<兜町カタリスト>
「オープンリーチに振り込むか?」
NYダウ51ドル高の18041ドルと続伸した。
FOMC声明で6月利上げが明確でなかったことを好感。
FRBは引き続き世界経済の動向を注視するとした。
前回3月の声明にあった「世界経済が引き続きリスクをもたらす」の表現は削除。
このため当初はややタカ派寄り(利上げ推進的)になったと解釈。
しかし最終的には「決定的な変化ではない」との解釈が優勢になり無難に通過。
支配的な見方は「利上げは9月までない」となった。
所詮通過するだけが課題だった今回のFOMC。
事前に騒ぐ必要もなかったということになる。
「過ぎてしまえば何もなかった」というのが経済指標やイベントの宿命だろう。
業績低迷が昨日の決算から懸念されたアップルは6%下落。
NASDAQの5日続落の主因となった。
S&Pが1930年以来のAAAの格付けを引き下げたエクソンモービル、
増配と原油先物高を背景に上昇。
SNS大手のフェイスブックの第1四半期決算は売上高1.9%増。
市場予想を上回って着地し 時間外取引で6%上昇した。
オンライン決済サービスのペイパルの第1四半期決算は19%増収で着地。
日経朝刊でも「アップル曲がり角、ハードからソフトへ」、
そして「成長モデル転換急ぐ」という見出し。
モノをつくる事業ではなくモノの利用法や付加価値=見えないソフトに分がある。
これは経済は日米共に一緒。
市場はこの動きを先取りしてきたし、この動きを見逃してはいけない。
昨日まで3日続落の日経平均株価。
下を売り込む動きもなくザラバ安値を付けて大引けには戻るという動きが継続。
米FOMCを通過して迎えた4月最終日。
昼過ぎに日銀金融決定会合の結果発表があり、前場は動きずらいだろう。
シカゴ225先物の終値は17495円。
この3日間シカゴでは225を売り込む姿勢ではない。
東京だけがザラバで右往左往する不思議な展開となっている。
日銀金融政策決定会合の結果が12時半を過ぎて1時を越えてくれば、
何らかの緩和措置があるとみた先物買いが登場してくるのだろう。
そして結果が見えれば、例え追加緩和であっても
「出尽くし感」という解釈が出てくる可能性もある。
既に外資系通信社の報道などで最大限近い緩和観測がされており、
どんなものが出てきても「物足りない」という声は必ず聞こえてくる筈。
ただ日銀も事前観測されたものをそのまま踏襲するほど人が良いとは思えない。
言いかえればオープンリーチに振り込むほどお人よしではない。
中央銀行としての矜持もあろう。
その意味では注目される黒田節という形になる。
4月22日現在の信用評価損率はマイナス8.01%まで好転。
裁定買い残は1738億円増加したとはいえまだ2兆390億円。
信用買い残も2兆4624億円と低水準で需給は悪くない。
日経平均採用銘柄のPERは15.56倍でEPSは1111円と少し増加した。
昼下がりのサプライズへの期待感と連休前のポジション整理の対立予想。
「持つリスク」と「持たないリスク」のせめぎ合いは大引けまで続こうか。
シカゴ225先物の高値17515円を抜ければ雲は晴れそうな気がする。
25日線と75日線のゴールデンクロスは早ければ月曜にも実現する。
1月13日のデッドクロスから約3ヶ月半を要したことになる。
4月1日終値は16164円だったから月足は2か月連続陽線。
少し風景は変わろうか。
経済産業省が興味深い試算を出している。
AIやロボットなど技術革新によって何も対応しなければ、
2030年の国内雇用は労働力人口の1割に該当する735万人減少するという。
第4次産業革命のための規制緩和や企業連携があれば雇用減少は161万人。
高度なコンサルを伴う営業・販売職は変革シナリオで114万人増化。
データ分析などの技術を持った人材の必要性は増加するシナリオとなっている。
営業・販売職についてレジ係などはロボットが代替し60万人以上の労働減少。
いずれにしてもAI化、ロボット化は労働を奪うものではある。
結論はICT化に対応できないと、わずか15年ほどで職はなくなるということ。
まさにザ・セカンドマシン・エイジの世界がやってくる。
もうひとつ興味深いのは衆院財務金融委員会。
フィンテックの促進に向けた銀行法改正案を賛成多数で可決した。
銀行や銀行持ち株会社による事業会社への出資制限を緩和。
IT企業に出資しやすくするのが柱だという。
「銀行とIT企業による連携を促し、利便性向上につなげる」という。
話としては確かに間違っていない。
しかしアメリカで起きているフィンテックは一味違う。
シリコンバレーによるウォール街支配戦争のスタートということ。
日本でいえば丸の内や大手町そして兜町と渋谷や恵比寿、大井町や大崎の戦い。
ブルックスブラザーズが似合う旧来の金融機関とジーンズのIT関連のバトル。
にもかかわらず、金融界はIT系にせせりよる構図にしか見えない。
多少はそれで利便性は高まろうが、IT系が見据えているのは大きな変革
そして劇的な利便性増加とコストの低減というのがブロックチェーンの存在意義。
呉越同舟という言葉がふさわしいし、この勝負はIT系の勝ちになるに違いない。
そうなると日本の金融の構図は変わる。
財務金融委員会も財務省マターから経産省マターに移行する可能性もある。
豊臣秀頼に上洛を迫る徳川家康のような気がしてならない。
日経産業新聞の報道が二つ。
一つは17日に米ニューオーリンズで開かれた米国がん学会、
がん免疫療法セッションでの米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブの発表。
「がん免疫薬オプチーボとヤーボイ併用臨床試験で患者のがん細胞ほぼ消えた」。
世界は驚いたという。
末期患者の割合にして22%で消滅。
2年生存率は69%に向上。
夢の薬はようやく現実化してきた感。
バイオ応援団もようやく花咲いてくる予感がする。
そしてCRIミドルウェア(3698)。
ゲーム開発会社向けに、タッチパネルの振動で作り出せるソフトを発売。
米イマージョンと提携し120種類使えるようにするという。
音声や動画に加え、多彩な「触覚」も使えるとうたって開発需要取り込む方向。
CRIは仮想現実(VR)分野も強化する方針、
いずれ触覚技術生かしたソフトの提供も検討するという。
ゲームだけではない同社のもうひとつの存在意義が加わった印象。
総務省が発表した3月の完全失業率は3.2%。
2月の3.3%から改善した。
厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.30倍と前月から上昇。
24年3カ月ぶりの高水準。
労働関係の指標は悪くないが、消費に結びつかないのは何が悪いのか。
賃金の問題なのか、あるいは供給側の魅力ある製品サービスの提供はが不足なのか。
どうも後者のような気がする。
日経平均の25日線は16638円で3.92%のマイナスかい離。
50日線は16607円で4.11%のプラスかい離。
75日線は16681円で3.65%のプラスかい離。
100日線は17248円で0.24%のプラスかい離。
これが日経平均をアシストしている。
200日線は18244円で7.21%のマイナスかい離。
一目均衡の雲の勝手雲も白くねじれた。
さあ、というところだが・・・。
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(兜町カタリスト櫻井)