<兜町カタリスト> 「さて」
先週は3日間の立会いで日経平均は2000円超(11.1%)の下落。
25日移動平均線との乖離率はマイナス11.86%で1月21日のマイナス11.66%を上回った。
昨年8月25日のマイナス12.23%に迫った。
金曜の東証1部の売買高は47億416万株、売買代金はオプションSQということもある4兆1833億円。
年初来安値更新銘柄は1023。
東日本大震災後の2011年3月15日の1048銘柄以来の多さとなった。
昨年来高値更新銘柄はゼロ。
そしてトヨタの時価総額は1年4カ月ぶりに20兆円を割れた。
中国市場の春節休場など関係なし。
水曜に16000円を割れ休日明けの金曜に15000円割れ。
「先進国の株価指数とは思えないような下げ」との声も聞かれる。
因みに・・・。
約2か月月間程度での下落が大きかったのは、1990年7月~9月がバブル崩壊直後で下落率37%。
08年8~10月がリーマンショックで下落率47%。
2000年3~5月がITバブル崩壊で下落率23%。
昨年7~9月がいわゆる人民元ショックで下落率19%。
「昨年12月末から24%の下落。
12月1日の20012円からは26%の大幅な下落」と市場関係者。
確かに歴史的な数字ではあろう。
覚えておきたいのは先週金曜の数値。
日経平均の25日移動平均線からの乖離はマイナス11.9%。
200日移動平均からのかい離率はマイナス22%。
騰落レシオは57.72%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方はプラス1.843%。
これは絶対的反発・反落圏。
買い方はマイナス25.018%。
こちらは追い証圏内。
Quick調査の信用評価損率(2月5日現在)はマイナス16.49%。
これは時差がある数字。
土曜日経朝刊1面の見出しは「マネー疑心暗鬼の連鎖」とおどろおどろしい。
テーマは「市場激動」といかにも不安げ。
そして日曜日経朝刊の見出しは「株下落、日中で鮮明」。
「日経平均株価の年初来下落率は資本流出問題を抱える中国株とそろって2割超。
日経平均構成銘柄のうち約4割が2013年4月の日銀異次元緩和前の水準に逆戻り。
世界の株価は年初から米国が8%、欧州が15%下落。
日経平均の年初来下落率は21%。、
景気や政策への不信感が強まる中国の上海株(下落率22%)に日本株が最も連動して下落。
一方、金の上昇率は17%と主要資産で最も大きくなった」と。
1年で20%というのが平均的変動率であるとすると2か月で20%超は明らかにスピード違反だろう。
少し明るい兆しは日経平均採用銘柄のPBRが0.99倍と1倍を割れた。
来期以降の減速を織り込んでいるという指摘もあるが、むしろ売られ過ぎと考えられよう。
東証1部でも1.01倍だ。
日経平均のPERは12.97倍でEPSは1152円と10日の1141円からは増加。
配当利回りは1.95%、東証1部全銘柄では2.05%。
全体の99.3%が通過した第3四半期決算は通期売上高1.4%増、経常利益2.3%増。
懸念された純利益はプラス1.5%で着地しマイナスを逃れた。
10年国債利回りも0.08%とプラス圏。
「株価が大幅に下落し、株安の損失を穴埋めする目的で債券が売られた」という解釈は疑問。
しかしプラス金利であることは間違いない。
単純平均株価の2380円台はいかにも売られ過ぎというのが率直な感覚。
金曜に日経平均が700円下落しても空売り比率は40%台というのも少し変な感じ。
目をアメリカに転じれば・・・。
S&P500採用銘柄のの2015年第4四半期決算は、前年同期比3.9%減の見通し。
予想PERは15.0倍との計算。
一方資産運用大手ブラックロックのグローバル最高投資ストラテジストのコメント。
「日本株は割安で金融市場の中で明らか最も売られ過ぎの状態にある。
日銀のマイナス金利導入によって銀行が苦しむとしても、円安が進んで多くの日本株が堅調となる可能性が大きい」。
そして春節明けの中国。
中国商務省が発表した春節期間中の小売売上高は前年比11.2%増加の1150億ドル。
加えて・・・。
中国人民銀行の周小川総裁。
「人民銀行が人民元防衛と資本流出阻止のため元買い・ドル売りの市場介入を続ける中、1月の中国外貨準備は3カ月連続で減少した。
人民元改革により市場はより柔軟に投機筋に対応できるようになる。
資本流出は資本逃避とは別物であり厳しい資本規制は中国にとって有効ではない。
人民元相場の下落が続く理由はない。
通貨バスケットに対する人民元の基本的な安定性を維持する一方、米ドルに対してはより大きな変動を容認する。
政府は経済のシステミックリスクを回避し、株式と債券、為替市場の間の交差感染を阻止する必要がある」。
結論は「外貨準備に関する市場のセンチメントを投機筋に主導させるべきではない」ということだろう。