<兜町カタリスト> 「防御でなく復旧」
NYは下落。
しかしNYダウは月曜の水準まで戻っただけのこと。
NASDAQとS&P500も輸送株指数も月曜の水準より高い。
前日比だけでは市場を見間違うこともある。
サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相が減産実現の可能性を事実上排除。
原油先物価格が4%超の下落したことが悪材料との解釈。
もっとも3市場の売買高は約71億株程度と低調で真剣な売りとも考えられない。
日替わりメニューの一端と見た方が良かろう。
昨日は260億ドルの2年債入札を通過。
24日は340億ドルの5年債、25日には280億ドルの7年債の入札予定。
円滑な入札のためには株安も必要なのかも知れない。
シカゴ225先物の終値は15830円ながら、高値は16350円でまた止まった。
安値は15830円でほぼ安値圏での終了。
為替の動向に一喜一憂の展開だけにドル円動向に引っ張られる展開だろう。
日経朝刊では「騰落レシオ今年最高に」との見出しも見られるが所詮80%台。
「一巡感」などまだまだの印象もある。
ただ昨年8月半ばの信用期日は先週通過しており、需給面からの圧迫感は低下。
その証拠に信用買い残は2兆5270億円と13年4月以来の水準まで低下している。
2月権利配当付き最終日だけに配当取りの動きは多少あるだろう。
前場安後場高で16000円台キープが好シナリオ。
日本属国なのか友好国なのか。
結構微妙なことを思い出させてくれたのが「米大統領、訪ロ自粛促す」の報。
9日の安部首相とオバマ大統領と電話協議での内容。
「サミット前にロシアに行くのは控えて欲しい」とオバマ大統領。
日ロの接近への警戒感と慎重な対応を求めているとの解釈。
安部首相はプーチン大統領との会談は予定通り望む方針だという。
明らかな内政干渉のような気がするが、ここで折れなかった姿はいいかも知れない。
もっとも、中国に続いて日本も言うことを聞かなくなったオバマ政権。
レイムダックの年ではある。
しかしアメリカの影響力の低下は欧州とくに英国の浮上につながる可能性。
そこへもってきて英国のEU離脱は混迷状態。
英独の証券取引所統合構想もあり、そうなると時価総額で3兆円規模。
CMEの3.47兆円、NYSEの3兆円、香港の2.9兆円と並ぶ。
東証の9400億円などはるかに凌駕されることになる。
時価総額だけを見ても東京は株式市場的には完全にローカルの位置。
「兜町」なんて響きにこだわるアナクロニズムの出番ではないのかも知れない。
日経1面の「仮想通貨を貨幣認定、金融庁法改正へ」。
モノとみなしていた仮想通貨を貨幣の機能を持つと認定するという。
仮想通貨の定義は二つ。
(1)物品購入などに使用できる「交換の媒介」。
(2)不特定を相手にした購入や売買を通じて法定通貨との交換が可能なこと。
もし実現すれば将来はフィンテックの世界になってこよう。
世界の仮想通貨は約600種類でビットコインの時価総額は約7000億円。
各国の通貨当局はマネロン対策から法規制に乗り出しているともいう。
これに呼応したかの記事は「EU、現金利用に上限」の記事。
最高額紙幣の500ユーロ札は廃止の方向だという。
小銭が邪魔だからカード利用というのがフツーの思考法。
しかし世界ではマネロンや偽札警戒からの高額紙幣からの脱却。
現金は足が付かないし何より保有者が誰かわからない。
これは利点でもあったのだが、いずれこのメリットは消えてくるのだろう。
何の裏付けもない紙を拝むというのも不自然だったが、今度はカードを敬う姿勢になる。
余計に不安が募る可能性はあるが、これは世界の流れ。
「現金お断り」は先の世界ではなく近未来の事実になる可能性が高まってきた。
相場的には・・・。
フィンテックは夢物語ではなく、すごそこにある未来という材料になってきた印象。
昨日ラジオNIKKEI「株とびら」に登場していただいたDIT(3916)。
市川常務に御話をうかがったが結構目からウロコの話は対サイバー攻撃。
期待は同社の自社開発商品「ウェブアルゴス」。
登場したのは「サイバーレジリエンス」と言う言葉。
レジリエンスは「回復力、復元力」のこと。
ウェブの改ざんを検知したらすぐにもとに戻す「瞬間検知、瞬間復旧」が可能だという。
キーワードは「被害多発中のウェブサイト改ざん攻撃に終止符を!」・。
通常はウェブサイトか復旧まで1カ月程度かかったが復旧まで1秒以内だという。
発想はウィルスを捕まえるのではなく、「変えられたらすぐに元に戻せばよい」。
従来は防御するソフトが主力だったが、改ざんを復旧するという思考は始めて。
「防御突破を前提としたウェブセキュリティ」というのが斬新だった。
「瞬間復旧」なら金銭目的の脅迫やカード情報の詐取にも対抗できよう。
ここにIoTが加われえばさらに面白いことになりそうだ。
防御でなく復旧は株式市場が今求めていることでもあるが・・・。