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兜町カタリスト

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<兜町カタリスト>
「相続」

日経平均は17日(火)以降4連騰で週間では約282円の上昇。
9月29日に19630円で底打ちしてからの上場基調を維持している。
背景としては証券業界の自助努力も多少はあるだろうか。
例えば金曜の日経朝刊スクランブルで紹介された「個人売りを止める秘策」。
8月に金融庁が公表した来年度の税制改正要望。
「上場株式などの相続税評価の見直し」が盛り込まれている。
証券業協会が10年以上にわたって要望してきた一言だけに現場の期待はある。
良く知られているのは不動産の相続税評価額の低減。
フツーでも8割程度の評価に下がるが事業用などの一定規模の土地は2割くらいになる。
これがあるから、都心のマンションを相続税対策用とて購入する向きも多い。
一方で上場株式は現金同様100%の相続税評価。
子供に渡そうと思っても税金を考えると考えてしまうというのは当然の行為だろう。
記事でも指摘されているが子供NISAや教育資金の贈与などの動きには逆行している。
高齢者中心の資産保有の体制はいつの時代でもそうだが、資産の移転でマネーの動きは明らかに活性化する。
だとすればこの動きは景気浮揚に役立つ違いない。
「株を相続した人の証券口座では1年以内に半分が売却されている」と日証協の調査。
確かに相続する側からいえば訳のわからない投信や株よりも現金や土地の方が望ましいのも現実。
取り扱いはややこしいし、そもそも突然株主になることも面倒くさい。
税制の問題もあるが、本来は相続で株を受け取る側の経験不足も問題なのだろう。
昨年金融庁と財務局のセミナーで「株は生き様」と言ったことがある。
株は生き様であり知らぬ間に突然受け取る子供のことも考えた投資は必要と訴えたのである。
「こんな仕手株ばかりだったの?」
「相当下手だったんだ」。
後から後悔しな為には受け取る側に欲望を悟られず、しかも感謝されるような株式投資が必要となる。
刹那的な材料株では時間流れが金銭欲の表側ばかりを塩漬けとして残してしまう可能性もあろう。
その意味では「いつ相続があっても子供に後ろめたくない投資」という覚悟も求められるのである。
そう考えると、知見や未来展望の欠けるような株式投資は絶対にしてはいけないということにもなろうか。

因みに日本では、相続した株を売った相続人は、その株の取得価額は被相続人が取得した価額。
アメリカでは・・・。
相続された株の取得価額は相続時点で被相続人の取得価額から相続時点の時価に変更されるという。
そのため、相続人が相続直後その株を売ったとしても株式譲渡益課税はかからない場合がほとんど。
株に対する視点が違うのはこの部分にもあるのだろう。
加えてうがった見方をすれば・・・。
株価変動はある意味、資産家の相続にも役立ている部分があるとも言えよう。
リーマンショックの際にタッタ数ドルでGMやシティバンクを相続させていたら相続税は安くなった筈。
周期的に株価が変動するのか景気循環という理由もあろう。
しかし周期的な相続ニーズという視点も否定は出来ない。

ところで野村資本市場研究所の調査によると・・・。
今後2030年までに総額1000兆円が相続sれ、そのうち半分が不動産だという。
仮に相続不動産の1割が株にシフトしたとすると、約50兆円が株式市場に流入するという試算。
過去10年で個人が売り越した株は約28兆円。
このうち相続の売りも多かったという。
「不動産から株へ」という声が大きくなることは証券市場の活性化に間違いなくつながるだろう。

追い打ちをかけるように土曜の日経朝刊スクランブルでは「不動産株迫る賞味期限」のテーマ。
「アベノミクスで大相場を期待されながら足元は緩和観測で一喜一憂する展開。
過去の姉歯事件を彷彿とさせる杭打ち問題も重荷になり・・・。
日銀が公表した9月末の不動産業向け貸し出し残高は64兆9000億円と過去最高を更新。
関係者の間では07年前後にマンション相場が急落した場面に似ているとの声が出ている」という。
加えて・・・。
信用取引の買い残高はアベノミクス相場の3年で約3倍に膨らんだとの指摘。
現状の信用買い残は3兆1000億円。
背景は低金利と金融緩和で貸出先に困った銀行などから証券会社の有利な調達だという。
日証金の貸し出し金利0.64%に対し証券会社の調達金利は0.1%のこともあるという。
ある意味金融の部分はバブルとも言えなくもない。
しかし、90年代のバブル時の信用買い残のピークは9兆円。
まだ3倍以上開きがあるというのが現実。
バブルを気にするほどの余裕が市場に登場したのかも知れないが、所詮まだ杞憂の域だろう。
小賢しげなアリバイ作りの免罪符相場観測はいつの時代でも見られるが・・・。

甘利明経済財政担当相が24日の経済財政諮問会議で示す緊急対応策。
題して「希望を生み出す強い経済実現に向けた緊急対応策」

企業の内部資金を活用し。
攻めの投資を促すことで名目GDPの伸びを上回る設備投資を実現する。
法人実効税率引き下げについて、2016年度の下げ幅を確実に上乗せしたうえで
早期に20%台に引き下げる道筋をつけるとの姿勢を示す。
新たなサービスモデルの開発を通じて生産性向上に取り組む中小企業への支援も盛り込む。
省エネ効果の高い設備導入を支援し、中小企業の投資を促す方針も打ち出す。
GDP600兆円を今後5年程度(名目成長率は平均3%程度)で実現するため、
賃上げや最低賃金の引き上げへの取り組みが重要との認識も示す。
賃上げの恩恵が及びにくい低所得の年金受給者に対する支援に加え、
新たな就業希望者や就業時間を増やしたいという希望者が計950万人いる現状を踏まえ、
実現を阻害している規制や制度を見直し、労働参加を促す。
この結果名目国内総生産(GDP)600兆円を今後5年程度で実現するという。
26日に取りまとめる1億総活躍社会の実現に向けた対策に反映させたい考えだとも・・・。
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櫻井英明

Author:櫻井英明
日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの公式スマホサイトにて、毎日、株式情報を配信中。

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