<兜町カタリスト>
「核」
NYダウは269ドル高の17409ドルと3日ぶりの反発。
200日移動平均を回復した。
前日までの続落は2日間の下げとしては過去5年で最大。
その反動からの「安値拾いの買い」との解釈。
S&P500は過去4カ月で最大の上昇となった。
英国民投票でのEU離脱決定を受けて世界の株式市場では時価総額にして約3.6兆ドルが消滅。
S&P500は前日までの2営業日で5.3%の下落していた。
S&Pは10セクターすべてが上昇。
エネルギー、金融、ハイテクセクターの上昇が目立った。
「市場参加者が米経済は依然として極めて良好であることを思い出した。
誰もが英国のEU離脱という一部分からもっと全体的な状況へと目を向け直した」と言う声も聞かれる。
動揺の最中に核心は見えないものでもある。
「信頼感を示す一例。相場が上昇すれば信頼感がもたらされる。
一日を通じて堅調が維持された。
様子見していたであろう投資家も引き入れられ、買いが広がった」という都合の良い解釈も聞かれる。
VIX(恐怖)指数は21%低下2011年以降で最大の下げとなった。
英国のEU離脱投票優勢を予想していたジョージ・ソロス氏はドイツ銀行を空売りしていたことが判明。
これら投機家のシナリオが材料出尽くしに向かえば株価の反騰期待となろう。
一方で投資家の米利上げ予想は後退。
先物市場が織り込む2017年2月までの利上げ確率は10%。
英国民投票前は52%だった。
一方、11月までに金利が引き下げられる確率は14%程度。
気まぐれな市場はいずれ視点をここに持ってくるのだろう。
功罪相殺ということになる可能性は高いと見る。
6月28日株価大幅高の特異日の日経平均は13円高。
ただ一時15000円を割れた安値からの戻しは456円。
気学では「安値を極めて急伸することあり」となっていたからその通りの展開。
大引け間際に失速したものの6月権利配当落ちの22.44円を即日埋めたことになる。
「10時過ぎの15000円割れを買ったの本当に公的なのだろうか。
海外ファンドが動いたとの説もある」との声も聞かれた。
「日経平均は24日の急落後、安値を割り込まず陽線2本。
25日移動平均線からのかい離はマイナス5.89%。
短期的には強いリバウンド期待」という見通しは間違っていないだろう。
言えるのは、24日の安値14864円は2月12日のザラバ安値14865円とほぼ同水準。
終値の14952.02円は2月12日の14952.61円と同水準。
15000円割れは容赦できないという市場心理の表現が「2度あることは3度ある」になったのだろう。
空売り比率は42%台まで上昇したが日経平均のPERはまだ12.78倍。
騰落レシオも92.83%だ。
2日間で870ドル下落したNYダウ、1985年以来31年ぶりの安値になった英ポンド。
歴史的水準のあとには反動逆行があるのは市場の歴史でもあろう。
シカゴ225先物終値は15555円。
安値は14955円まであったが高値は15570円。
ここを抜ければ今年の「6月29日上げの特異日」のアノマリーは成就する。
「いつまでもBrexitにつき合ってはいられない」のは東京も世界も一緒である。
日経朝刊に掲載されたFT紙の「国民投票はやり直せる」が興味深い。
「この映画は前にも見たことがある。
結末は知っている。
英国がEUを離脱することはない」。
ジョンソン前ロンドン市長の言葉は「NOを示さなければEUは耳を傾けてくれない」。
そういう条件闘争の挙句の果ての離脱派勝利ならば修復は譲歩の裏返し。
「離脱運動は手段に過ぎない」という構図を見れば、騒いで慌てないことの必要性は理解されよう。
「振り返れば、今年初めキャメロン氏が移民の多数流入を防ぐ非常ブレーキ条項を要求。
これをEUが拒否したことが大きな誤りだった」。
つまり原因はEUにもあるのだから、譲歩してきたEUはまた譲歩できるだろう。
そもそも法的拘束力のない国民投票があることが不思議でもある。
そして・・・。
いつか市場の視点はこれに飽きて次の獲物を探し出す。
NYは金利引き上げの動きが退潮。
それなら下落を続ける人民元をターゲットにするのが地球俯瞰的シナリオになるのだろう。
「ビッドコインに中国からの逃避資金」なんて見出しは売り方にとって素敵に映ろう。
しかもパナマ文書であぶりだされた資金が向かいがちというシナリオは登場人物に事欠かない。
「香港ディズニーランド止まらぬ逆風に苦しむ」なんて小道具も満載だ。
そういう移ろう投資シナリオを先取りするのに、超高速取引など関係ないのだが・・・。
本筋を離れて小手先にいくから核が見えなくなる。
そして本筋を見させないテクニックに翻弄されるのも市場である。
「もはや国債は安全資産とはいいにくい。
利益確定売りをきっかけに利回り上昇が進む可能性がある」。
これも次のリスクシナリオかも知れない。
債券だけが売られて株だけが買われるという夢はおそらく訪れないに違いない。
「安全資産の円」なんていう誤謬がまかり通る世界で正論は異端とされがちなもの。
究極の落ち穂拾いはフード・プラネット(7853・東証二部)だろうか。
もともとはフロッピーディスク複製装置の会社だったが現在は神戸のソフトクリーム店1店残るのみ
不適切会計や決算訂正で3月17日に特設注意市場銘柄指定。
3月末に債務超過となった。
上場継続注記銘柄。
これ以上の悪材料はない。
昨日不適切な会計処理に係る改善計画・状況報告を提出した。
同時に第3者割当による第8回新株予約権の発行も発表。
すべてが行使された場合、約28.5億円の資金調達となる。
割当予定先はJapan Opportunities Master Fund Ltd.
行使価格は20円。
昨日終値は17円。
同社の強みは飲食ブランドのアジアでのフランチャイズ展開に対するノウハウと人材。
資金調達の理由は連結子会社10社と持ち分法適用会社2社の今後1年間の運転資金。
カップケーキのマグノリアベーカリー。
フライドドチキンのKyochonなどを傘下に収めることでの売り上げ増を図る計画。
女性の支持が厚いニューヨーク発のマグノリアベーカリー。
韓国発のフライドチキン 、キョチョンだ。
M&Aを通じた復活ができるかどうか。
もしも復活できたならば、日本の株式市場も結構素敵な世界になろうか。
「フード事業を取得し資金調達しグローバルに拡大、内部統制も整えます」という宣言。
危険とみるか、夢と見るか。
いすゞや長谷工など2ケタ台前半から復活を遂げた銘柄もある。
相場判断は百人百様だが、究極の銘柄選択でもあろうか。
因みに今年の安値は大発会の14円、高値は2月の40円。
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(兜町カタリスト櫻井)