<兜町カタリスト>
「かぐや株」
むかしむかし。
毎日株を売り買いして暮らしているおじいさんがいました。
ある日の事、おじいさんが兜町に行くと、新興市場の株価ボードに光って見える不思議な株を見つけました。
「ほほう、これはめずらしい。
どれ、買ってみようか。ダン!
うん? これは!」
おじいさんがその株を買ってみると、なんと株主優待として小さな女の子がやってきました。
子どものいないおじいさんとおばあさんは、とても喜びました。
そしてその子を「かぐや株」と名付けて、大切に育てたのです。
「かぐや」とは、「くゎーくぅーや=kwa(覆う)‐kwu(組み合わす)‐ya(重ねる)」という意味。
「組み合わすように重ねて覆ったもの」で、「整然と組み合わさるように重ねた柔らかい外皮に覆われたもの」。
これは「竹の子」です。
竹の子の成長の速さは、土の上に顔を出してから大人の背丈になるまで3~5日。
竹の子のような成長の速さを願って付けられました。
かぐや株はどんどん成長してとても手がとどかない美しい値がさ株になりました。
おじいさんもおばあさんも大喜び。
「どうか、かぐや株の株主にさせてください」
とデイトレーダーたくさんやってきました。
時にはソットロスとかホースフェット、コレヤマゴールドなんて著名な投資家もやってきました。
でも、かぐや株は他の人に買われたいという気持ちはありません。
そこでかぐや株は言いました。
「では、私が言う品物を持ってきて下さった方を株主にして差し上げましょう。
かぐや株が言った「10日連続でストップ高する株」とか「竹の子のように5日でテンバーガー」なんてものを誰もを持ってくることはできません。
かぐや株のうわさはマーケットを越えて世界に広がりました。
中東の王様や欧州の覆面王子、時には北米のドル印刷業者の社長までもがやってきました。
「ぜひ、かぐや株をずっと持ち続けたい」
彼らの言葉を聞いたおじいさんとおばあさんは、大喜びです。
「すばらしい投資家さんばかりじゃ。これ以上の株主はない」
かぐや株は、何とか断ろうと思いました。
でも逆らえばおじいさんやおばあさんが悲しみ事になります。
かぐや株は毎日毎晩悲しそうになぜか月を見上げては泣いていました。
ある日、おじいさんとおばあさんが心配してわけをたずねると・・・。
かぐや株は泣きながら言いました。
「実は、わたくしは月の世界のものです。
今まで育てていただきましたが、今度の満月の夜には月へ帰らなくてはなりません」。
それを知った世界の投資家は、満月の夜、何千人もの人でをかぐや株の家の周りを守らせました。
けれど真夜中になって月が高くのぼると、人々は突然ねむってしまいました。
かぐや姫はその間に、月からの使いの自動運転車にのって月に帰ってしまいました。
世界中の投資家はとても悲しみました。
それ以来・・・。
世界中の人々は満月の日に株を買って株価を上げてかぐや株がまたやってくることを期待するようになりましたとさ。
おしまい
(兜町カタリスト櫻井)