<兜町カタリスト>
「一休さん」
むかしむかし。
都のはずれに株の取引所がありました。
そこに一休というトンチのきく場立ちがいました。
先輩の場立ちさんはあんこが大好き。
「これは新米が舐めると毒じゃ」と嘘を言っていつも一人でこっそりあんこを舐めていました。
ある昼休みこと。
先輩の場立ちさんが昼ご飯にウナギを食べに出かけたました。
新米の場だちはみんなでつくったあんこを全部さばいてしまいました。
先輩の場立ちさんが帰ってくると・・・。
一休は「大切な板を割ってしまったので死のうと思ってあんこを食べましたまだ死ねません」。
ある日老練な投資家のご隠居さんは先輩の場立ちさんと一休を家に招きました。
家の前の橋に「株屋わたるべかたず」と立て札をたてました。
でも一休は「僕は証券マンだ。トレーダーだ」と渡ってしまいました。
やがて一休のトンチはファンドの殿様の耳にも届き、オフィスに呼ばれました。
殿様からポートフォリオに仕込んだ銘柄が夜になると飛び出して悪さをするから調べてほしいと頼まれた一休。
「調べるためにはポートフォリオから悪さをする株を追い出して下さい」と言います。
それを聞いた殿さまは、思わず言いました。
「いや勝手にポートフォリオの中の株を、追い出すことはできない」
すると一休は、にっこり笑って言いました。
「それではポートフォリオから悪さをする株は出て来ないのですね。
それを聞いて、安心しました。
いくらわたしでも、出てこない株を調べる事は出来ませんからね」
それを聞いて、ファンドの殿さまは思わず手を叩きました。
その後一休さんは偉大なトレーダーになりましたとさ。
おしまい。
(兜町カタリスト櫻井)