<兜町カタリスト>
「エコ」
NYダウは23ドル安の17828ドルと3日ぶりの反落。
一方NASDAQは6ポイント高の4901ポイントと3日続伸。
S&P500は0.44ポイント安の2090ポイントとマチマチの動きで上昇一服というところ。
3市場の売買高も58億株と減少。
「過去2日で相場が大きく上昇した後だけに、買いの勢いが鈍った。
次の指標の発表待ちの状態」という観測が聞かれる。
4月の耐久財受注は前月比3.4%増と市場予想の0.5%増を上回って着地。
3月分は1.3%増→1.9%増と上方修正。
部門別では、輸送機器が8.9%、民間航空機・部品が64.9%、自動車・部品が2.9%増加した。
ただ民間設備投資の先行指標が3カ月連続で減少。
油田観連の設備投資削減や在庫削減の動きが重石になっていることは伺われる。
週間新規失業保険申請件数は前週比1万件減の26.8万件。
27.5万件という市場予想を超える大きな改善となった。
申請件数は30万件を切ると雇用市場が引き締まっている状態。
64週連続でこの水準を下回っており、1973年以来の長期間となった。
市場予想を大幅に上回る在庫急減からWTI原油先物は一時バレル50.21ドルまで上昇。
中古住宅販売仮契約は5.1%の伸びで予想を遥かに上回る数字。
米国経済指標は軒並み良い数字となった。
かといって早期利上げ観測が増大した訳でもなく買い疲れの1日だったということだろう。
あるいは週末の3連休を控え動けずというところか。
金先物が7日続落していることはリスクオンの裏返しと解釈できよう。
英ポンドの上昇基調は6月23日の英国EU離脱投票での残留の可能性。
これは悪くない。
昨日の日経平均株価は200円以上の上昇幅を急速に縮小。
幻のSQ値16845円を終値で上回ることはできなかった。
新高値銘柄はそれでも68。
前日の101銘柄からは減少したがそれでも風景は変わりつつある。
伊勢志摩サミット関連警備での不審物観測報道なども嫌気された面での下落だったかも知れない。
そのサミットで安部首相から打ち出されたのは「世界経済の下振れリスク」。
リーマンショック並みの世界経済危機の可能性があるという「参考データ」が登場した。
ただ観測は「消費増税延期の地ならし」。
どちらのウェイトが高いかを市場が判断するにはもう少し時間が必要だろう。
もっとも16957円から16743円まで下押した日経平均株価。
大引け後にすぐ16800円台を回復していた。
東京時間のプレイヤーは下値を欲しがったが、世界のプレイヤーは上値を求めたという構図に映る。
シカゴ225先物終値は16875円。
高値16965円だったから17000円につっかける動きに期待感は残る。
課題は今年初の6日連続となった売買代金の2兆円割れ。
三角もちあいからの脱却は売買高の増加が伴う必要があることは異論のないところだ。
サミットで話されたのは自国通貨安競争を回避するという方向。
日本政府は「議論はなかった」とされるが、観測は「釘をさされた」。
これはジワジワ効くかもしれないし、秘め事のままで終わるかも知れない。
日経レバの売買代金減少は肌で感じているが、指数ではなく個別の本質回帰の傍証だろう。
後場は都知事会見、夕刻は広島での共同声明。
夜のイエレンFRB議長の講演もFX関係者は気にしたいところ。
相場よりも目を惹く予定が多い週末の一日。
先週末終値16736円35銭を終値で上回れば3週続伸。
何となく目に映った記事は「保育士の叙勲2倍に」。
栄典制度検討の有識者会議の提言である。
13年ぶりの制度改革だそうだが、保育者の叙勲は昨年秋が27人。
これを段階的に50人規模にするという。
そして自治会長が2.5倍の50人。
外国人が2倍の150人。
お金のほとんどかからない政策だが小手先すぎるように思える。
というか、今でも勲章で人は動くのだろうか。
日刊工業新聞では「インターネットを置き換える潜在力秘めた革新的な技術としてブロックチェーンが脚光」と。
ブロックチェーンはビットコインなどの仮想通貨の基盤技術。
用途は金融取引に限らず、様々な産業へ展開期待される。
注目される理由の一つは、「ピア・ツー・ピア(P2P)」と呼ばれる分散型ネットワーク環境。
知らない者同士がやり取りしながら、情報のコンセンサス(合意)を全体として形成できる。
もう一つは、従来型のシステムに比べ100分の1ともいわれる優れたコストパフォーマンス(費用対性能)。
個人が持つ住宅や自動車などの資産貸し借りする「シェアリングエコノミー」にも合致。
IoT(モノのインターネット)との相性も良い。
P2Pはインフォテリア(3853)の3つのD(データ、デバイス、分散と協調)の世界。
シナリオが決まってきた印象。
そして「シェア」の世界。
日経ではパーク24(4666)の好業績観測が報じられている。
背景はカーシェア事業の好調。
拠点は約8000で、1年で1200増加したという。
23区内のほぼすべての駅と新幹線の駅前6割に拠点を設置。
法人の出張や営業関連需要の喚起で平日昼間の需要が増加したという。
需要がなければ創造すればいい。
この発想がもっと浸透すると経済は良い回転になる筈。
また、昨日取材したマーケットエンタープライズ(3135)。
同社はインターネット型リユース事業が中核。
決算短信等を見てみると・・・。
「リユース市場では従来から続く低価格志向・かしこい消費への意識が向上。
シェアリングエコノミーの思想が徐々に浸透。
購買時にその商品の売却を考えて購入する消費者が若年層中心に増加」。
1.6兆円のリユース市場は「エコ」・「もったいない」という国家的背景から拡大している。
そして「3R」。
Reduce(リデュース):使用済みになったものがごみとして廃棄されることが少なくなる
Reuse(リユース):もう一度使えるものはごみとして廃棄しないで再使用
RECYCLE(リサイクル):廃棄されたものでも、再生資源として再生利用
因みに・・・。
売却を想定して購買する比率は60歳以上で13.3%、50歳代18.4%。
これが20歳代30.7%、30歳代31.1%と高い。
新たな消費思想ということになろうか。
そういえば・・・。
不動産でもシェアハウスという概念が登場してきて久しい。
所有も利用もシェアする思想で不動産投資商品を創造したのはインテリックス(8940)。
中古マンションの「リノベーション」という思想を発想。
そして「アセットシェアリング」という商品を提供したにはちょうど1年前のことだった。
◇━━━ カタリスト ━━━◇
テクノプロ(6028)・・・動兆
テクノプロHDに注目する。
同社は技術系人材サービス大手。
産業界が必要とする全ての技術領域をカバー。
製造業が研究開発や製品設計を支えている。
旺盛な派遣需要を背景に業績は好調。
IT・化学分野中心に拡大基調。
(兜町カタリスト櫻井)