<兜町カタリスト>
「歴史」
東証の隣にあるのが兜神社。
小さな敷地で毎年4月1日に例大祭が行われる証券界の守り神。
この兜人社には平将門の兜が埋まっているといわれる。
「お参りしないと災難に見舞われる」、
「兜町は平将門にまつわる結界の一部になっている」どがささやかれている。
将門の首を祀ったとされる「首塚」は三井物産の隣。
将門の首が飛び越えたといわれる「鳥越神社」
将門の鎧が埋められているといわれる「鎧神社」、
将門の“体”が由来とされる「神田明神」。
東証のある兜町はこうしたパワースポットの南東端となっている。
そして・・・。
東証と野村證券本社の間には、野村の記章“ヘトヘト”が描かれたマンホールがある。
これは地下の秘密トンネルと囁かれる。
実際に東証から北西に向かうと、公道なのにヘトヘトのシルシがついたマンホールが点在。
その先は、野村本社の軍艦ビル。
しかし実はアナログ時代に野村と東証を結ぶ専用回線を通すために掘られたという。
兜町に対した伝説はないのかも知れない。
一方のNYウォール街。
17世紀に、現在のニューヨークに入植したオランダ人が外敵からの攻撃に備えて木材の壁を作ったのが始まり。
それからそこに商人が集まって非公式に木材の取引が行われていったのが歴史。
これが発展してニューヨーク証券取引所ができていったという。
因みに・・・。
1792年。
ウォール街のスズカケノキ(プラタナス)の下で売買手数料を定めた「すずかけ協定」ができた。
そして24人の仲買人が始めた株式売買が起源。
1817年に「NYSE」に改称。
1903年に現在の重厚な取引所建物が竣工。
ウォール街は米国の株式市場の代名詞となったという。
「3つの願い」
《兜町むかし話》
むかしむかし。
小さな村の小さな家に、ある夫婦が暮らしていました。
今日の晩ご飯は、いつものように薄いスープと小さなパンだけです。
「さあ、いただきましょう」。
「はい、いただきます」。
その時、
トン、トン、トン、トン、トン
と、戸を叩く音がしました。
おかみさんが戸を開けてみると、背の低い男が立っていました。
「わたしは旅の者です。
何か食べ物をわけてもらえないですか?」
ちょっと怪しい男でしたが、おかみさんはニッコリ笑って言いました。
「ちょうどいま、ご飯にするところなんですよ。
といっても、スープとパンしかありませんけど。それでよければ一緒にどうぞ」
「スープとパンですか。それはありがたい」
男が喜んで家に入ると、おかみさんは自分たちのスープとパンを少しづつ分けて男にごちそうしました。
男は食べ終えると、夫婦に言いました。
「ごちそうさま。とても助かりました。
食事のお礼に、三つの願い事をかなえてあげましょう。
明日の朝になったら、どんな事でも三つ願い事がかないますよ。
では、さよなら」
そして男は、出て行ってしまいました。
「ねえ、あなた。願い事がかなうって、本当かしら?」
「さあ、どうだろうね。まあ、明日になればわかるさ」
夫婦はそう言って、さっさとベッドに入って寝てしまいました。
次の日の朝。
だんなさんがパソコンを開くと持ち株が売り気配になっていました」。
だんなさんはつい、一人言を言いました。
「やれやれ、また塩漬けが増えたか。
たまには、大化け株を持ちたいものだ」。
すると不思議な事に、売り気配だった株が寄って、買い気配になってストップ高買い気配。
「おお、これは素晴らしい」
だんなさんは喜びました。
今度はおかみさんが言いました。
「何をしているのよ! まったく、あんたって人は本当に考えなしね。これで願い事が一つ、無駄になったじゃないの!」
「何を言う。無駄なんかじゃないぞ。ストップ高の株を持てたじゃないか」。
「ストップ高が何よ! そんなもの、たった1銘柄じゃない。全部ストップ高すればいいのに」。
すると持ち株の株価がピョコンと跳び上がって、みなストップ高になりました。
「あっ!」
だんなさんは株を売ろうとしましたが、しばらく持っていた株に思いが湧いてきました。
「アレもコレも残したい」。
すると、ストップ高していた株は一斉に値を下げ売り気配に。
「アレ、元の黙阿弥で何も利食いがなくなっちゃった」。
パソコンの画面は何もなかったかのようにひっそりと点滅しています。
「やれやれ、これで前と一緒だ。
でもよかった。君たちがいなくなってしまうとさびしいからね」。
うれしそうに言うだんなさんを見て、おかみさんは頭をかきながらニッコリ微笑みました。
「あなたってば、本当に欲がないんだから。
・・・でも、まあいいわ。
お金持ちにはなれなかったけど、株を楽しむことが続けられるのだから」。
二人が見つめた株価は、今まで見た事がないほど、とても輝いていたそうです。
おしまい
(兜町カタリスト櫻井)