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《マーケットストラテジーメモ》 1月第3週


【推移】
13日(火):
引け味は悪くはなかった。日経平均は前場9時50分に369円安の16828円まで下落。しかし終値は110円安の17087円と高値引け。値下がり銘柄数は1222だったが、「高値引け」の印象は悪くなかった。東証1部の売買代金は2兆2479億円と4日連続で2兆円。下げ渋りの背景は12月の景気ウォッチャー調査との解釈。景気の現状判断DIは45.2で前月比3.7ポイント上昇。50の水準は5ヶ月連続で下回ったものの、5カ月の上昇となった。これで何とか17000円を意地した格好。ディップ、理研ビタミンが上昇、イオン、タカタが下落。

14日(水):
日経1面は「金利低下、原油安で拍車」の見出し。WTI原油先物は一時バレル45.19ドルと約6年ぶりの低水準。ロンドン銅先物はトン6000ドル台を5年3ヶ月ぶりに割り込んだ。日本の消費者物価指数は前年同月比0.7%の上昇率まで低下。
ユーロ圏の物価上昇率はマイナスに沈んだ。日本の10年国債利回りは0.255%と過去最低水準を更新。低金利、低成長は株価にとってはありがたくはない。もっとも騒ぎ出したらそろそろ天底というのが市場でもある。一方で、2014年は上場企業の倒産がなかった。
実に24年ぶりのこと。しかも上場企業の倒産ゼロは13年9月以来16ヶ月連続で過去3番目の記録。たしかに底冷えするような恐怖感を感じるような市場展開ではない。
日経平均株価は291円安の16795円と続落。サイゼリヤ、コスモス薬品が上昇、住友鉱、大真空が下落。

15日(木):
NYドルは毎日大幅な値幅で推移。日経平均株価も前日まで9日連続で日中値幅が200円超。ブルとネガのどちらが強いかと言えばネガ。その根拠のひとつはギリシャのユーロ離脱懸念。しかしユーロには離脱する仕組みはないのに、面白いこと。あるいは原油の下落による産油国経済の疲弊懸念。ターゲットがロシアなのか、アメリカのシェールなのかは判然としない。その一方で原油の下落と反比例しているのが中国株式の堅調展開。確かに、原油安は中国にとって追い風ではある。しかし世銀の経済見通しでは中国は今年6%台成長への鈍化見通し。どうも釈然としないむしろ、当面の下落はアメリカのシェール革命の崩壊への序章と考えた方が良かろうか。シェール開発がバブった挙句に、金融面でも禍根を残すのではないかとの懸念。開発型のハイイールド債などの崩壊は、リーマンショックの再来懸念となるのかも知れない。アメリカ経済を救うシェールという発想は、夢の商品であるサブプライムとどうも似ている。ただ市場が大好きな消去法的安全投資では日本国債と日本株が浮上する。昨年同様に、ヘッジファンドの連中が「円売り日本株買い」のスタンスでの捲土重来。 だとすると、どこかでまたパラダイムの変化は起こるのだろう。昨年並の8ヶ月の辛抱とまでは行かないと見る。
日経平均株価は312円高の17108円と反発。先物に断続的な買いが入って売り方が踏み上げられての上昇との解釈。マザーズ、JASDAQ指数は下落。スズキ、BSが上昇、OLC、不二越が下落。

16日(金):
小賢しいのは財務省にも見られようか。来年度予算での10年もの国債調達金利は1.8%の想定。直近の0.25%と比べると甚だしいカイ離である。日経の試算では1.8%で計算すると利払い費は10兆1151億円。しかし実勢とは程遠い。14年度も12月までで国債費の使い残しは1.5兆円。日経では「へそくり」と表現されているが結構大きなへそくりではある。あるいは、今年度は1.8%までの金利上昇を見込んでいるという解釈もできなくはない。内閣府が発表した2013年の「国民経済計算確報」。家計貯蓄率がマイナス1.3%に落ち込んだというのは日刊ゲンダイの指摘。家計所得のマイナスは1955年の統計開始以来始めてのことという。値上げ等で物価は上昇、しかし実質所得は減り続け貯蓄に回す余裕がない。日本で貯蓄率がマイナスになったのは1954年だけ。因みに現在のマイナス水準は主要国では最低。これは低金利の悪弊でもある。金利で資産が増えない時間帯はもう20年近い。戦後からバブル期までの平均金利は6%。預金して、10年ほったらかしで元本が2倍になった世代はうらやましい。今は、それが無理だから、自己責任とかグローバルといってはリスク資産を増加させる方向。これが正しいのか間違っているのかは時間のみが回答してくれるのだろうか。少なくとも国策がリスク増大を望んでいる以上、その結果は株高円安でしか報われない。これを求めているのはアベノミクスの本質でもある。ただ株式の益周りは6%台。債券利回りは0.25%。誰が見ても債券に分はないのだが、それでも機関投資家は債券大好き。不思議な世界である。
日経平均株価は244円安の16864円と反落。スイスフランの急騰を背景にドル円が一時115円台まで上昇。日経平均の下落幅は一時500円超の場面もあった。AIT、スクリーンが上昇、マネパ、ティーガイアが下落。

