<兜町カタリスト>
「規制と統制」
歴史っていうのは時間軸とタイミングが合うことはめったにない。
でも、相場も一緒だが、ある時に突然振り返ってみたくなるもの。
第一次世界大戦による大正バブル。
その後世界恐慌に直面した日本経済。
完全に機能不全となり、軍部の介入と統制経済を招いたというのが解釈。
昭和以降、太平洋戦争が終結するまでの約25年間は近現代史で最も経済が低迷した時代だった。
起こったのは「世界で初めての長期のデフレ」。
最大の課題は、銀行の不良債権処理と経済のグローバル化への対応。
技術革新や事業の国際化についていけない日本企業の停滞。
そして1923年の関東大震災は日本経済を壊滅的に痛めつけた。
このとき、日本が選択した道は、国債の大量発行による金融緩和。
大規模な公共投資や市場統制もあった。
しかし膨らみ続ける政府債務の増加でインフレが進んだのは紛れもない事実。
終戦直後のハイパーインフレ一歩寸前という最悪の形で終結を迎えることになった。
巨額の財政支出を紙幣の増刷で賄ったことからのインフレ。
卸売物価で見てみると・・・。
1935年を100とすると1945年8月には350。
1949年には2万800。
ハイパーインフレといっても良かろう。
約15年で2万円の価値が1円になってしまったことになる。
だから、中央銀行はインフレを嫌がるのである。
以下は1948年12月にハイパーインフレを押さえ込むためGHQが出した「経済安定9原則」。
(1)総予算の均衡を図る
(2)徴税計画の促進強化
(3)信用の拡張の厳重な制限
(4)賃金安定計画の立案
(5)物価統制の強化
(6)貿易と為替統制の強化
(7)輸出向け資材配給制度の効率化
(8)国産原料・製品の増産
(9)食料集荷の効率化
多少古色蒼然としているが、インフレが進めばこうなってくるのだろう。
今だったらどうなるのだろうか。
統制から離脱して、規制緩和と自由競争の時代に20年近く外国に負けてきた日本経済。
また統制では芸がなさすぎるが、フロムが指摘したように「自由」は意外と窮屈なのかも知れない。
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《兜町ポエム》
「暑中お見舞い申し上げます」
暑中お見舞い申し上げます
株価に買い物受けてるみたいな
夏の日の太陽は眩しくて
キラキラ相場を今にもあなたが
駆けてくるしぶきに濡れて
なぜか材料につかまり
チャートの上まで飛べそうです
今年の夏は少しは熱い
不思議な不思議な夏です
暑中お見舞い申し上げます
下値を誰かに売られるだけでも
相場からダメだよと言われそう
下がりませんかと誘いに来るけど
振り向かず眠ったふりよ
はやく高値に会いたくて
時計をさかさに回してます
今年の夏は心も弾む
不思議な不思議な夏です
暑中お見舞い申し上げます
(兜町カタリスト櫻井)