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《マーケットストラテジーメモ》 10月第2週

【推移】
5日(月):

月初の週末恒例である米雇用統計。9月の非農業部門雇用数は14.2万人増で着地。市場予想は20万人だったからサプライズではあった。しかも7月は22.3万人、月は13.6万人に下方修正。1~9月の平均増加数も19.8万人で20万人割れ。株式市場はネガな数字に反応してNYダウは250ドル超の下落。しかし金利引き上げが来年まで延びるのではないかとの観測が台頭。結局NYダウは200ドル上昇した。同じ事柄に対する解釈の差が500ドルの値幅を生み出したことになる。市場はまだ金融相から業績相場への移行を拒んでいるという印象。不可解なのは為替市場の動き。ほとんど反応せずの動きだった。
米低金利延長→ドル高円安回避というのが本来の動きの筈。それでも円高に振れることなく静かな展開。日銀金融政策決定会合でのなんらかのサプライズを期待しているということなのだろうか。
日経では「TPP大筋合意へ」の大きな見出し。アジア太平洋地域に世界全体の約4割を占める巨大な経済圏が誕生する。地球規模での経済圏誕生と考えれば良い方向。我を張りとおしたアメリカも我慢とか辛抱と言うことを知ったような気配。相場も結構面白くなってこようか。そしてノーベル賞の時期。免疫とかがんというのが期待の星。日本人が受賞すればバイオベンチャー相場復活の狼煙となるのだが・・・。
7日の夕刻発表予定の化学賞ではリチウムイオン二次電池に期待感。これも相場テーマとなりえようか。
日経平均株価は280円高の18005円と4日続伸。クボタ、NTTデータが上昇。富士重工、三協立山が下落。

6日(火):
株式市場というのは不思議な場所で日々のニュースを飲み下しては進む場所。反芻するということは滅多にない。他律的に押しよせる新しい映像や活字を蚕のようにバリバリと食べるだけ。日銀短観も雇用統計もすでに通過。それなりに評価はされたが、市場の脳裏はTPPとノーベル賞。過去を振り返ることの多い株式市場だが、目先の活字や映像と少し先のスケジュールだけは大事にする印象。大幅安の先週火曜から1週間を経てみれば9月29日にマイナス17.630%だった。
松井証券の信用評価損率速報での買い方の評価損率。
月曜はマイナス12.444%まで改善した。売り方はマイナス10.593%ですから逆転もまじか。そして9月29日に43.4%まで上昇した空売り比率も昨日は36.9%まで低下。13.5倍を切った日経平均採用銘柄のPERも14.19倍台まで上昇。
先週の火曜日が転換点でそこから日経平均は4日で1073円の上昇。EPSは1268円まで増えてきました。5日線17554円は言うまでもなく25日線18039円もようやく近づいてきた。先週火曜日にほんのわずかだけ下向いた200日線も昨日はほんのわずかだけ上向きに。微妙でかすかな動きだが、長期線も復活。
世界では手のひらを返したように「グローバルラリー」なんて言葉も出現。ついこの間まで総悲観だった心理はどこへ行ったのかと疑わしい始末。どうも今回の秋の気配は本格的な冬には至らず乾いた空気だけで終わった印象。
SQ週の荒れる火曜日。今年は2勝6敗。水曜は4勝3敗。木曜は7勝2敗。今日はおそらく7月以来の火曜日プラスは、季節感も相場観も変化の時期なのかも知れない。もっとも水曜は日銀金融政策決定会合。そして内閣改造。木曜はG20財務相・中央銀行総裁会議。米利上げ延期観測に加え米10年国債利回りは2%を割れても円高に向かわない不思議な市場。そうすると今回の下落は残念ながら金融相場から業績相場への中間反落ではなかったということなのだろう。出来るなら中間反落を通過して、早く業績相場に滞在したいもの。
日経平均株価は180円高の18186円と5日続伸。ザラバベースでは6月24日高値(20952円)と9月29日安値(16901円)の間の3分11戻し(18238円円)を達成した。三菱倉庫、キューピーが上昇。セブンアイ、東海東京が下落。

