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《マーケットストラテジーメモ》 12月第1週

【推移】
30日(月):
日経平均株価の木曜高値は19992円、金曜高値は19994円。日々2万円に迫りながら終値では抜けなかった。「買ってもダメなら売ってみな」とならなければ良い。あるいは前回2万円に乗せた時も、なかなか終値では抜けずに結局はNYの大幅高で抜けた。きっかけは海外株高での株価ワープという情けない状態は今回もあるのかも知れない。もっとも週末は「閑散に売りなし」の底堅い展開。マザーズ銘柄を中心に中小型セクターが強い動きで「日本株のなかで資金は循環」との声が聞かれる。日経平均は週間で4円の上昇でしかなく上値の重さも指摘される。
しかし週足では6週連続で陽線となった。今週は雇用統計を隠れ蓑にするのだろが、所詮足元を見れば年末高への上昇期待だろうか。

11月最終日。11月月足陽線基準は18683円(11月2日終値)で月足は10月から連続陽線。気になるのはSQ値だが11月SQ値19496円ははるか下。来週末にメジャーSQを迎えるが期待は2万円台のSQ値。
因みに昨年12月SQ値は17281円だった。ラグビー7人制女子は五輪出場。そして競馬のジャパンカップは牝馬のショウナンパンドラが優勝。
ジャパンカップは日本馬が10連勝。うち5回は牝馬が優勝している。10年前から女性の視点で銘柄選択をしていれば、これも大きな利益。例えばユニチャームやOLC、あるいはクックパッドや明治などを5年持っていればよかったということだろうか。女性の強さが目立つのは相場だけではないようだ。
11月最終日は過去15年連勝だったが日経平均株価は136円安の19747円と続落。MSCIの銘柄入替に月末要因も加わり東証1部の売買代金は2兆9090億円に拡大。オークマ、東京エレクトロンが上昇。三菱UFJ、伊藤忠が下落。


1日(火):
「行きは良い良い帰りは怖い」だったのは今年の8月も一緒。20946円から1カ月で16901円まで4045円、19%の下落となった。
帰りが怖いのは2013年5月も一緒。5月23日の5942円から3週間で3393円、21%の下落となった。1万5000円の関門、2万円の関門ともに20%の下落で禊を終えた。
ということは、これが相場の習性ということも出来ようか。
だったら、もう終わりの始まり。御用はあるし、ご祝儀も見てみたい。怖くても、通らざるを得ない場所にいるということなのだろう。帰らざる河のような存在であれば良いのだが・・・。
そういえば、寒風が吹き始めた中で永田町では解散風が吹き始めた。内閣支持率の復調を受けた格好での衆参同時選挙観測。1年前に選挙があったばかりだから「えっ」という印象だが、結構真剣に論じられているようだ。ここで考えたいことは景気が悪く株価が低迷している中では与党は選挙などしたくないもの。それでも選挙という事態が想定されるということとは、多少楽観的すぎるのかも知れないが、景気にも株価にも永田町は自信を持っているということの裏返しと考えたいもの。
市場では目先の小さな渦に溶け込むのではなく、あるいは月を宇宙と思うだけでなく天の川を宇宙と考えるような姿勢は必要なのかも知れない。

日経平均株価は264円高の20012円と高値引け。大引け間際15分で上昇幅を拡大し8月20日以来約3か月ぶりの2万円乗せとなった。引け際の魔術師がいたのかどうかは不明だが8月20日以来の日経平均2万円。後講釈的には前場寄り前から予感はあった。しかし抜けるには一気に外でという予想は外れジワジワと国内時間帯での達成。
起爆剤は外ではなく法人企業統計での設備投資の伸びを好感。もっとも先物主導の展開は他力本願が自力本願になった訳ではなく戦場が変更しただけのこと。それでも起きて予感するより実感で体験できることの方が気分は良い。ワープマド空け相場よりは実戦継続で地に足のついた格好は悪くない。
09年以降12月1日は負けなしの特異日だったということもあろうか。アノマリーは7月上昇→12月上昇。もしも12月の月足が陽線と仮定すれば、20012円以上で終わる大団円のシナリオとなった。ファナック、富士重工が上昇。太平洋金属、ライオンが下落。

