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06月09日 個別銘柄情報 [5162]朝日ラバー

[6月09日更新]

朝日ラバーは17年3月期営業増益予想で収益改善基調期待

 朝日ラバー<5162>(JQS)はシリコーンゴムや分子接着技術をコア技術として、自動車内装LED照明光源カラーキャップやRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。16年3月期は販管費における特殊要因が一巡して大幅営業増益だった。そして17年3月期も営業増益予想で収益改善基調が期待される。株価は安値圏でモミ合う展開だが、下値固めが完了して反発のタイミングだろう。

■自動車内装LED照明の光源カラーキャップが主力

 自動車内装照明関連などの工業用ゴム製品、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用ラバー)、医療・衛生用ゴム製品(点滴輸液バッグ用ゴム栓など)、機能製品のRFIDタグ用ゴム製品などを展開している。

 自動車内装照明関連で、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や、車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」が主力製品である。車載用「ASA COLOR LED」は高級車向けに加えて、小型車や軽自動車向けにも採用が拡大している。

 16年3月期のセグメント別売上構成比は工業用ゴム事業が81.2%、医療・衛生用ゴム事業が18.8%で、営業利益(連結調整前)構成比は工業用ゴム事業が71.4%、医療・衛生用ゴム事業が28.6%だった。分野別売上構成比は自動車分野が62.6%、医療分野が18.3%、ライフサイエンス分野が6.6%、その他が12.5%だった。地域別売上構成比は国内84.0%、海外16.0%(アジア13.7%、北米2.1%、欧州0.2%)だった。

■シリコーンゴムや分子接着技術をベースにした製品開発力が強み

 シリコーンゴムや分子接着技術をベースにした製品開発力が強みである。新製品では、分子接着技術を活用した機能製品のRFIDタグ用ゴム製品の増産を進め、医療分野の新製品プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)用ガスケットの量産も開始した。

■マイクロ流体デバイスの新工場(第2白河工場)着工・竣工延期

 NEC<6701>のポータブルDNA解析装置向けマイクロ流体デバイスについては14年10月に量産を開始した。マイクロ流体デバイスは分子接着技術を活用した製品で、NEC向け以外の複数案件も商談中である。

 15年8月に「新工場の建設および補助金収入による特別利益および特別損失の計上のお知らせ」を発表した。マイクロ流体デバイスの17年3月期以降の受注状況を踏まえて生産能力を増強するため、またライフサイエンス分野や体外診断用途などの医療分野における新製品開発を行うため、福島県白河市の工業団地「工業の森・新白河」内に所有している当社白河工場の隣接地に新工場(第2白河工場)を建設する。総投資額は約11億60百万円である。

 なお建設スケジュールについては16年2月に変更を発表した。受注状況および今後の事業環境を勘案した結果、15年9月着工予定・16年春竣工予定としていたスケジュールを、16年6月着工予定・17年2月竣工予定に延期した。

 新工場建設および初期導入の生産設備投資は、マイクロ流体デバイスに関する事業として、福島県の「平成27年度福島医療・福祉機器開発・事業化事業費補助金」の補助対象事業として採択・交付決定された。交付金額は最大7億50百万円で設備稼働実績後に受領する。なお建設スケジュール変更に伴って福島県に事業計画の変更を申請し、16年3月に承認された。これによって補助金収入を特別利益に計上し、補助金のうち固定資産取得に該当する分について圧縮記帳処理を行い、固定資産圧縮損として特別損失を計上する。

■見やすく疲れにくい自動車内装照明の開発開始

 15年9月には埼玉大学と連携して、色のバラつきが少なく視認性に優れ、疲労低減性のある自動車内装照明用LEDの蛍光体層の共同開発を開始すると発表した。LEDの光を波長変換する蛍光体を組み合わせ、人間工学に基づいて運転者にとって見やすく疲れにくい照明の開発を目指す。

