【推移】
25日(月):
先週末まで日経平均は今年14営業日で上昇がやっと3日目。24日の満月だったから、という理由もある。金曜はECBドラギ総裁の追加金融緩和コメントを手掛かりにしての大幅反発。日経平均は週間では188円下落だったが週足では3週ぶりに陽線。譲れない水準、退けない水準というのはあるものらしい。 先週木曜の日経平均は16017円でかろうじて16000円台キープ。騰落レシオは53.82%と絶対的低水準だった。そしてサイコロは2勝10敗の16.7%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス0.233%。売り方がほぼ全員プラスというのは反転というのが経験則。(逆に買い方がほぼ全員プラスになれば反落という経験則)。一方で買い方がマイナス21.138%。これもほぼ反転の水準。
Quick調査の信用評価損率(1月15日現在)はマイナス15.51%だった。ただ日経平均大幅続落の一方で空売り比率は40.6%と悪化せず。日経平均採用銘柄のPERは13.32倍と低下したがEPSは前日の1198円→1202円と増加。東証1部の単純平均は2559.52円。売り方の攻勢を土俵際の一応うっちゃりでかわしたというところだろうか。市場筋からは「最近の証券会社の決算数字は異常です。東証の売買金額が2兆円レベルであの結果が出る筈はないでしょう。
日経リンク債に新興国通貨スプレッドを咬ませたら証券会社は大儲けでは?それが一度にアンワインドしたとすると、売りたくなくても売られてしまう。安値は売場に支配される、証券会社は自分で自分の首を締めている。素人のオプション音痴を相手にして。現場の証券マン達から悲鳴が聞こえてきました」。このあたり限界値でもあったような気がする。ある投資家さんのコメント。「北朝鮮の核実験でドーン、ワシントンでサクラが咲いたからさくらインターネット。全部わかったよ。でも12月5日に1億以上の建玉投げたけどね」と。たくましさを学びたい。
大雪のニューヨークとスタジオジブリの呪縛からの脱出だった。原油の急落は様々な経路で世界市場に波及したとの指摘。
ひとつは商品や株式、債券などをコンピューターで自動売買するヘッジファンドのCTA(商品投資顧問)。
もうひとつは原油安で歳入減に苦しむ産油国の政府系ファンド(SWF)による株などの現物資産の売却。本尊の構図が見えてくれば自ずと本尊が引っ込むのが相場というのが歴史。
8月のオイル売り観測もそうだったし、今回も一緒のような気がする
。因みに3週間経ってあとの2015年末比騰落利率。
1位タイはタイでマイナス1.6%。2位トルコマイナス2.1%、3位インドネシアマイナス3%、4位韓国マイマス4.2%。一方で最下位はシャンがいのマイナス17.6%。次がギリシャのマイナス15.4%、香港マイナス12.9%、アルゼンチン・マイナス11.5%。その次が日本のマイナス10.9%、フィリピンマイナス10.7%。アルゼンチンとフィリピンに挟まれたような位置にあること自体が変な状況。日経平均株価は152円高の17110円と今年初めての続伸。GSIクレオス、ヒトコムが上昇。三井不、日本通信が下落。
26日(火):
「今年初めての続伸」ですら喜び材料になってしまう東京株式市場。「何を恐れるのか」というのは売り方も買い方も一緒のマインド。流れに棹させば流されるもの。これがたぶん怖いのだろう。思い起こされたのが漱石氏の「草枕」の有名な冒頭。「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ」。
読み返してみると、余計な修飾をそぎ落として、これ以上は削れないという究極。そしてテンポの良さの中に結構含蓄のある文。流用したいのは「値に驚けば角が立つ。トレンドに逆らえば流される。意地を通せば絶望感」。そして「相場をなすものは、向こう三軒両隣りにちらちらするただの人である」。人でなしの国から訪れる人でなしのマネーにたぶらかされてはいけない」とでも言い替えられそう。もっとも「人でなし」を恐れるあまり「ろくでなし」になってはいけないのだろう。ブリザードのような先週木曜の数字と月曜を比較してみると・・・。
【日経平均株価】16017円→17110円。
【25日線からのかい離】マイナス11.7%→マイナス4.9%。
【サイコロ】2勝10敗16.7%→4勝9敗33.3%。
【松井証券信用評価損率速報値】売り方:マイナス0.233%→マイナス6.782%。買い方:マイナス21.138%→マイナス15.015%。
【空売り比率】40.6%→39.8%。
【日経VI】42.78→36.03。
【日経平均採用銘柄PER】13.32倍(EPS1202円)→14.23倍(EPS1205円)。
【東証1部単純平均】2559円→2745円。
【東証1部時価総額】481兆円→515兆円。
【昨年来安値銘柄数】476銘柄→7銘柄。多少時間が経過すれば「絶対的水準だった」なんて記憶を呼ぶ覚ますことが出来るのかも知れない。
