夢」に思えてならない。
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(兜町カタリスト櫻井)