<兜町カタリスト> 「雨予報の荒れるSQ週の水曜日」
NYダウは109ドル安の16964ドルと6日ぶりの反落。
日本・欧州ともに続落の動きとなっていることを高みの見物とはいかなかった。
背景は原油先物価格の下落との解釈。
加えて中国の貿易統計が過去6年で最大に落ち込んだこと。
弱気筋にとっては格好の売り材料となったというところだろう。
もっともダウは5日続伸していたことから当然上昇継続への懸念はあるもの。
売買リズムが一端反転と考えた方がアレコレ売り材料を探すよりも賢いような気がする。
株価は必ずしも材料に基づいて動くわけではない。
どうしても売買の材料を解釈しなければならない市場関係者の憶測が必ず正しい訳でもない。
簡単にいえば「買い疲れ」。
不思議と数字を伴ったような材料を提示したがる習性から行くと
「4%下落したWTI原油先物」とか
「25.4%減少した中国の輸出」なんて声が欲しくなってくるのだろう。
「買い疲れたから売り」
「買っても上がらないので売り」なんて解釈でも問題はなかろう。
3市場の売買高は約85億株と通常のエネルギー。
ジム・ロジャースらの唱える「3月10日暴落説」のタイミングに突入したことも
投資心理を多少悪化させたかも知れない。
「3月9日新月皆既日食」を通過することが必要だろうか。
一方東京。
たった2日の続落で投資心理はまた悪化した。
天気も雨予報の荒れるSQ週の水曜日。
「10日暴落説があるが10日はECB理事会だから売り崩しづらいだろう。
崩すとしたら11日。
でも、来週は日銀金融政策決定会合、米FOMCがあり、崩しづらい筈。
仕掛けるならそれらのイベントが終わったあと」と言う声も聞こえる。
シカゴ225先物の終値は16675円で高値16870円、安値16565円まで叩かれた。
為替の円高傾向が株価の上値追いの足かせ。
相関係数が0.8を越えたという。
中国の輸出入が大きく落ち込み世界経済減速懸念が高まったことで
なぜか安全資産とされる円が買われているのが気ががり。
日経朝刊1面トップも「アジア企業7年ぶりに減益」ととってつけたような記事。
10年国債利回りはマイナス0.1%まで低下しておりこのアンワインドが起これば
株価に好材料ではあるがまだ時期尚早か。
需給面では信用買い残は4週連続で減少し2兆4497億円と2013年4月以来の水準まで低下。
売り残は6237億円と増加しており信用倍率は好転。
裁定買い残も1兆8000億円台で2012年11月以来の水準で重荷にならない。
2月SQ値は15150円。
ここまで売り込む力はないだろう。
3日続落覚悟の水曜日。
原油価格が落ち着けば出てくるのが中国。
中国が落ち着けばまた「5月には「ギリシャ改革の見直し」などと欧州が材料視されるのだろう。
結論は永遠に止むことのない堂々巡り。
本来、株価はニュースを食べて成長するもの。
しかし株価がニュースを生むというパラドックスは実は正しいような気がする。
その中国の2月の中国輸出は25.4%減。
2009年5月以降で最大の落ち込みとなった。
輸入も13.8%減。
輸出は8カ月連続、輸入は16カ月連続での減少。
これで6.5%成長ができるのかどうかはやはり疑問ではある。
金融では債券市場への海外投資家の参加資格を大幅に拡大。
適格外国機関投資家(QFII)制度と人民元適格外国機関投資家(RQFII)制度から一歩進んだ。
興味深かったのは中国の王毅外相のコメント。
「中国が米国にとって代わる存在、あるいはもう一つの米国になろうとは考えていない。
米国は物事がどう展開するかを知る上で中国の5000年の歴史に目を向けるべき」。
米国にとってかわる存在になろうとしていないとコメントすることはそうなろうとしていることの裏返し。
人の発言の本意は個人も政治もきっと変わらない。
過去を振り返ってもあまり意味はないが、SQ週の日経平均の高値と安値の差。
2月223.24円、1月1441.48円、12月790.76円。
11月336.92円、10月568.93円、9月1354.90円。
8月643.91円、7月1312.80円、6月528.62円。
5月203.23円、4月764,71円、3月758.74円。
12月以降の過去3か月のSQ週以外の値幅は837円。
昨年来のSQ週の平均値幅は866円。
実はそんなに差がないことになる。