 この共同開発は経済産業省の「平成27年度 革新的ものづくり産業創出連携促進事業(戦略的基盤技術高度化支援事業)」として申請し、補助金の採択を受けた。事業期間は15年度から3年間(予定)で、補助金額は3年間で9750万円(予定)としている。

■15年3月期の営業損益悪化は一過性要因も影響

 15年3月期の四半期別業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)14億85百万円、第2四半期(7月~9月)15億40百万円、第3四半期(10月~12月)15億21百万円、第4四半期(1月~3月)15億13百万円、営業利益は第1四半期55百万円、第2四半期1億01百万円、第3四半期50百万円の赤字、第4四半期8百万円だった。

 売上面は概ね順調に推移したが、プロダクトミックス悪化や役員退職慰労引当金繰入額計上で期後半の営業損益が悪化した。なお15年3月期のROEは9.6%で14年3月期比4.4ポイント上昇、自己資本比率は39.3%で同1.3ポイント上昇した。配当性向は18.0%だった。利益配分については、株主資本の充実と長期的な収益力の維持・向上、業績に裏付けられた安定的な配当の継続を原則としている。

■16年3月期は減収だが、販管費における特殊要因が一巡して大幅営業増益

 前期(16年3月期)連結業績は、売上高が前々期(15年3月期)比1.4%減の59億76百万円と減収だが、営業利益が同2.1倍の2億37百万円、経常利益が同92.8%増の2億35百万円、そして純利益が同60.0%減の1億31百万円だった。工業用ゴム事業、医療・衛生用ゴム事業とも減収だったが、前々期の販管費に計上した取締役2名の役員退職慰労引当金繰入額が一巡して大幅営業増益・経常増益だった。純利益は前々期の特別利益に計上した受取保険金が一巡して減益だった。

 売上総利益は同8.2%減少し、売上総利益率は24.1%で同1.8ポイント低下した。販管費は同17.3%減少し、販管費比率は20.1%で同3.9ポイント低下した。特別利益では補助金収入が増加(前々期58百万円計上、前期1億02百万円計上)したが、前々期計上の受取保険金3億12百万円が一巡した。特別損失では固定資産圧縮損が増加(前々期56百万円計上、前期90百万円計上)し、減損損失30百万円を計上した。ROEは3.7%で同5.9ポイント低下、自己資本比率は40.1%で同0.8ポイント上昇した。配当は前々期と同額の年間13円(第2四半期末3円、期末10円)とした。配当性向は44.6%である。

 セグメント別に見ると、工業用ゴム事業は売上高が同0.9%減の48億50百万円、営業利益(連結調整前)が同27.0%減の3億20百万円だった。自動車内装照明用「ASA COLOR LED」が好調だったが、機能製品であるRFIDタグ用ゴム製品の海外向けが、新タイプへの切り替えに伴う顧客側の在庫調整が長引いたため大幅減少した。なお3月から新タイプの量産がスタートした。

 医療・衛生用ゴム事業は、売上高が同3.3%減の11億26百万円、営業利益が同1.3%増の1億28百万円だった。プレフィルドシリンジ用ガスケットが好調だったが、採血用・薬液混注用ゴム栓は新機種への切り替えに伴う受注調整のため減少した。

 分野別売上高は、自動車分野が同7.2%増の37億40百万円、医療分野が同2.4%減の10億95百万円、ライフサイエンス分野が同1.6%増の3億95百万円、その他が同29.7%減の7億44百万円で、その他はRFIDタグ用ゴム製品が大幅減少した。主要製品の売上高は自動車内装照明用「ASA COLOR LED」が同8.7%増の23億03百万円、卓球用ラケットカバーが同6.6%減の3億16百万円、ディスポーザブル用ゴム製品が同2.4%減の10億95百万円、RFIDタグ用ゴム製品が同54.4%減の3億04百万円だった。

