<兜町カタリスト>
「1年ぶりの6日続伸に期待」
週末のNY株式は19ドル高の17949ドルと小幅に4日続伸。
ISM製造業景気指数が53.2と前月の51.3から上昇。
新規受注、生産、輸出がそろって上昇したことを好感した。
S&P500は週間ベースで昨年11月以来の大幅な上昇。
4日続伸での上昇率は5%。
英国のEU離脱での値下がりをほぼ取り戻した格好。
追加利上げは今年ないというのがコンセンサスとなってきた。
米金利に大きく影響する雇用統計は今週末に発表予定。
事前予想は18万人の増加(前月は3.8万人の増加)と元に戻りそうな気配。
6月29日までの週に株式ファンドから210億ドルの資金が流出したという。
流出額は昨年8月に中国が予想外に人民元を切り下げた時以来の大きさ。
そのうち95億ドルは英国のEU離脱をめぐる国民投票の結果が判明した直後の週明け6月27日に流出した。
1日の流出額としては過去10年間で7番目に大きかったという。
週間流出額の内訳は、欧州の株式ファンドが53億ドルの流出。
2014年10月以来の大きなマイナスで、21週連続の流出だった。
英国は6億ドル、新興国は13億ドルの流出だった。
英国の株式ファンドは、過去10週間のうち9週間がマイナスだった。
ただ先週の先進国株式で一番上昇したのも英国(7.15%上昇、2位は日本の4.89%)。
影響は一過性のものと考えられようか。
一方で「長期的な影響はスタグレーション(インフレと景気後退の併存)ではないか」という指摘も聞かれる。
また「米国株の予想PERは過去30年平均を大きく上回る。
国債に比べれば高くないが、もろい」という声もある。
米エール大のロバート・シラー教授が考案したCAPEレシオは26倍。
リーマンショック前の2007年に近い水準。
ポジとネガの共存という形で「目線がブレグジットから金融政策にシフトした」というところだろう。
4日の米市場は独立記念日の祝日で休場。
先週の日経平均株価は今年2度目の5日続伸で24日の下落幅(1286円)の5割強を回復した。
「台風一過の5連騰」で730円上昇し3週ぶりの週足陽線。
週間ベースでは、日経平均株価は4.9%、TOPIXは4.1%高でともに5週ぶりの反発。
東証マザーズ指数は15.4%上昇し3週ぶりの大幅反発で下落前の全値戻し。
1000ポイント台を3週ぶりに回復した。
「英国民投票の結果では市場の風景一変した」との指摘が聞かれる。
1つは相場を動かす主役の交代。
政府や日銀の一挙手一投足をみて円や株の短期売買を仕掛ける海外ヘッジファンドが鳴りを潜めた。
もう一つは「株価水準が割高とみて沈黙していた個別株の投資家が株価の下落で買い姿勢に転じている」との声。
トヨタが一時5000円の大台を割り込み、異次元緩和の2013年4月以前の水準まで逆戻り。
東証1部の3割以上の銘柄が当時の水準を下回ったという。
ある意味「リセット」という指摘も間違ってはいなかろう。
シカゴ225先物終値は15560円。
高値15700円への挑戦で今年初の6日続伸を見たいところ。
昨年7月13日(月)~21日(月)の6日続伸以来の記録に挑戦の日。
昨年はギリシャの国民投票からの奇策好感のリバウンドだった。
土曜日経1面での「振り込み決済、24時間OK」の見出し。
「三菱UFJ、三井住友まず自行内で」とある。
2018年後半には異なる銀行間にも広げるという。
メリットは「電子商取引や企業間決済の利便性の高まり」。
「みずほ銀行も24時間決済に向け準備を進めている」とある。
ただ印象は三菱UFJと三井住友の先行。
みずほの「準備を進めている」はどのレベルなのだろうか。
フィンテックだって準備は誰でもできる。
問題は「いつまでどのように」という具体性だろう。
ひょっとすると、この問題は金融にとって結構大きいかも知れない。
物事を考えるときに逆のシーンを想定するのも結構役に立つことがあろうか。
例えば、円高を懸念する声はアチコチで聞かれ円安待望論がある。
あるいはマイナス金利反対論もある。
デフレ経済こそが閉塞感の元凶という声もある。
円安になってどんどんお金の価値が減少すると、いずれ預金封鎖だっておこるだろう。
デフレを克服してインフレになった世界では、お金の価値はさらに減少。
失業率は上昇し、国民生活は待望ではなく耐乏と化す。
インフレのもとでの不景気はスタグフレーションと呼ばれ、国家経済破綻の危機にもなる。
円安・インフレではおそらく国債は紙くず化。
多くの金融機関が保有する国債はマーケットの海の木屑となる可能性大。
それでも自国通貨安とインフレがいいのかどうか。
どちらの風景が綺麗に移るのか。
たぶん円安インフレの世界では、この国は世界から相手にされなくなるに違いない。
地政学も大きく異なる構図となってこよう。
瞑想してみることも必要かも知れない。
オプティム(3694)の記事が目立った週末だった。
農薬を使わずに畑の害虫駆除できる農業用の「アグリドローン」を開発。
夜間に畑の上空を自動飛行し、殺虫器使って害虫を駆除するという。
ぶら下げた紫外光の殺虫器に引き寄せられた害虫が高圧電極に触れると駆除されるらしい。
佐賀大農学部と佐賀県農林水産部と共同実証実験で効果確認。
農家の収入を現在の1.5倍に増やすことを目指すという。
また情報基盤「クラウドIoTOS」は農業以外にも様々な分野に利用可能。
本来はネットにつながるデバイス(IoT機器)を管理するためのソフト。
ドローンやセンサー端末、監視カメラなどを管理しながら、各種センサーで捉えた情報を人工知能で分析。
いろいろな用途に生かすという。
◇━━━ カタリスト ━━━◇
メドレックス(4586)・・・動兆
メドレックスに注目する。
同社は経皮吸収型製剤技術が強みの創薬ベンチャー。
アルツハイマー治療薬「MRX─5DML」を新規パイプラインとして臨床試験開始。
帯状疱疹後の神経疼痛治療薬MMRX-5LBTにも期待感。
(兜町カタリスト櫻井)