「0.095%」
日銀がマイナス金利の導入を決定。
2014年10月の黒田バズーカ砲ほどではないだろうが速射砲くらいの影響はあろうか。
結果発表直後に急騰→急落→急騰のと大変動はそれぞれの解釈の相違。
銀行が貸し出しを増やすかどうかに対する疑問もあるということだろうか。
バブルで委縮し、リーマンで小さくなったバンカー精神が発揮できるかどうか。
それがここからの問題ではある。
とはいえ・・・。
市場は変化を求める場所。
しかも月末にはきっちり1月SQ値17420円を抜いたという事実。
2014年10月水準を下回れば日銀のメンツが経たないという読みは当たったことになる。
だからこそ東証1部売買代金は8月25日以来の4兆4317億円だった。
この1ヶ月で分かったことは、「やはり押してもダメなら引いてみな」の心理。
換言すれば「買ってもダメなら売ってみな」の簡単な手法。
上に限界があるのなら、一度引いて飼い葉を与える常套手段が発揮されたということだろうか。
因みに・・・。
日経平均は週間では559円高となり今年初の週間上昇。
週足では2週連続陽線となった。
日銀のマイナス金利導入を受けての市場の声。
「多くの国が成長支援のために通貨安を望んでいる。
FRBが、非常に慎重にアクセルから足を踏み外そうとし続けるなか、ECB、日銀、 中国人民銀行は、
さらに力強く景気刺激のアクセルを踏もうとしている」。
興味深いのは「各国は、システムが対応可能な緩やかな成長を創出する政策を模索するのではなく、
わずかな成長を目指すにとどまっている。
これは大きな悲劇だ。
より高い成長ができるのに、勢いが抑えられている」という指摘。
まさに官僚的動きが世界の常識ということなのかも知れない。
また変になってきたのがアメリカのGDPと金融引き締めの解釈の関係。
10~12月のGDPが年率換算前期比0.7%増で着地。
7~9月は2.0%増だっったから悪化した。
ところが市場の解釈は「早期利上げ観測後退」。
これを受けてNY株式市場は上昇。
景気が悪いのに金利面から株価が上昇するのはどこは不自然な展開。
次のポイントはここになろうか。
因みに2015年通年の実質GDPは2.4%増。
第4四半期の在庫投資は686億ドルで第3四半期の855億ドルからは減少。
個人消費は2.2%増で前期の3.0%増と比べて鈍化。
税金や物価変動を調整した家計の可処分所得は3.2%増。
貯蓄は第3四半期の7006億ドルから7393億ドルに増加。
ドル円は日銀のゼロ金利導入を背景に121円台。
円売りドル買いの格好。
しかし同時に米10年国債利回りは1.922%と低下。
日本の10年国債が前日比0.1215%低下し0.095%になったことへの追随かも知れない。
史上初の0.1%割れである。
しかし、米国債利回りの低下がどうも不自然なのが気にかかる。
この先、FRBの追加利上げがないという読みだとしたら、リスクを取らない一方での株高傾向。
リスク重視とノンリスク重視のどちらかが間違っていると言わざるを得ない。
如月の進展とともにどちらが正しいのかが明らかになるのだろう。
少なくとも空売り比率が37%台まで低下したことだけは好感できる。
日銀のマイナス金利の導入という劇薬の副作用のレベル次第ということなのだろう。
個別では日経朝刊トップが「遺伝子治療薬国内発売へ」の見出し。
2020年に400億ドル市場が見込まれる遺伝子治療薬の市場。
ただ製品化に至っていない現実だが、ようやく日本のチカラが発揮されるときが来た印象。
一昨年の改正薬事法による遺伝子治療の規制緩和は日本を世界のトップランナーに押し上げた。
ようやくそれが現実化してきたということだろう。
第1号は田辺三菱だが、実体は重症虚血肢の薬を開発したアンジェスMG(4563)の成果。
じっと見てきただけに「ようやく」の感ひとしおである。
アステラスも米バイオベンチャーのベリカムと組んだ進行がん治療薬を開発中との紹介もあった。
がんを攻撃する遺伝子を挿入した細胞を培養して患者さんに注射するという。
ナノキャリのドラッグデリバリーシステムが脳裏に浮かんできた。
2014年6月に4兆ドル近くまで膨らんだ中国の外貨準備。
2015年末には3兆3300億ドルと2割減少した。
「外貨がさらに減り、投機筋の標的になった時、中国政府や世界経済は耐えられるのか」との賢い声もある。
中国1月購買担当者景気指数(PMI)が邪魔してくれないことだけを願いたいところ。