(2) 欧米動向

通過した米雇用統計。
非農業部門雇用者数は25.2万人増加、失業率は5.6%に改善しての着地。
10月分は26.1万人、11月分は35.3万人に上方修正。
物価上昇率の鈍さと賃金水準の停滞が問題視はされる。
しかし原油安が継続している以上、かけ離れて物価が上がる訳はない。
そして一つの呪縛は、雇用の伸びと賃金、残業代のアンバランス。
そして雇用の増加の多くの部分がパートタイマーであること。
この背景はたぶんオバマケア(新・医療保険制度)にあろうか。
正社員については医療保険が必要となることから、正社員は増加しない。
パートタイマーも一定以上の給与があれば医療保険が必要となる。
企業にとって頭の痛いのがこのオバマケアということ。
その防衛策としては、低賃金のパート労働者の増加で対応するということになろう。
だから雇用者数は増加し、失業率は低下する。
ある意味では合法的に雇用の平均化がなされているということでもある。
しかし、それでは当然ながら消費はそうは増えない。
だから物価は上がらない。
でも、雇用が伸びているのだから、金利の上昇は早期化する懸念がある。
これがNYで起こっている戦いの背景なのだろう。
ここが読めないと、雇用統計とFRBとの関係がウヤムヤになり理解不能になる。
結論は、雇用は悪くないが、早期利上げはなし。
そして、もし利上げが可能になったならば、米国経済の復活は本格化したというサインになる。
もしも一時的な株価下落があるならば、それば悲観ではなくチャンスととらえるべきだろう。

あるストラテジストの再生エネルギーに対しての思考法。

原油価格の下落で再生エネルギーは先細りではない。
むしろ米国の再生エネルギー産業支援は継続する。
その理由は米国の再生エネルギー支援は経済的動機だけでなく安全保障面の理由がある。
中東産原油への依存度が下がれば中東からの撤兵が可能になってくる。
そして再生エネルギーを利用するためのスマートグリッドは網目状。
だから従来の一方通行の送電系統とは異なりテロや軍事攻撃に強い。
だから再生エネルギー支援は今後も続くだろう。

(3)アジア・新興国動向
依然として原油価格の低下の影響が懸念される市場。
ただ、原油価格の下落と中国株式市場の上昇。
消費国にとって原油安は好材料なのだが、日本には適用されていないところが不思議なところ。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
19日(月)消費動向調査、米国市場休場(キング牧師誕生日)
20日(火)日銀金融政策決定会合(~21日)、首都圏新規マンション販売、コンビニ売上高、米一般教書演説、独ZEW景況感、中国10~12月GDP
21日(水)黒田日銀総裁会見、米住宅着工、ダヴォス会議(~24日)
22日(木)ECB理事会
23日(金)米中古住宅販売、CB景気先行指数、中国HSBC製造業PMI

東証REIT指数は昨年来高値を更新。
あまり話題にはならないが、REITは静かに時価総額の拡大を続けている。
アメリカが90兆円、日本がやっと10兆円。
それでも、2001年9月のスタート時点の2600億円から比べれば本数の増加もあるが時価総額は50倍。
アベノミクスのインフラ整備の資金面を担う役割がREITにあると考えれば今年も静かな膨張をつづけそうな気配。
の日経では「海外資金、不動産に1兆円」の見出し。
サブ見出しは「円安進み日本買い」。
昨年の海外企業による日本の不動産取得額は約1兆円で前年の3倍で過去最高を更新。
実に国内の不動産取引の約2割。
因みに円換算した昨年10月時点のオフィス賃料比較では東京が100、ロンドンが146、香港が165.6。
シンガポールのように目抜き通りのビルはみなREITの物件とか、大きな商業ビルは外資の所有なんて時代がやってくるのかも知れない。
不動産価格やREIT指数の上昇はもちろん悪いことではない。
2005~2007年頃に「買い負け」という言葉が流行した。
通貨の弱い国は「買い負け」の侘しさと大変さにさいなまれるというのが定説。
円安がはらむもろさでもあるのだろう。

ETFに目を転じれば、昨年騰落率トップは上海株価指数・上証50連動型が年間騰落率93.8%でトップ。
2位がNEXTFUNDSインドで45.5%。
3位がSPDRS&P500で28.8%。
4位がNEXTFUNDSダウで26.2%。
ようやく5位が上場インデックスファンドリートで24.7%。
5位がNEXTFUNDS東証REIT指数。
そして日本株系はようやく6位がマザーズコアで17.4%。
今年は「ETFが開く海外投資」が大きなテーマでもあろうか。

ルールを変えるのは市場の常套手段。
今回は日経が26日から「予想1株当たり利益の算出法」を変更する。
従来は自社株を含めた株式数で利益を割っていた。
今後は「自社株を除く発行済み株式数」への変更。
理由は「自社株買いの効果を利益指標にも反映させる計算は世界の趨勢」だから。
自社株買いの規模の大きい企業ほど予想1株当たり利益が増加し、PERが下がる。
世界の趨勢ならば、なぜ今まで放っておいたのかと言う疑問。
そしてなぜ今なのかの疑問。
市場にとって何か都合の良いタイミングに映るのは気のせいだろうか。
苦しいのは「時価総額については従来通り自社株を含む」というところ。
「自社株を除くのは主流とはいえない」からだという。
もっとも、ここで自社株を除くと時価総額は減少し、市場規模が小さくなってしまう。
チグハグさは拭えないが、見かけ上の指標は、少しは良くなるに違いない
そういえば、昨日から先物の寄り引け1分前からの取り消し・変更は原則禁止された。
小さなことだが、市場をなんとか向上させえようという努力の現われだろうか。
とはいえ、ルールの変更が突然行われるのが市場の常識であることは間違いない。
これで東京市場のPERは少し低下して作為的割安感みたいなものが醸し出されるのだろうか。
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櫻井英明

Author:櫻井英明
日興証券での機関投資家の運用トレーダー、「株式新聞Weekly編集長」などを経て、2008年7月からストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。幅広い情報チャネルとマーケット分析、最新経済動向を株式市場の観点から分析した独特の未来予測に定評があり、個人投資家からの人気も高い。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの公式スマホサイトにて、毎日、株式情報を配信中。

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