 四半期別の業績推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)13億96百万円、第2四半期(7月~9月)15億02百万円、第3四半期(10月~12月)14億72百万円、営業利益は第1四半期26百万円、第2四半期49百万円、第3四半期46百万円だった。

■17年3月期営業増益予想で収益改善基調期待

 今期(17年3月期)連結業績予想(5月12日公表)については、売上高が前期(16年3月期)比3.7%増の62億円、営業利益が同14.0%増の2億71百万円、経常利益が同2.4%減の2億30百万円、純利益が同17.0%増の1億54百万円としている。配当予想は前期と同額の年間13円(第2四半期末3円、期末10円)で、予想配当性向は37.7%となる。

 セグメント別売上高の計画は、工業用ゴム事業が同3.7%増の50億32百万円、医療・衛生用ゴム事業が同3.7%増の11億68百万円、分野別売上高の計画は、自動車が同3.0%減の36億28百万円、医療が同3.6%増の11億35百万円、ライフサイエンスが同3.2%増の4億08百万円、その他が同38.1%増の10億28百万円としている。

 前期低調だったRFIDタグ用ゴム製品、卓球用ラケットカバー、さらに白色レジスト材などのシリコーン応用製品の受注が増加する見込みである。売上総利益率は同0.5ポイント上昇の24.6%を想定し、営業増益予想である。収益改善基調が期待される。

■中期経営計画を見直して17年3月期営業利益8億円目標

 16年2月に第11次3ヵ年中期経営計画(V-1計画)(14年5月策定、15年3月期~17年3月期)の見直しを発表した。ライフサイエンス分野のマイクロ流体デバイス製品について、最終年度17年3月期売上高目標を12.5億円としていたが、売上比率を高く設定していた主力案件の受注が計画を大幅に下回る見込みとなったことや、他の開発案件の量産開始も遅れる見込みとなった。

 事業環境等も勘案した結果、17年3月期の経営目標数値を、従来の売上高80億円(自動車37億円、医療13億円、ライフサイエンス16億50百万円、その他13億50百万円)で営業利益8億円から、売上高62億円(自動車36億円、医療11億円、ライフサイエンス4億円、その他10億円)で営業利益2億70百万円とした。マイクロ流体デバイスを生産する新工場についても着工・竣工を延期し、16年6月着工予定・17年2月竣工予定とした。

 なお20年3月期を見据えた長期ビジョンを「AR-2020VISION」として、前半3ヵ年(15年3月期~17年3月期)を第1ステージ「V-1計画」、後半3ヵ年(18年3月期~20年3月期)を第2ステージ「V-2計画」と位置付けている。そして中期経営方針については、既存事業の質・量の継続的成長(国内事業は質的成長、海外事業は量的成長)、新市場・新分野への事業展開、20年に向けた事業基盤の強化・整備としている。

■従業員持株ESOP信託を導入

 15年7月に従業員インセンティブプラン「従業員持株ESOP信託」導入を発表し、15年11月に詳細を発表した。朝日ラバー従業員持株会に加入する従業員のうち一定の要件を充足する者を受益者とする信託を設定し、当該信託は今後5年間にわたり当社持株会が取得すると見込まれる数の当社株式を予め定める期間中に取得(取得株式の総額77百万円、取得期間15年11月19日~15年12月22日)した。その後、当該信託は当社株式を毎月一定日に当社持株会に売却する。

 また3月22日には監査等委員会設置会社への移行を発表した。6月下旬開催予定の第46回定時株主総会での承認を前提とする。

■株価は安値圏モミ合いだが、下値固め完了して反発のタイミング

 株価の動きを見ると、安値圏600円近辺でモミ合う展開だが、4月安値575円を割り込むことなく、下値固め完了感を強めている。

 6月8日の終値606円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS34円44銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間13円で算出)は2.2%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS792円79銭で算出)は0.8倍近辺である。時価総額は約28億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。下値固めが完了して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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櫻井英明

Author:櫻井英明
日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの公式スマホサイトにて、毎日、株式情報を配信中。

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