7日(水):
火曜の日経朝刊コラム「一目均衡」。テーマは「GDP600兆円と株価。1970年代以降、金融自由化で実体経済に比べた金融資産の規模が世界的に膨らんだ。世界の株式や債券、融資の総額の対GDP比は80年の100%強→300%以上に拡大。ところが日本は世界的金融拡張の中で取り残された。時価総額の対GDP比はバブル期の1.3倍から右肩下がり。企業は投資に動き出しているが、実質無借金の上場企業はなお5割と米国の35%より多い。TOPIXに1000億円をかけた数値は戦後GDPの2か月分~8カ月分の間だった。バブル崩壊後は2か月分~4か月分が常態化した。仮にGDP600兆円を達成すれば、その4カ月分(200兆円)を1000億円で割るとTOPIXは最大2000ポイントとなる。
日経平均はTOPIXの約12倍だから日経平均は24000円の水準だ」。結構面白い計算だが、望まれるのはGDPが600兆円になる政策だろうか。
ロンドンで開催された石油業界の年次会合「オイル・アンド・マネー」。登場したのは「米国内の生産が近く劇的に減少する恐れがある」と言う声。背景は「米国のシェールオイル生産を支えるに原油価格が低過ぎる水準で推移している」。「米国での石油生産は今月には失速して来年序盤からは減少し始める」との予想の声。この理由は「新たなシェール開発案件に対して銀行が融資を渋っている」。ロイヤル・ダッチ・シェルのCEOは「米国の石油生産業者が資金の借り換えで苦戦」と指摘。ポジショントーク的なのは「減産分を補うだけの十分な余剰生産能力は残されていない」。アメリカがシェールを減産してシェール革命が頓挫する可能性大ということ。中国景気でも新興国経済でもなく株価軟調の本質はきっとここにあるに違いない。
荒れるSQ週の水曜。9月SQ値は19119円だが何とか戻した。「課題は18300円レベルの壁」という声も聞かれる。確かに前日もココを抜けなかった。8月最初の急落局面で日経レバを買い向かった平均コスト水準が18300円台。9月8日の17400円台からの戻りは11日~18日に18300円台で頭打ち。そして先週火曜の16900円台までの下落となった。重要なのは18300円台を明確に抜けることという指摘には同感。
日経平均株価は136円高の18322円と6日続伸。国際帝石、日揮が上昇。良品計画、科研が下落。

8日(木):
安倍改造内閣のテーマは「経済最優先」。「1億総活躍」という言葉が目立つ。批判も多いが市場は名目GDP600兆円を好感しても良いかも知れない。日経1面では「世界最大の政府系ファンド日本で不動産投資」の見出し。ノルウェー政府年金基金が欧米の主要都市に続いて東京でオフィスビルを取得の方向。投資額は数千億円になる可能性があるという。ソニーなど日本株も約5兆円保有しているのが同年金。ひそかな期待感になろうか。
日経平均株価は181円安の18141円と7日ぶりの反落。ソフトバンク、コマツが上昇。イオン、ドンキが下落。

9日(金):
日経から出た「ザ・セカンド・マシン・エイジ」(エリック・ブリニョルフソン著)が興味深い。「前著『機械との競争』で衝撃を与えたマサチューセッツ工科大学のコンビ。膨大な調査・研究に基づいたテクノロジーと未来を描いた全米ベストセラー蒸気機関の発明によるファースト・マシン・エイジは18世紀後半に始まった。いま、コンピュータを中心としたセカンド・マシン・エイジに突入した。人工知能の急速な進歩によるデジタル・イノベーションは、グーグルの自動運転車やチェスやクイズで人間のチャンピオンを圧倒する人工頭脳ワトソンなどに象徴されている。しかし、まだまだ序の口に過ぎない。人類は蒸気機関によってもたらされたと同様の、それまでとグラフの向きが変わり始める点である「変曲点」にさしかかったと著者たちは見る。人工知能の進化によって、これまでは不可能と見られていた仕事がロボットに置き換わっていく。その結果、消えていく職業は多い。人間は機械と共存できるのだろうか。ビジネスマン、経営者だけでなく、子供の将来を真剣に考える親たちの必読書でもある」。結局株式市場も翻訳の世界。そう考えれば周回遅れの影響は出てくるのだろうと考える。
日経平均株価h297円高の18438円と反発。10月SQ値を上回って引けた。SQの影響もあり東証1部の売買代金が2兆9712億円と拡大。大林組、Gウィンが上昇。ファーストリテ、さが美が下落。ファーストリテリング時価総額は1日で5000億円減少した。

(2) 欧米動向
IMFの小さな抵抗もあった。
「日本は、物価上昇率を2%の目標に向けて押し上げるために必要なら、
日銀はできれば年限のより長い国債を買い入れるなどの追加的な金融緩和を実施する態勢をとるべき。
日銀は一段の緩和に向けた準備をすべきだ。
また、予測を重視した金融政策に関するコミュニケーションにより、
市場にさらに強いガイダンスを提供することを検討すべき」とコメント。
しかも2016年に成長が加速するとの予想の背景は、日銀の金融緩和による株価上昇、実質賃金の上昇、原油・商品価格の下落による企業利益への支援効果。
何か財務省的IMFが日銀金融政策決定会合に向けてサインを放っているような気がしないでもない。

イスラムの暦はヒジュラ暦という。
太陰暦で1か月が29日の小の月と30日の大の月をおおむね交互に繰り返すという。
従って1年はおおむね354日。
1年毎に約11日太陽暦とずれる。
しかも閏月がなく太陽暦とあわせることをしないという。
このヒジュラ暦のアノマリーは「正月の株高」。
新年初日前後からの株価上昇傾向がみられるというアノマリー。
以下は過去6年の新年から10日間のパフォーマンス経緯。
2014年10月25日~日経平均10.3%、ダウ4.5%、NAS3.3%。
2013年11月5日~日経平均6.6%、ダウ2.3%、NAS0.23%。
2012年11月15日~日経平均5.4%、ダウ3.5%、NAS5.5%。
2011年11月27日~日経平均6.2%、ダウ6.8%、NAS6.3%。
2010年12月8日~日経平均1.4%、ダウ1.4%、NAS2.2%。
2009年12月18日~日経平均5.1%、ダウ2.5%、NAS4.4%。
こう見ると正月は師走→霜月→神無月と前倒しになってきている。
だから今年は例年秋にやってくる下落が夏の終わりに始まったという思考もアリかも知れない。
あるいはSAMAの売り観測も年末の出来事と考えれば首肯できなくもない。
因みに今年の新年は10月14日から始まる。