日経平均は402円安の16708円と反落。住友大阪セ、サイバネットが上昇。三菱UFJ、商船三井が下落。
27日(水):
マーケットで一番悪い存在は心配そうな顔をしてほくそ笑んでいる人種だろうか。あるいは笑いながら「下げると大変ですから注意が必要です」という解説。注意だけしていれば相場の下落を避けられる訳はない。あるいは下がって弱気上がって強気の臨機応変的解釈。むしろこの臨機応変にはそれこそ注意が必要かも知れない。
ある投資家さんのコメント。「相場は値動きがとても荒く一方通行ですね。アルゴトレード全盛期で仕方ないのかもしれませんが。ドライな相場、人の温かみを感じない相場は疲れます。新規の投資家も入りづらいですよね」。無機質な機械売買に相場観などないことが今の相場を無機質にしている。ヒトの存在感が薄くなり、相場も薄っぺらな展開と言えるのかも知れない。結局相場は材料ではなく動機なのだろうか。上げたい動機、下げたい動機。それは欲望とタイミング、あるいはリズムとハーモニーの世界にも思えてくる。
興味深かったのは日経朝刊の見出しの組み合わせ。「上海株、6%超急落」の下に「NY株反発。一時250ドル高」の見出し。夕刻の上海をしり目に「あ、そう」とばかりに原油価格の上昇をはやしてのNY株高。市場で言われる中国懸念など全くお構いなしで原油が反発すれば株価は上昇。SMAPのShanhaiの「S」はあまり意味がないのかも知れない。そもそも上海株式市場は外国人投資家の参入制限がバリバリで思うようには売買できない市場。所詮中国国内の事情を反映した相場であり、機械の大好きな売買はぼ不可能な筈。だったら隣の国で同じ時間帯の東京株式市場は流動性や参入障壁の少なさでは格好の代替市場。鎖国こそ金融市場独立の早道というパラドックスはあながち無理筋でもない。
先物手口をみればアムロやニューエッジなどの乱舞。43%まで上昇した空売り比率。そして7か月ぶりに3兆円を割り込んだ信用買い残。勝ち負けのコントラストを濃くした主役は残念ながら鮮明になった。「日銀追加緩和がなければ上に行く力はない」とまで解釈された東京市場。
面白かったのはその原油価格の下落がエコカーの未来を狭く下と言う日経スクランブルの指摘。確かにガソリン価格は下落を継続し沖縄では1リッター90円台。こうなると敢えてエコカーでなくても、あるいは新燃料でなくても問題はない。環境面の問題は別にして石油ジャブジャブの世界は、新たな材料を求めなくなる。原油ジャブジャブの幻想におぼれて迎えたのは70年代のオイルショックだった。
日経平均株価は455円高の17163円と反発。ダイハツ、スズキが上昇。セイコー、アルプスが円と下落。
28日(木):
あれこれ詮索する向きも少なかったがFOMCは通過。常識的には何もなくての着地が当然の帰着。なのに市場関係者が騒ぐからムードだけは「FOMC待ち」になる。12月16日にようやく重い腰を上げて利上げした次のFOMCに何があるというのだろう。雇用統計とFOMCに終始する経済スケジュール投資の弱点でもあろうか。とはいえ米利上げ以降の下落率はNYダウ9%、NASDAQ10%とキツイ。利上げ決定時のNYダウは224ドル高、S&P500は29ポイント高。利上げ好感だったが、結論は従来通りの利上げ後株安。フツーは3週間程度で落ち着くのが常識的だが、今回はここに原油とチャイナが加わったのが余計だった。不可解は二つ。一つはボラティリティインデックスの日米の違い。
NY株は下落しているもののVIX(恐怖)指数は23.42とフツーの水準。しかし日経VIは38.11と高止まりして下がってこない。前日の日経平均400円高でもVIは若干上昇。これが20ポイントレベルまで下げてこないと落ち着かない。二つ目は空売り比率の高どまり。日経平均大幅上昇にもかかわらず空売り比率は41.8%。間日の上げを信じなかったのか、自動的な空売りが減らないのか。あるいは今日の相場は下げと見たのか、理由は定かではない。しかし目の前を「変だ」という事柄が通り過ぎている。大きく反落したNY株だったが、シカゴの戻りはそれほどの下げでもない。
日銀金融決定会合に期待する訳ではないが、ボラの低下と投資心理の復活は求めたい。未来へタスキをつなぐ希望の日となって欲しいところ。そのボラだが、今年に入っての225先物の日中値幅は200円以上となっている。大納会が130円だったが、大発会580円、5日が240円。7日510円、15日570円、20日710円、21日790円。26日は210円と低下し前日が300円。17営業日のうち500円超の下落5回、上昇2回。短期に暴れる向きは日々存在しているし、この回数が売り買い逆転すれば売り方も安穏ではない。
因みに松井証券経由の信用評価損率速報の売り方はマイナス7.209%。1週間前はマイナス0.233で我が世の春だったが一転含み損もでてきた。信用評価損率ゼロ近辺で株価反転のアノマリーは今回も生きた。一方買い方はマイナス14.267%。1週間前のマイナス21.138%からは好転した。売り方のマイナス率との逆転が株価上昇加速のサインとなろう。