2日(水):
NY株は反発しての戻り。「サイバーマンデー」に、米国内のオンライン売上高が30億ドル相当を突破。過去最高となったことを好感した格好。割引額が事前予想を上回ったことという理由もあろうが電器・玩具への需要が堅調。売れ筋はサムスンの4Kテレビやアップルのアイパッドミニ、相変わらずのレゴやバービー人形。トラッディショナルな需要に支えられて年は更けゆくという感じだろうか。
一つの計算は日銀のETF買い。11月30日にも362億円買った。前場の下落率は0.38%。20日は前場の下落率0.41%、27日は同0.45%でも362億円買った。11月は合計8回の買いで2870億円。これで今年は累計2兆8593億円で残りの枠は1407億円。362億円だとあと4回しか買えない。
大納会までの営業日数はあと20日。4勝16敗で行けるのだろうか。あるいは日銀金融政策決定会合の18日までの営業日数は17日。13勝4敗ならば行けるのかも知れない。となると、市場は次回会合でのETF枠の増加を期待しているとも言えよう。

興味深かったのは日経スクランブル。今年9月末の世界の機関投資家が保有する日本株の比率は3%弱。時価総額に占める日本株の比率は世界株の9%であるからかなり小さい。となれば「あと3兆~4兆円の買い余地がある」との声も引用されている。確かに計算上は間違っていないだろう。今年度の税収は56兆円台前半に上振れする見通し。好調な企業業績や賃上げが背景だという。因みに場バブル直後の90年が過去最高で60.1兆円、91年度が59.8兆円。これに次ぐ規模となってきた。消費税を上げなければプライマリーバランスが不安とか法人税を下げて財政は大丈夫かとの声と反対の動き。既成概念の固まった経済感覚のエコノミストの意見はしばしば間違うことになる。

そもそも、市場は仮説と検証の反復の場所。偏った仮説のみで反証がないから一方的な専門家の意見が幅を聞かせるがしばしば予想と違う現実に遭遇するもの。株式市場だって同じようなもの。反証を検証してみることも重要だろうし、そもそも仮説のないままでの投機が多いような気もする。その意味では「大機小機」も「地方衰退の一因は円安」と面白い。「円安の恩恵は輸出企業に生じるが、それは大都市に集中する傾向。
一方、地方経済は中小企業が主体で仕入れる原材料など輸入への依存度が高く円安の悪影響が及びやすい。もっと丁寧に政策効果を検証すべきではないか」。至極もっともである。「訪日客の急増は購買力平価で円安に振れている証である」。これも一理ある。円安株高の幻想はそろそろ捨ててもいいような気がする。そうでないとSDRにようやく組み込まれた人民元の後塵を拝す時間が永遠に続くのではなかろうか。
日経平均株価は74円安の19938円と反落。ユーグレナ、大成建が上昇。Jフロント、TDKが下落。

3日(木):
日経朝刊のスクランブルは「AIが読む政策と株価」。能力の高さが証明されたのは、大勢のエコノミストが追加緩和を事前に予想していた10月30日の日銀金融政策決定会合だった。同指数は日銀が抱く景況感が改善していることを明示、緩和に動かないのを示していた。エコノミストは消費者物価ばかりに目を奪われていた。AIはこうした先入観にとらわれない。これってAIの凄さを表現しつつエコノミストの愚かさも実証しているようにも見える。そもそもAIでなくてもフツーに考えれば10月の追加緩和なんてアリと予想した方が悪い。木を見て森を見ないのが経済?とも思えてくる。
日経平均株価は1円高の19939円と小幅続伸。国際帝石、スクエニが上昇。ファーストリテ、パイオニアが下落。

4日(金):
期待していたECBの金融緩和はあったものの「小粒で失望感」とか「肩透かし」との解釈から売りの展開。期待すれば裏切られ諦めれば期待以上に追いかけてくるのが株式相場でもあるがその典型的動きだったのだろうか。
日経平均株価は435円高の19504円と反落。3週間ぶりの安値水準となった。任天堂、アスクルが下落。日水、コナミが逆行高。「日経平均よりも個別銘柄。ますますその傾向が強まりそう」との声も聞かれ東証1部の年初来高値銘柄は23銘柄。「業種も業態も雑多だが、共通するのは設備投資、開発投資で恩恵をうける銘柄群で目当てもなしに個別物色しているわけではない」との指摘もある。