歴史的アノマリーは第2次世界大戦後米大統領選挙の前年のNYダウは下落していないこと。
つまり上昇している。
この前、米大統領選挙の前にNYダウが下落したのは1939年(昭和14年)。
ただし年間では下落だが、9月にドイツのポーランド侵攻で年末にかけて20%上昇していた。
戦争という特殊要因があったということになる。
その前は世界大恐慌真最中の1931年。
年間52.7%の下落だった。
正真正銘の下げからは84年。
この間のいくさを応仁の乱とする京都的感覚ではまだ短い。
今年もし米国株が下落で終わったとすると、歴史は何を理由にするのだろうか。
そちらの方が興味深い。

(3)アジア・新興国動向
結局先週火曜のあの700円安を安値にしての2か月半ぶりの5日続伸。
ノーベル賞とTPPが好感された格好。
しかし底流は米雇用統計の悪化による金利引き上げ延長観測。
そして国慶節で中国が動かないことだろうか。
どうせならしばらく休んでもらった方が東京としては望ましい気もする。
その中国の休暇中に大筋締結したTPP問題。
オバマ大統領のコメントが面白い。
「グローバル経済のルールは、中国のような国ではなく我々が書かなくてはならない」。
中国の台頭は苦々しいという雰囲気がアリアリ。
つまり、TPPは経済的手段であるとともに地政学的陣取りの意味をも有しているということ。
加えれば、オバマ氏は相当周氏が嫌いなのかも知れない。

IMFの中国への提言。
「中国経済の動向、コモディティ市場におけるリバランスのさらなる長期化、
企業バランスシートの対外エクスポージャー拡大、
資産価格の破壊的シフトに関連した資本フローの逆転といったリスクを鑑み、
新興国や途上国の成長下方リスクは増大した」と指摘。
「成長の急減速を確実に回避するためには、控えめな追加的政策支援が必要。
当局が構造改革をさらに進めることが極めて重要。
急激な成長減速の回避、過剰な借り入れに起因する脆弱性の是正、経済における市場原理の役割強化など、中国当局は非常にバランスが必要な対応を求められている。
2009~12年の投資・信用ブーム終焉に伴うマクロ経済管理が予想よりも厳しいとなれば、より深刻な成長減速のリスクがある」。
加えて8月の人民元切り下げに引き続き、市場に基づいた人民元改革を推進するよう改めて要請した。
そして・・・。
「世界の経済や金融市場に中国が一段と組み込まれるなか、変動相場は金融政策の自立性を高め、経済の外的ショックに対する調整を助ける」と指摘した。
そして商品価格の低迷や中国経済の減速を理由に、世界の成長率予想を7月時点から引き下げ。
予想の下方修正は今年2度目。
世界成長率の予想は2015年が3.1%、16年は3.6%で、7月時点から0.2%ポイント下方修正。
4月時点からはそれぞれ0.4%ポイント、0.2%ポイントの下方修正。
米国の15年成長率を2.6%、16年を2.8%。
ユーロ圏は15年が1.5%、16年は1.6%。
日本は15年が0.6%、16年は1.0%。
中国の成長率は15年が6.8%、16年は6.3%。
新興国は商品価格急落を理由に15年の成長率予想を4%に引き下げた。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
13日(火)独ZEW景況感、中国貿易収支
14日(水)マネーストック、国内企業物価指数、米小売売上高、中国消費者物価、生産者物価
15日(木)首都圏マンション販売、米消費者物価、EU首脳会議
16日(金)米鉱工業生産、米韓首脳会談

LINEがインテルと連携するとの報道。
あらゆるものをネットでつなぐIOT事業での連携。
まずはキリンビバの自動販売機での展開を目論んでいるという。
LINEの情報発信力にインテルのIPUを組み込むことで広告効果などを高める方向。
IoTやM2Mなどソフトの部分で今後の期待感は多い。
しかし重要なのは、ハードとソフトの融合ということではなかろうか。
ソフトだけで先行しても機器が追い付かなければ単なる画餅。
モノとソフトが連携してこそ本当の進化が始まるのだろう。
その意味では小さなことだが意味のある連携になるのだろう。
週末に品川のヒビノに取材した時の話。
同社はコンサートやイベントでの音響・映像の第一人者で他の追随を許さない存在。
ただその底力は機器の販売を扱っており、機械の力を知っているからこそだという。
どのような使用法でどこまでの力を発揮できるのかがわかるからこそ強みを発揮できるということ。
ハードとソフトに融合というのは古くからの問題のようで、実は今後の重要な課題でもある。

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櫻井英明

Author:櫻井英明
日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの公式スマホサイトにて、毎日、株式情報を配信中。

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