<兜町カタリスト>
「成長」
日経新聞左肩の連載「市場の力学」のスタートは月曜日。
第1回目は「荒れる相場、変動率が支配」。
変動率をモノサシに投資するファンドも資産総額は約130兆円に及ぶ。
日本の公募投信の残高を上回る規模だ。
金融危機をきっかけに急速に普及したリスク管理手法。
「これがかえって市場を不安定にした」。
安全志向の高まりが不安定な相場を生む皮肉。
投資手法の高度化が進んでも、リスクは形を変えて市場につきまとう。
第2回目は「熟練トレーダーAI参上」。
株価が適正価格以下になったと判断したら、
自動で株式を買うシステムを開発したSMBC日興。
同社のエクイティ本部長のコメント。
「機械が支配する市場で先を行くには機械が必要」。
機械が支配し始めた投資の世界の先がけが超高速取引。
米投資会社の1238日の取引で1237勝1敗という数字。
99円の買いと100円の売りの同時商い。
スピードだけが左右するが論理は昔の場立ちの商いみたいなもの。
まだ相場観というには遠いのだろうか。
3日目は「スター銘柄どこ行った」。
「成長への夢よりも、配当を通じたリターンを追う時代が訪れようとしている」。
ストラテジストのコメント。
しかし・・・。
「マイナス金利下で投資先をみつけにくい時代。
原石を見抜く目が一般の投資家に求められる」。
論理は機械とヒューマンに平等になっているが、どうも洗脳されそうな特集である。
一方で成長というのをまざまざと見せてくれたのは日本セラミック(6929)。
たまたま鳥取に行くので思いだしたが、20年ほど前に一度だけ訪問したことがある。
鳥取空港から車で行った山の中の旧本社はそれこそ町工場。
「空港の滑走路の脇に鳥のセンサーがあったでしょ。
あれがうちの製品」と創業社長。
それが今は赤外線センサーで国内9割、世界6割のシェア。
超音波センサーでも世界的な企業に育った。
防犯向けセンサー、車載向けに超音波センサー、LED照明用モジュールなどに拡大。
創業者の谷口社長の名言。
「金がなきゃ遣わなきゃいい、自分で作りゃいい。
日本がダメなら世界で売りゃいい」。
「適正価格を確保しなければ、お客様に納得していただけるような商品は作れません。
最高の製品を適正な価格で提供することが、私たちの使命です」。
「とにかくウチの製品はすごいんだ」と言われて20年。
やはり企業は成長するもの。
因みに寿スピリッツ(2222)も鳥取県米子市に本社がある。
(兜町カタリスト櫻井)