(2) 欧米動向
ブラックマンデーの結果。
全米小売業協会(NRF)調査では感謝祭を含む週末4日間のネットでの買い物客の推計値は1億0300万人を上回った。
これは店頭で買い物をした人の数(約1億200万人)とほぼ同水準。
同調査では26~29日の間の支出や予定支出は300ドル程度。
これは昨年の約381ドルから減少したが調査方法の変更が大きな理由だという。
26~29日の店頭およびネットでの買い物客の数は、1億5100万人を突破する見通し。
当初予想の1億3600万人を上回っている。
データが示しているのは「ブラックフライデー」の重要性が低下している点だという指摘もある。
数年前までは年末商戦の開始日だったが、今では多くの小売店がもっと早くディスカウントを開始。
感謝祭当日も店舗を営業するケースが多くなっているという。
例えば当初2日間の売上高が減少しても、オンラインショッピングとの競争が激化する中で売り上げが持ちこたえていと評価。
繰り越し需要やガソリン価格低下を背景に予想を上回っているため、年末商戦は小売り業者にとって好調と解釈できるという。


日経朝刊「大機小機」にも登場していたバイロン・ウィーンの「びっくり十大予想」。
改めて1年前を振り返ってみると・・・。
(1)FEDの第1弾利上げ2015年半ば以前に開始へ→ハズレ
(2)サイバー攻撃が悪化→当たり
(3)米株ラリーは2015年も継続→ほぼ当たり
(4)ECBは国債・住宅ローン担保証券、社債を買い入れへ→微妙
(5)日銀による「衝撃と畏怖」、2015年は影響力喪失→ほぼ当たりだが日経平均横ばいはハズレ
(6)中国の成長率、7%割れへ→当たり
(7)原油安がイランを直撃、原子力開発を停止へ→微妙
(8)ブレント原油先物は40ドル割れへ→微妙、プーチン大統領の年末辞任説もあったが・・・。
(9)ハイイールド債と米国債のスプレッドは縮小へ→微妙
(10)共和党、多数派の威力をフル活用→ブッシュ大統領候補が微妙

以下は
(11)水こそ、環境問題のセンターステージへ
(12インターネット、アプリを通じたサービス業が問題に直面
(13)ブラジル経済が予想外の好転へ

国内問題でいえばやはり2015年は郵政の上場が一番のエポックだったろう。
この先に控えているのは来年秋にも予定されているJR九州の上場。
ひょっとすると最近の貨物輸送の拡大を想定すると貨物もあり得るかも知れない。
さらに言えば郵政とJR貨物が結びつけばバルクとリテールをまとめた大きな物流会社となる可能性がある。
もろもろの障害の存在は別にしてこれって意外と効くような気がする。
まずは来年秋のJR九州の上場があるとすれば、これは意外と面白いだろう。
今年1月にまとめられたJR九州完全民営PTの取りまとめを見てみると・・・。
JR九州の財務状況は、近年、リーマンショック等による一時的な落ち込みはあるものの、
連結決算で、概ね200億円規模の安定した経常利益を計上しており、
売上高経常利益率も5%を超え、一般的な民間会社と比べても遜色ない水準となっている。
例えば、東京証券取引所の上場基準にJR九州をあてはめると、最近2年間の連結での経常利益の総額が
5億円以上であることとする等の形式基準については、同社は、平成24年度には173億円、
平成25年度には212億円の経常利益(連結)を計上しており、基準を満たしている状況にある。
以上に加え、今後についても、同社は、鉄道事業において、引き続き輸送サービスの改善や沿線開発、
インバウンドの誘致促進等による需要喚起に努め、関連事業においても、
これまでに蓄積した経営ノウハウをさらに活かすことで、
将来にわたって安定的な経営を行うことが可能であると見込まれることから、
JR九州は上場に向けた条件が整っていると考えられる。
クルーズトレイン「ななつ星IN九州」やスイートトレイン「ある列車」などは超人気。
九州に行ってみれば博多も湯布院もアジアからのインバウンドで満杯。
もともと東京よりも海外を向いていた地域だけに九州という島だけで物事を判断すると間違う可能性もある。
そう考えると、来年は電鉄株の先取り投資というのもアリかもしれない。
特に九州地盤の西鉄(9031)などは折に触れて登場するかもしれない。


