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12月07日 個別銘柄情報 [9179]川崎近海汽船

[12月09日更新]

川崎近海汽船の16年3月期業績予想は再増額含み、原油価格下落メリットも期待

 川崎近海汽船<9179>(東2)は近海輸送と内航輸送を展開している。12月1日には清水~大分の新規航路開設を正式発表した。株価は戻り高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、原油価格下落メリットも期待されて16年3月期業績予想は再増額含みであり、6倍近辺の低PER、3%近辺の高配当利回り、0.5倍近辺の低PBRという指標面の割安感も強い。高値圏を目指す展開だろう。

■近海輸送と内航輸送を展開、新規のオフショア支援船は16年竣工予定

 石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門を展開している。

 中期成長に向けた新規分野として、13年10月オフショア・オペレーションと均等出資で合弁会社オフショア・ジャパンを設立した。日本近海における海洋資源開発・探査・掘削設備・洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船業務に進出する。オフショア支援船は16年2月竣工予定だ。なお15年5月1日付でオフショア支援船事業推進室を新設している。

■新規航路開設も積極化

 15年3月には、18年春予定で岩手県宮古港と北海道室蘭港を結ぶ新たなフェリー航路を開設するべく検討を開始した。宮古港、室蘭港とも近隣に国立公園など観光資源が豊富なため旅客需要も期待できるとしている。

 12月1日には、静岡県清水港と大分県大分港をRORO船で結ぶ新規航路を16年10月に開設すると正式発表した。15年7月から検討していた案件で、清水~大分間を20時間で結ぶ週3便運航を予定している。トレーラーでの海陸一貫輸送によって首都圏・甲信~九州間のモーダルシフトが加速し、ドライバー不足問題の解決策の一つとして期待される。

■修繕費増加した15年3月期第1四半期をボトムに営業損益改善基調

 なお15年3月期の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)111億91百万円、第2四半期(7月~9月)122億87百万円、第3四半期(10月~12月)119億83百万円、第4四半期(1月~3月)104億85百万円だった。営業利益は第1四半期56百万円の赤字、第2四半期8億59百万円、第3四半期9億60百万円、第4四半期5億98百万円だった。

 第1四半期は所有船のドック入りが集中して修繕費が増加したが、第1四半期をボトムとして営業損益は改善基調だ。また15年3月期のROEは14年3月期比0.2ポイント低下して2.2%、自己資本比率は同3.6ポイント上昇して56.3%、配当性向は57.8%だった。

■16年3月期第2四半期累計は大幅増益

 今期(16年3月期)第2四半期累計(4月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の222億円だったが、営業利益が同85.2%増の14億87百万円、経常利益が同81.3%増の14億60百万円、純利益が同87.9%増の9億60百万円だった。

 為替の円安継続や燃料油価格の下落などに加えて、積極的な営業展開やコスト削減効果が寄与して売上高、利益とも期初計画を上回った。売上総利益率は同4.2ポイント上昇して15.1%、販管費比率は同0.9ポイント上昇して8.4%だった。

 セグメント別に見ると、近海部門は売上高が同2.6%減の85億13百万円で、営業利益が3億66百万円の赤字(前年同期は5億86百万円の赤字)だった。バルク輸送の荷動き低迷や市況低迷の継続などで減収だったが、コスト削減効果で営業赤字が大幅に縮小した。

 内航部門は売上高が同7.1%減の136億85百万円だったが、営業利益が同33.4%増の18億54百万円だった。不定期船輸送で小型貨物船の市況が低迷したが、定期船輸送で大型船投入によるスペース拡大を活用した営業展開や繁忙期の休日臨時運航などが奏功し、フェリー輸送では宅配貨物などの活発な荷動きでトラック輸送が好調だった。

 なお四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)107億16百万円、第2四半期(7月~9月)114億84百万円、営業利益は第1四半期3億円、第2四半期11億87百万円だった。

■16年3月期業績予想は再増額含み

 今期(16年3月期)通期の連結業績予想については10月30日に修正(売上高を減額、利益を増額)を発表した。修正後の連結業績予想は前回予想(4月30日公表)に対して、売上高が8億円減額して前期比6.4%減の430億円、営業利益が4億円増額して同12.2%増の26億50百万円、経常利益が4億円増額して同6.6%増の26億円、純利益が2億50百万円増額して同3.4倍の17億50百万円とした。

 営業減益予想から一転して営業増益予想となった。第2四半期累計が計画を上回ったことに加えて、第3四半期(10月~12月)以降に予想される外部環境を考慮したとしている。原油価格下落メリットも寄与する。純利益は前期計上した保有船舶減損損失の一巡も寄与する。

 なお第3四半期以降の前提条件は、為替レート1ドル=120円(前回予想時1米ドル=120円)(前期実績1米ドル=108円13銭)、燃料油価格C重油4万6300円(前回予想時5万6600円)(前期実績6万8175円)としている。

 配当予想も前回予想(4月30日公表)の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)から1円増額して年間11円(第2四半期末6円、期末5円)とした。前期との比較でも1円増配となり、予想配当性向は18.5%となる。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が51.6%、営業利益が56.1%、経常利益が56.2%、純利益が54.9%と高水準である。10月30日の通期連結業績予想の利益増額は概ね第2四半期累計の超過達成分を上乗せした形であり、通期会社予想は再増額含みだろう。

■中期経営計画で18年3月期ROE8.9%を目指す

 15年4月に発表した15年度中期経営計画では、目標値を18年3月期売上高495億円(近海部門175億円、内航部門320億円)、営業利益34億円(近海部門5億円の赤字、内航部門39億円の利益)、経常利益35億円、純利益24億円、ROE8.9%、自己資本比率61.1%、DER0.45倍とした。前提の為替レートは1米ドル=120円、燃料油価格は7万1500円である。

 また新造船建造等に対する3年間の合計投資額は133億円とした。期間中の新造船は近海部門の一般貨物船1隻(社船または傭船)、内航部門の石炭船一隻(傭船)、一般貨物船1隻(傭船)、石灰石専用船1隻(社船)、RORO船1隻(社船)、新規事業のオフショア船1隻(共有船)の予定である。

 近海部門では、喫緊の課題である収益改善に向けて、適正な船隊規模による効率配船と新規顧客の獲得を目指す。内航部門では、不定期船輸送における各専用船の安定輸送確保と新規貨物開拓、定期船輸送とフェリー輸送における新規航路の開設を進める方針だ。

 陸上輸送におけるドライバー不足で海上輸送へのモーダルシフトが注目されており、中期的にはオフショア支援船業務や新航路開設も寄与して収益拡大が期待される。

■株価は戻り高値圏から一旦反落したが、戻り歩調に変化なし

 株価の動きを見ると、11月26日の戻り高値392円から利益確定売りで一旦反落したが、9月上旬~10月中旬の安値圏320円~340円近辺で下値固めは完了している。戻り歩調に変化はないだろう。

 12月8日の終値354円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS59円61銭で算出)は6倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は3.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS784円66銭で算出)は0.5倍近辺である。なお時価総額は約105億円である。

 週足チャートで見ると、52週移動平均線が戻りを押さえる形となって反落し、再び26週移動平均線を割り込んだが、上向きに転じた13週移動平均線がサポートラインとなりそうだ。原油価格下落メリットも期待されて16年3月期業績予想は再増額含みであり、6倍近辺の低PER、3%近辺の高配当利回り、0.5倍近辺の低PBRという指標面の割安感も強い。高値圏を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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櫻井英明

Author:櫻井英明
日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの公式スマホサイトにて、毎日、株式情報を配信中。

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