<兜町カタリスト>
「ディレッタント」
寄せては返す波のような展開となったNY市場。
上げれば下がるという心理が横行しているのだろうか。
月曜に上昇した火曜のNYダウは180ドル安の17529ドルと反落。
S&P500もNASDAQも下落したが結局先週末の水準に戻しただけのことと考えてもよかろう。
4月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇。
2013年2月以来3年2カ月ぶりの大きな伸びとなった。
ガソリンと家賃の値上がりが全体水準を押し上げた形。
加えてダラス地区連銀のカプラン総裁は「早期の利上げを支持する」とコメント。
アトランタ地区連銀のロックハート総裁とサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁。
「年内に2回もしくは3回の利上げが妥当になる」と指摘。
年内複数利上げ論復活を嫌気した格好での株価下落となった。
11月のFOMCで利上げが実施される確率が42%→58%と上昇した。
「現時点では口先だけでは重みがない。
市場はこうした発言に耳を傾けるのをやめ始めており、実際の行動を伴うまでは反応しない」
というもっともな意見もある。
11月の利上げ確率が持ち出されれるくらいだから6月や7月はおそらく話題になっていないのだろう。
増収増益で通期上方修正したホーム・デポが下落したのが響いたとの声もある。
S&P500採用銘柄のの第1四半期売上高は前年同期比1.9%減。
2014年第4四半期の2.1%増以来の水準。
前四半期は3.5%減少していたから好転ではあるが、減少は減少に他ならない。
NYダウは75日移動平均17848ドルを抜けてくると明確なトレンドがでてくるのだろう。
気になるのはダウ輸送株指数の逆行高。
本来ダウ輸送株指数の上昇は景気好調の前触れでもある。
WTI原油は一時7カ月ぶり高値の48.42ドルまで買われたが見えないフリ。
5月17日株高の特異日は続伸で通過。
「今朝は午前8時50分に内閣府が発表する今年1~3月のGDP統計でヨーイドン」と市場関係者。
市場予想は実質年率伸び率が0.28%増の見通し。
うるう年効果を考慮すれば実質マイナスとされている。
ただ連続のマイナスでデフレとなれば今度は消費増税延期期待が高まるという不思議な構図。
安部首相は、午後に公明党の山口代表らと今日「自公会談」を予定。
消費増税延期の可能性が高まってきたところだ。
昨夜安部首相とブッシュ米前大統領の会食が行われたこともいずれ意味を持ってくるのかも知れない。
本来であれば株高要因だが立ちはだかったのはNY株式の下落。
為替は109円台なので邪魔はしないだろう。
25日線は昨日40円上昇、75日線は6円下落。
そろそろ短期線が長期戦を下から上抜くゴールデンクロスが示現されそうな気配。
その25日線水準で三角もちあいが収束しており、上下どちらかに動くタイミングとなってきた。
東証一部売買代金の低水準を懸念する声もあるが、トレンドが出れば自然に増加してくるだろう。
騰落レシの116.70%へ上昇。
加えて一目均衡の雲が明日黒くねじれているのが気にかかるところ。
シカゴ225先物の終値は16555円。
高値の16780円を抜ければSQ値16845円奪還が視野に入ってくる。
下値は16510円だったから下値限定、上値期待とみたいところ。
1~3月GDPは前期比プラス0.4%、年率換算プラス1.7%で着地。
想定より悪くなかった着地。
さて株価と消費税というところ。
「三菱電機が月面探査機」とか「ソニー、好奇心持つAI」とか眩い活字。
日本製のロケットが月に行き、人が気付かない「解」を探すAIが登場する。
ソニーは2006年、15万台の販売実績があったAIBOから撤退。
と開発中だったヒト型ロボット「QRIO(キュリオ)」も封印された。
「ブーム再来でAIと親和性の高いロボットにソニーが再参入する期待も高まりそう」との声。
「感動や好奇心を引き出せる商品にしていく。