(3)アジア・新興国動向
伊藤忠商事は中国語を使える社員を増加させる方向。
いずれにしても中国は無視できないし、経済動向の影響は大きくなるだろうということ。
その意味では株式市場の落ち着きは好感できよう。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
7日(月)10月景気動向指数、米消費者信用残高
8日(火)GDP改定値、景気ウォッチャー調査、国際収支、ユーロ圏GDP、中国貿易収支
9日(水)機械受注、マネーストック、中国消費者物価、生産者物価
10日(木)法人企業景気予測調査、都心オフィス空室率、BOE金融政策委員会
11日(金)メジャーSQ、米小売売上高、生産者物価、ミシガン大学消費者信頼感

先々週起きたことは往年の著名株式投資家の逮捕や調査。
「官制捜査」という見出しもあったが、あの事件を垣間見て思ったのは「株高への予感」。
正々堂々と儲けを出す分には問題ないが、違法な取引で儲けるのは許さないという姿勢。
これからの株高を予測すれば、取り締まりは厳しくなる。
もしもこれが株高サインだとすれば、明るい未来への布石と考えたいところ。
というか・・・。
昔の名前まで持ち出しての一罰百戒の端緒だとしたら2016年は大相場に期待というところだろうか。
因みに、バブルの頃は投資ジャーナルなどこの手の例が事前にたくさんあったような気がする。

市場関係者というのは政策には敏感なところがある。
それは市場動向が政策の方向に向かうことは多いからというのが理由。
だから首相官邸とか内閣府などのホームページをサーフィンすることも当然多くなる。
すると活字や映像にはまだ表れていない秘宝が時々ある。
11月24日に内閣府が発表したのは「科学技術基本計画について」の答申素案。
その現状認識で語られているのはこれからの社会とともに株式市場で話題になるであろうことばかり。
大前提は「情報通信技術(ICT)の急激な進化により、グローバルな環境において、情報、人、組織、物流、金融など、あらゆるものが瞬時に結び付き、相互に影響を及ぼし合う新たな状況が生まれてきている。それにより、既存の産業構造や技術分野を軽々と超えて、これまでにはない付加価値が生み出されるようになってきており、新しいビジネスや市場が生まれ、人々の働き方やライフスタイルにも変化が起こり始めている」。
そして「世界的な規模で急速に広がるネットワーク化は、これまでの社会のルールや人々の価値観を覆す可能性を有しており、派生するセキュリティ問題への対応、個人情報の保護等の新たなルール、行動規範作りが不可欠となっている。また、Internet of Things(IoT)、ロボット、人工知能(AI)、再生医療、脳科学といった、人間の生活のみならず人間の在り方そのものに大きな影響を与える新たな科学技術の進展に伴い、科学技術イノベーションと社会との関係を再考することが求められている」。
これらはおそらく来年の市場テーマとなる。
そして「我々は、エネルギーや資源の安定的かつ低廉な供給が我が国の経済・社会の基盤を支える重要なものであることを改めて経験したところである。
また、人口減少時代の中で、高齢化の進行やインフラの老朽化等に伴う社会保障費をはじめとする将来の社会コストの増大は、我が国の経済や国民の生活水準の維持・向上に対する大きな制約となりつつある。さらに、大規模地震や火山噴火などの自然災害のリスク、我が国を取り巻く安全保障環境の変化などにも適切に対応し、国土や社会機能の強靱性(レジリエンス)を高めていくことが求められている。東日本大震災からの復興再生もまだ道半ばであり、着実に対応していくことが必要である」。
この他にも「超スマート社会の実現」や「地方創生」なども盛り込まれている。
全体を貫いているキーワードは「ICT」。
ICTとは、情報通信技術を表すITに、コミュニケーションの概念を加えた言葉。
Information and Communication Technologyの略で、ITの概念をさらに一歩進め、IT=情報技術に通信コミュニケーションの重要性を加味した言葉。
IoTは市場で使われ始めまたがたぶん日本ではICTはこれから。
来年はICT元年みたいなことになるのだろう。
時間があれば政策を見ることも株式投資の重要なファクター。

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櫻井英明

Author:櫻井英明
日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの公式スマホサイトにて、毎日、株式情報を配信中。

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