<兜町カタリスト>
「花咲かじいさん」
むかしむかし、兜町の近くに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
二人は子どもがいなかったので、株式取引をこよなく愛していました。
ある日、株価ボードが赤くきらめきました。
「これ買えワンワン、これ買えワンワン」
銘柄コードと株価の板が点滅しています。
「おや? これを買えと言っているのか。よしよし、買ってやろう」
おじいさんが試しに買ってみると、
「ややっ、これはすごい!」
なんと、翌日からストップ高が連発となり儲けがザクザクと出てきました。
この話を聞いた、となりの欲張りじいさんが、
「わしも、儲けたい。おめえのパソコンを、わしに貸してくれや」
欲張りじいさんは、パソコンを無理矢理眺め始めました。
でも嫌がる株価ボードがちらちら明滅した銘柄を買ってみるとストップ安が続きました。
「この役立たずの株め!」
怒った欲張りじいさんは、なんと、パソコンをたたきつぶしてしまいました。
おじいさんとおばあさんは、なくなくパソコンを埋めてやると、
棒を立ててお墓を作りました。
次の日、おじいさんとおばあさんがパソコンのお墓参りに行ってみると・・・。
パソコンのお墓の棒が一晩のうちに大木になり4ケタの数字を表現していました。
おじいさんとおばあさんは、その証券コードの株を買いました。
すると不思議な事に、買った株はまたストップ高の連続。
それを聞いた、欲張りじいさん。
「わしも、4ケタの数字を見つけて儲ける。
パソコンの墓の木を貸してくれや」
と、木を無理矢理借りると、自分の家で数字を見つけ始めまた。
しかし出てくる数字の銘柄は上がることはなく塩漬けばかり。
「いまいましい木め!」
怒った欲ばりじいさんは木をオノでたたき割ると、焼いて灰にしてしまいました。
大切なパソコンの思い出が詰まった木を焼かれたおじいさんは、
木を焼いた灰をザルに入れて持ち帰ろうとしました。
その時、灰が風に飛ばされて、枯れ木にフワリとかかりました。
すると、どうでしょう。
灰のかかった枯れ木に、満開の花が咲いたのです。
おじいさんは、うれしくなって。
「枯れ木に花を咲かせましょう。パアーッ」。
とうとう兜町の日本橋川の川岸まで行って「株価に花を咲かせましょう。パアーッ」。
と、言いながら次々に灰をまいて、兜町中に美しい花を咲かせました。
ちょうどそこへ、ヘッジファンドの王様が通りかかりました。
「ほう、これは見事じゃ」
外国人のファンドマネージャーはたいそう喜んで、
おじいさんの持っている株をツケロ買いで買い上げました。
それを見ていた欲張りじいさん。
「わしも花を咲かせて塩漬けを買い上げてもらおう。その灰を、わしによこせ!」
無理矢理に灰を取り上げると、外国人のファンドマネージャーに言いました。
「この灰はわしの物です。わしが兜町の枯れ株に花を咲かせますから、
わしにもほうびを下さい。バァーッ!」
欲張りじいさんはファンドマネージャーの前でたくさん花を咲かせようと、
灰をいっせいにまきました。
すると灰がファンドマネージャーの目に入って、
欲張りじいさんは持っている塩漬け株をさらに売られてしまったとのことでした。
おしまい
相場には邪心とかヨコシマな心は似合わないということでしょうか?
必要なのは素直な心と感謝の気持ち?
(兜町カタリスト櫻井)