目標がなければ動けないのが市場心理であるならばそのシルシの第一関門は1月SQ値17420円だろうか。「大変だ」という市場関係者の声には何の権威も正統性もない。むしろ「マイ変だ」に気が付き、着目することが株式投資のだいご味の一つ。無条件に市場関係者の声を信じるのではなく、おかしな部分に気がつくことが重要。
ただ、性格は相当悪くなるだろう。最近は中島敦の山月記の隴西の「性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く」が理解できてきたような気がする。
日経平均株価は122円安の17041円と反落。NTT、大東建託が上昇。航空電子、川重が下落。
29日(金):
甘利経財相の辞任はほとんど影響せず。日銀金融政策決定会合での「マイナス金利導入」という劇薬を好感して株価は反転。一時600円近く上昇した後、金融機関の収益悪化懸念から200円近く下落した場面もあったが結局は500円近くの上昇。
待ち望んいた結果かどうかは微妙だが、結果発表直後に急騰→急落→急騰の大変動で東証1部売買代金は8月25日以来の4兆4317億円と劇的に拡大した。
日経平均株価は476円高の17518円と反発。1月SQ値17420円を上回った。空売り比率も37%台まで低下した。値上がり銘柄数1741というほぼ全面高の中でファナック、オムロンが下落。
(2) 欧米動向
原油市場ではイラクとロシアが減産方向で歩み寄りの姿勢。
雪が解ければ花が咲くのは自然も相場も一緒。
SMSPの「S」と「P」が消えれば残るは「M」と「A」。
その「M」はFOMCでは何も起こらず日銀は悪いことはしないポジティブサプライズ期待。
「A」のアップルの第1四半期決算。
iPhone販売が予想を下回り出荷の伸びが過去最低で着地。
販売台数は7480万台(市場予想7550万台)。
出荷の伸びは0.4%で2007年以降で最低。
しかし純利益は1.9%増の183.6億ドル、売上高は1.7%増の758.7億ドルで過去最高。
中国関連の売上高は14%だったがこの解釈は結構難しい。
グーグルは予想より10年早く囲碁最強の可能性のあるAIを開発。
中古マンション価格は上昇継続。
国内乗用車8社の2015年の世界生産台数は4年連続で過去最高更新。
銅の国際価格も上昇し始めた。
そろそろ啓蟄を迎えてもよかろう。
(3)アジア・新興国動向
22日土曜の日経朝刊1面では「市場混乱の真相。4兆元と4兆ドル」の副作用の記事。
考えてみればリーマンショック後の史上最大のカンフル剤だった4兆ドルと4兆元。
その緩和の副作用からの脱却が今とすればつじつまはあおうか。
ただその4兆ドルや4兆元がすべて投機的投資に向かったとは考えられないのだが・・・。
「大機小機」は「同日選観測とアベノミクス」。
アチコチに消費増税延期と衆参同時選挙の声が登場し始めた。
↓
世界的なリスク回避の流れが止まらなければ、開き直って経済テコ入れに舵を切り
ー解散に打って出るのが第二の選択肢。
最有力の手段は17年4月に予定する消費税10%への増税の再延期だろう。・・・
君子豹変で選挙優先の増税延期の動く誘惑は消えないだろう。
いっそ信を問うなら、6月に法律が施工する18歳選挙権に着目してはどうか、。
投票率が高い高齢者の声が響きやすいシルバー民主主義を見直し、
若者の声を聞く姿勢を前面に出す。
社会保障の支出膨張を止める制度改革を問う格好の機会にもなる。
【展望】
スケジュールを見てみると
1日(月):米ISM製造業景況感、中国製造業PMI
2日(火):マネタリーベース、ユーロ圏失業率
3日(水):消費動向調査、米ADO雇用レポート、ISM非製造業景況指数
4日(木):米製造業受注、BOE金融政策委員会
5日(金):景気動向指数、米雇用統計、貿易収支
2月過去26年間は15勝11敗
2日(火)ポイントの日
3日(水)節分、ECB理事会
8日(月)新月
11日(木)建国記念の日で休場
12日(金)SQ、ポイントの日
15日(月)プレジデンツデーでNY休場
17日(水)ECB理事会
18日(木)ポイントの日
23日(火)満月、ポイントの日
25日(木)ポイントの日
先週号の週刊現代の見出しは「最悪の事態を想定せよ 激震! 株価1万4000円割れへ」。
これを底打ちサインのアノマリーと読みたいところ。
しかし同時に発売された週刊ポストは「わずか半年で株価23000円大反騰」。
こいつが邪魔なような気もする。
要は週刊誌ベースも気迷っているのだろうか。
兜町の相場も不毛だが、永田町の不毛も一緒。
国会での野党の代表質問は「累進課税の強化」。
本気で推進すればマネーは逃げ出し、消費は停滞する。
どうしてこの単純な論理が理解できないのだろうか。
分配では消費は増えないし景気はよくならない。
切実性のないお金こそ景気けん引の機関車。
「成長によって格差は解消する」の方が正論に聞こえる。
ただ前自民党総務会長の野田聖子氏は「2020年まで安部首相」とのコメント。
石破地方創生相の勉強会は50名参加。
どうも選挙の匂いがしてきた印象。