単に役に立つというだけの機能ではない何かだ」というコメントは楽しみである。
陳腐だったコメントはトランプ氏。
100億ドルを超える個人資産の明細を記録した新たな報告書を提出した。
実際は過大申告という見方もある。
本当に大統領選挙を戦えるマネーがあるのかどうかが興味の対象なのだろう。
「私は素晴らしい企業を築き上げ、偉大な不動産ポートフォリオを構築した。
その多くは世界有数の優れた象徴的な建物と見なされている」とのコメント。
あまり期待ができる人物ではなさそうな気配。
仙台で週末に開催される予定のG7財務相・中央銀行総裁会議。
特になにかが起きる訳ではなかろうが「G7は冷酒のように効く」というストラテジストもいる。
為替と財政出動とパナマ文書。
これを三題話にするのは結構難しそうだし、結論の出る話でもない。
アメリカンのルー財務長官の強硬姿勢と麻生財務相のつばぜり合いはあるのだろう。
通貨安競争でもないが、世界中が通貨安を求めるというなかで通貨高容認というのはないのだろうか。
「ええ、円高結構。そのかわり強くなった円でまた世界を買いますよ」。
そう言ったところで民がリスクを取らない以上、強気論も打てない哀しさ。
「どうか円安をお認め下さい、お代官」。
なんて卑屈な屈辱を味わうくらいなら堂々と「円高結構」とはいかないものだろうか。
どうせなら「人民元安迷惑」とでも・・・。
政府が月末に閣議決定する「1億総活躍社会の実現に向けた工程表」。
2025年度に204万人の雇用増や24.3兆円の可処分所得増加につなげたい考えだという。
(1)子育て支援の充実
(2)介護支援の充実
(3)高齢者雇用の促進
(4)非正規雇用者の待遇改善
(5)最低賃金の引き上げ
これらの施策を実現することで、労働者数が2020年度に117万人、
25年度に204万人増加。賃金総額は2014年度時点の240兆円から20年度に20.5兆円、
25年度に29.5兆円増加する。
賃金増により可処分所得も20年度に13.7兆円、25年度に24.3兆円増加すると試算。
さすがディレクターというかディレッタントという感じ。
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2015年も櫻井英明の足で稼ぐ「稼足銘柄」はストップ高になるものが続出した。
2016年も稼足銘柄に期待が高っている。
ストップ高になるのは、特別の材料があるわけではないケースが目立つ。
なぜ、英明注目銘柄がストップ高になるのか、その肝は社長の個性、人格、やる気と業績だ。
中でも、業績の将来像は企業株価の上昇に大きな力を発揮している。
今週の稼足銘柄5月17日号に注目!!
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《兜町ポエム》
「たしかなこと」
上がり下がりの場を見ていた
通り過ぎてゆく株価の中で
哀しみは絶えないから
小さな囁きに気づかないんだろ
時を超えて株を愛せるか
本当に市場を守れるか
値動きを見て考えてた
市場のために今何が出来るか
忘れないでどんなときも
きっと市場にいるから
そのために僕らはこの兜町で
同じ風に吹かれて同じ時を生きているんだ
銘柄のこと大切にして
自分の未来そっと想うみたいに
切ない時ひとりでいないで
遠く遠く離れて行かないで
疑うより信じていたい
たとえ塩漬けの傷は消えなくても
失くしたもの探しに行こう
いつかいつの日か見つかる筈
一番大切なことは
特別な材料ではなく
ありふれた日々の中で株価を
今の気持ちのままで見つめていること
市場にまだ言葉にして
伝えてないことがあるんだ
それはずっと出合った日から
株を愛しているということ
君は場を見てるか
板の音を聞いているか
もう二度と今日へは戻れない
でもそれを哀しいと決して思わないで
一番大切なことは
特別なことではなく
ありふれた日々の中で株価を
今の気持ちのままで見つめていること
忘れないでどんなときも
きっと市場にいるから
そのために僕らはこの兜町で
同じ風に吹かれて同じ時を生きているんだ
(兜町カタリスト櫻井)