<兜町カタリスト> 「臨機応変?」
マーケットで一番悪い存在は心配そうな顔をしてほくそ笑んでいる人種だろうか。
あるいは笑いながら「下げると大変ですから注意が必要です」という解説。
注意だけしていれば相場の下落を避けられる訳はない。
あるいは下がって弱気上がって強気の臨機応変的解釈。
むしろこの臨機応変にはそれこそ注意が必要かも知れない。
昨日のラジオNIKKEI「株とびら」の書き込み。
「相場は値動きがとても荒く一方通行ですね。
アルゴトレード全盛期で仕方ないのかもしれませんが。
ドライな相場、人の温かみを感じない相場は疲れます。
あと新規の投資家も入りづらいですよね。
何とかならないものなのか、そう思う今日この頃です」。
前場にストボでカブコムの山田さんと全く同じことを嘆いたばかり。
無機質な機械売買に相場観などないことが今の相場を無機質にしている。
ヒトの存在感が薄くなり、相場も薄っぺらな展開と言えるのかも知れない。
結局相場は材料ではなく動機なのだろうか。
上げたい動機、下げたい動機。
それは欲望とタイミング、あるいはリズムとハーモニーの世界にも思えてくる。
興味深かったのは日経朝刊の見出しの組み合わせ。
「上海株、6%超急落」の下に「NY株反発。一時250ドル高」の見出し。
夕刻の上海をしり目に「あ、そう」とばかりに原油価格の上昇をはやしてのNY株高。
市場で言われる中国懸念など全くお構いなしで原油が反発すれば株価は上昇。
SMAPのShanhaiの「S」はあまり意味がないのかも知れない。
そもそも上海株式市場は外国人投資家の参入制限がバリバリで思うようには売買できない市場。
所詮中国国内の事情を反映した相場であり、機械の大好きな売買はぼ不可能な筈。
だったら隣の国で同じ時間帯の東京株式市場は流動性や参入障壁の少なさでは格好の代替市場。
鎖国こそ金融市場独立の早道というパラドックスはあながち無理筋でもない。
先物手口をみればアムロやニューエッジなどの乱舞。
43%まで上昇した空売り比率。
そして7か月ぶりに3兆円を割り込んだ信用買い残。
勝ち負けのコントラストを濃くした主役は残念ながら鮮明になった。
「日銀追加緩和がなければ上に行く力はない」とまで解釈された東京市場。
NYのおまけで前場は上昇は既定路線。
日銀追加緩和がなくても自助努力で上がれることを証明するには後場の展開が重要になる。
原油市場ではイラクとロシアが減産方向で歩み寄りの姿勢。
雪が解ければ花が咲くのは自然も相場も一緒。
SMSPの「S」と「P」が消えれば残るは「M」と「A」。
その「M」はFOMCでは何も起こらず日銀は悪いことはしないポジティブサプライズ期待。
「A」のアップルの第1四半期決算。
iPhone販売が予想を下回り出荷の伸びが過去最低で着地。
販売台数は7480万台(市場予想7550万台)。
出荷の伸びは0.4%で2007年以降で最低。
しかし純利益は1.9%増の183.6億ドル、売上高は1.7%増の758.7億ドルで過去最高。
中国関連の売上高は14%だったがこの解釈は結構難しい。
面白かったのはその原油価格の下落がエコカーの未来を狭く下と言う日経スクランブルの指摘。
確かにガソリン価格は下落を継続し沖縄では1リッター90円台。
こうなると敢えてエコカーでなくても、あるいは新燃料でなくても問題はない。
環境面の問題は別にして石油ジャブジャブの世界は、新たな材料を求めなくなる。
原油ジャブジャブの幻想におぼれて迎えたのは70年代のオイルショックだったが・・・。
今週号の週刊現代の見出しは「最悪の事態を想定せよ 激震! 株価1万4000円割れへ」。
これを底打ちサインのアノマリーと読みたいところ。
しかし同時に発売された週刊ポストは「わずか半年で株価23000円大反騰」。
こいつが邪魔なような気もする。
要は週刊誌ベースも気迷っているのだろうか。
兜町の相場も不毛だが、永田町の不毛も一緒。
昨日の国会での野党の代表質問は「累進課税の強化」。
本気で推進すればマネーは逃げ出し、消費は停滞する。
どうしてこの単純な論理が理解できないのだろうか。
分配では消費は増えないし景気はよくならない。
切実性のないお金こそ景気けん引の機関車。
「成長によって格差は解消する」の方が正論に聞こえる。
ただ前自民党総務会長の野田聖子氏は「2020年まで安部首相」とのコメント。
石破地方創生相の勉強会は50名参加。
どうも選挙の匂いがしてきた印象。